京アニ礼賛
千葉が大変な被害を受けているところ、全く関係ない記事を書くのも恐縮だが、先日の京都アニメーションをめぐる惨劇は、一アニメファンである僕にとって実に痛ましい出来事であった。
それなりにアニメを見る人であれば、京都アニメーション(以下、京アニ)というと、数ある制作会社の中でもトップクラスのクオリティを誇ることをご存じだろう。
芸術に対して薄っぺらな語彙でしか感動を表せない僕だが、作品の骨子を理解し、それを真摯な姿勢で緻密なアニメーションに作り上げるという意味において、京アニは他から一歩抜きんでていると思う。
そんな京アニの優秀なクリエイターの多くが命を落としたのは非常に悲しむべきことで、心より冥福を祈るとともに、今後の復興をわれわれファンが支えなくてはならぬという義務感も生じたのであった。
さすがに衆目を集める事件だけあって、全国のアニメイトでは募金箱が設置されたし、アニメ好きの芸能人による募金がなされたとも各所で耳にした。
僕は余裕のある暮らしをしているわけではないので、自分が無理をして募金をするのは適切ではないと思っている(方便と言われれば、それまで)。
むしろするべきなのは、京アニのグッズなり映像なりにお金を「落とす」ことでコンテンツの発展を支援することではないかと思うのだ。
で、その京アニの最新作となる映画を観てきた。
タイトルは「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン外伝 ―永遠と自動手記人形―」である。
アニメ自体は去年の頭に放送されていたものだが、これがたいへん美しい作品であった。
例によって筋書きは記さない(というか、一口に説明できない)けど、感涙必至だと僕は思っている。
ベタっちゃベタだし、泣かせに来てズルい、という意見もあるだろうが、たとい露骨に「お涙頂戴」なお話であっても、あれだけ綺麗な描写をされては胸に突き刺さるというものだろう。
いったいに単純な僕は、1クールの内、幾度となく泣かされたものだった。
その「外伝」ということで、僕が期待したのもやはり、綺麗なアニメーション(絵の部分)だ。
今回観て改めて感じたのは、京アニ作品が「光の表現」に細やかな気遣いをしているということである。
もちろん表情の機微とかカメラの位置、色使い一つとっても実にスバラシイのだが、光の粒子を操るようにしてアレコレ表現するというのは並大抵の技巧ではない。
とりわけ本作のような、リアルに近いタッチの作品においてそれは顕著にみられるわけだが、「日常」とか「小林さん家のメイドラゴン」みたいに漫画的な絵柄の作品においても、着目して見ると案外工夫されているようだ。
当然、先に放送された分を見ておいた方が理解も深まるのだが、初見でも必要な部分は説明されていたので、置いてけぼりになる心配はない。
復興支援ということを抜きにしても、とにかく繊細で美しい作品なので、正伝含め多くの人に見てもらいたいアニメである。
ところで、僕が観に行ったのは、2週目の入場特典が配布開始となる日(初日)であった。
確実に入手するために朝イチの回を予約したのだが、なんと「2週目」の特典は初日で品切れになるほどの盛況ぶりだったらしい。
またこの日は関連グッズの発売日でもあったのだが、僕が行った映画館では開館5分で完売。
やや遅れて到着した僕が手にしたものが、ラスイチであった。
京アニ人気を改めて認識した次第である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?