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作家に貢献するということ

漫画でも音楽でもそうだが、それらを生み出したクリエイターにお金を「落とす」ことの重要性を理解したのはずいぶんと最近のことだ。

それまではというと、根がどこまでも利己的なものだから、ぶっちゃけ見られれば(聞ければ)手段は一切問わないというスタンスであった。

いわゆる「割れ」と呼ばれる手口、僕が高校生の時分などは規制もまだ確立していなくて、発売直後の漫画雑誌から転載されているものも、比較的容易に発見することができた。


僕の意識が変わったのは、いわゆる同人誌を買うようになってからのことだった。
念のため言っておくけれども、ここでいう同人誌は18禁的なヤツのことではなく、もっと広く、少数の同人によって出版された本全般を指している。

僕がメインとして買うのは「資料性同人」なんて呼ばれるもので、その名の通り資料的価値の高い同人誌である。

具体的には、古い貸本漫画の復刻とか、ソフト化されていない映像作品の情報集とか、ガラ物のミルクのフタの写真集とか、利益を重視した商業出版では到底出すことのできないような、マニアックな内容が満載で実に面白い。

こういうニッチな情報はもちろん他では得られないし、積極的に同人誌を購入することで作っている人を応援したくなったというのも自然な話だろう


そんな風に同人誌を買っているうちに、職業的にやっている作家とか漫画家についても、買って応援することがとても大切だという思いが強くなってきた。

まあ貧乏な遊民なのでオイソレと新刊を買いあさるような真似はできないのだが、「これは」という本はできるだけ買うように心がけている。


で、作家への還元というのは、基本的に本を買い、その印税によってというのが主な手段となるのだろうが、このたび面白い試みを目にした。

それが先週開催されていた、喜国雅彦氏による「それはオカズだ展」である。

喜国さんといえば、『傷だらけの天使たち』とか『月光の囁き』とかで知られる漫画家で、僕より一回り上の世代にはよりなじみ深い方ではないかと思う。

で、今回開催された個展では、『傷だらけの天使たち』に使用された四コマ漫画の原稿がすべて展示されたのだが、なんとそれらはその場で来場者に販売されたのである。

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つまり展示会でありながら、人気の原稿から次々になくなっていってしまうという、僕としては非常に新しい試みがなされたのだった。

よくよく考えてみると、作家が原稿を秘蔵し続けたところで、それは基本的には一銭にもならない。

死後どっかに寄贈されたりとか古書市場に流れたりすることはあるけれども、その場合、作家本人には一切の利益が入らないことになる。
それは少し寂しいことだ。

それならいっそ、欲しい人のところに嫁がせてしまえば、ファンとしては非常に嬉しい贈り物となるし、作家としても直接利益を得ることができる、正に「win-win」の関係ではないか。


ということで、僕も2枚ばかり購入。

奥さまの国樹さんともに丁寧に対応してくださるのがありがたく、2枚ともサインを入れていただいた。

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(こういう下らないのがすごく好き)

関係ないけど、喜国さんは古書マニアでもあって、何度か古書店でお目にかかっている。
今回もご挨拶をしたら「今日は神保町はよろしいんですか?」とお声かけ頂き、恐縮したことであった。


もっともらしいことをブツブツ書いたけど、一読者として作家に貢献するとともに、できるだけ会える方には会っていきたいという大きなスタンスは、今後も変えずにいきたいと思う。

むろん、財力の続く限りにおいて、の話である。

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