クリスマスキャロルの頃
あっという間に今年も暮れようとしている中、世間はクリスマスで賑わいつつあるようだ。
いま僕の仕事場ではガンガンにクリスマスソングがかかっているのだが、毎年同じCDでやってる(しかもそんなに曲数が多くない)ので、この時期は頭がおかしくなりそうになる。
ワム!のLast ChristmasとかマライアキャリーのAll I Want For Christmas Is Youとか、もちろん名曲だし好きでもあるのだけど、200回も300回も聞けば然るべく飽きて来るというものだろう。
あえてマイナーなクリスマスソングを紹介するとしたら、アメリカのアニメFamily GuyからAll I Really Want For Christmasをあげてみたい。
アメリカンブラックジョークの代表格みたいなアニメで、人を選ぶし日本だと見られないけれども、僕としては海外に行くたびにチャンネルを合わせるくらいに好きな作品だ。
歌詞はひどいが、この作品の劇中曲は軒並みよくできていると思う。
クリスマスはやっぱり恋人たちの日である、というのは案外グローバルスタンダードではないようで、僕がかつて滞在していたフィリピンでは、むしろ家族と一緒に過ごすものという慣習が根強いみたいだった。
フィリピンには「BER Months(ベルマンス)」という言葉があって、BERが付く月、すなわちSeptember, October, November, Decemberは冬と見なされている。
もちろん日本みたいな厳冬が訪れることはまずなく、12月だろうと構わず半袖で過ごせるのだけど、このBER Monthsの始まりである9月になった途端に、そこらじゅうでクリスマスの飾りが見られるようになるのだから面白い。
クリスマスは彼らにとって一大イベントであり、暴論を言えば、年の半分くらいはクリスマス気分で浮かれているというわけだ。
(当時滞在していた寮、夜でも明るい)
日本では、クリスマスが終わった瞬間に飾りの類は一斉になくなり、とってかわるようにして年末年始関連のうら寂しいムードが充満するものだが、フィリピンは違う。
少なくとも僕が見た限りでは、派手なクリスマスツリーも、店内の絢爛なBGMも、年を越してなお、そのまま輝き続けていたものだった。
それがいつ撤去されるのかというと、これはどうやらバレンタインデーの折であるらしい。
ちょっと記憶が曖昧なので、滞在当時の日誌をそのまま引用すると、
アメリカとかイギリスでどうやって楽しまれているかは具体的に存じ上げないのですけれども、少なくともフィリピンでは、男性が意中の女性に花束なんかをプレゼントするイベントと認識されているようです。
とある。
「バレンタインの日はラブホに長蛇の列ができるよ」というフィリピン人の先生の言が正しいのかどうか確認はしなかったが、ともあれ恋人たちにとってはこちらの方がイベント感は強いようだ。
恋人、というと、大学の折に1度だけ女性とお付き合いをしていたことがあるのだが、その間2回迎えたはずのクリスマスは会っていた記憶がない。
少なくともうち1回は、中学の同級生(それも女子)と2人で連れ立って、障害者施設で楽器の演奏会をやっていたのだから、いま思うとなんだかなぁという心持がする。
ある意味では、独りでいる気楽さを痛感できたからよい経験だったのだけれども、誰かと付き合ってみようかというのは、つくづくくだらぬ気の迷いであった。
とか何とかいいながら、目下、暦とは連関のない生活を送っている次第。
ところで最近読んだのだけど、堀井憲一郎『愛と狂瀾のメリークリスマス』という新書、クリスマスの成り立ちから日本での需要まで、意外と知られていないが考えてみるとよくわからないことがまとまっているので、気になる向きにはオススメしたい。
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