金沢の小学校で感じた子供という自由
ネオティーチャーというアイデアに
声をかけていただいたのは、
コロナ禍の緊迫した緊急事態宣言中でした。
キムソンヘさんから紹介を受けて
金沢大学附属小学校の中川先生に出会いました。
「コロナ禍の中、自宅で過ごす子供達に
夢の授業を」
ということでまず初めにやったのは
YouTubeで、「夢」の叶え方について話す授業と
今家で、「夢」に向かってできることを配信しました。
https://youtu.be/8n1BYFHZ5Jg
https://youtu.be/U-8PAIeAHRE
この時の反応ですごく驚いたのは
子供達はみんな夢をしっかり持っていることでした。
「わからない」という子はいませんでした。
僕が定期的にやっている
れもんらいふデザイン塾でも
夢について話し合ったりするのですが、
受講生平均年齢25歳の会話では
「夢がわからない」という人がほとんど。
子供の頃は夢があるのに
大人になるにつれて現実を知り
叶わないことだと気づき、変化して
わからなくなってしまうのだろうか。
そう言えば似たようなことで、
僕が毎年審査員をやっている
「学展」という学生むけ油絵の賞があり
800点ぐらい幼稚園生から大学生までの作品を
審査するのだが、
小学校低学年までは描く絵に自由度と大人には
思いつかない感性を感じるのだが
小学校高学年あたりから、
油絵らしい絵になり、
技術は上がるが、感性はあきらかに下がっていきます。
(もちろん全員ではなく平均です)
子供の頃の方が夢や描く絵、考え方そのものに
自由度が高いなら、教育ってなんなんだろう、、、?
10月末、
今度は中川先生に呼んでもらい
リアルに金沢大学附属小学校まで伺いました。
小学校3年生を対象に
約100人の生徒の前で
「自分のロゴマークをつくろう!」という授業をやりました。
「夢」「好きな事」をモチーフに
名前をデザインするという内容です。
みんなに挙手で夢を聞いて回りました。
「医者!」「数学者!」「パイロット!」「女優!」みんな迷いなく手を上げて伝えてくれます。
クレヨンでどんどん描きはじめる子、
丁寧にゆっくり描く子、
英語にするか日本語にするかで迷う子、
何回もどんどん描き直す子、
泣いて描けない子、、、、
その全てが愛おしいく見ているだけで
涙が溢れます、、
泣いて描けない子に話しかけると
「絵を描くのが苦手なんです」と勇気を持って僕に言いました。
得意な事は何?と尋ねると
ちいさく「水泳」と言ってくれました。
「じゃあ、プールの四角を描いてその中に名前を描くだけでも立派なロゴだよ」と
教えました。
残り1分で彼は手を進めて完成させました。
この小さな勇気と
この場所は、
毎日こんな奇跡がおきているのかと思いました。
ふと横をみると35年前の僕がそこにいました。
恥ずかしがり屋で、先生にも声を掛けれず
手で絵を隠しながら描いていました。
「先生、僕はいつか漫画家になりたいんだ」
その一言が言えなかった。
最後に、全員の絵を並べて好評会。
できれば1人、千原徹也賞を選ぼうと思っていましたが、選べませんでした。
今、プロで、ロゴを作ることを仕事にしている僕が、勝てる作品がひとつもない事に気付いたからです。
子供達の感性は、今の僕よりはるかに強い
そう感じました。
「今日つくったロゴは、家の1番目立つ場所に
成人するまで貼り続けてください。
みんなは、これからどんどん学びます。
その分、生きることが自由だけではないことに気づきます。
そのロゴの絵を成長の過程の中で毎日見ることで、小学校3年生の僕は、こんなにも自由な感性を持っていたのかと感じてください。
今の気持ち、ずっと忘れないでください」と
締めくくらせてもらいました。
はじめに
教育ってなんだろう?と書きました。
僕にも子供がいます。毎日学校に通います。
毎日通う場所だからこそ期待と心配があります。
本当に意味のある時間を過ごしているだろうか?
考えます。
金沢の夜、中川先生達と学校教育についてすこし話しました。
「私たちは毎日楽しい、毎日感動してる、
その一方で、先生がインプットする場はまったくない」と。
たしかに僕の仕事は、撮影で海外に行く事もあれば、新しい人にたくさん出会えます。
毎日がインプットです。
先生は、毎日同じ場所で同じ人に会う仕事です。
しかも、忙しすぎると感じました。
1クラス30人の人生を6年預かるのは大変すぎます。子供達と会う時間だけでなく、その日の復習、次の日の準備と、24時間では足りないくらい毎日戦いです。
インプットの時間も必要です。
子供達の先生なのですから。
「交換留学しません?」中川先生がいいました。
れもんらいふに私が1週間働いて、永瀬さんが、
1週間先生やるとか?どお?
なんて意見もでました。
面白い!
やりたい、、、、!
先生はクリエイターである必要があります。
子供達の自由な感性には負けてはいられません。
「ネオティーチャーって言う雑誌つくりません?」中川先生がいいました。
僕たちも先生や子供達と出来ることはたくさんある。
デザインは企業や商品や賞のためのものだけじゃない。
そうだ、デザインはもっと自由だ!
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