未だ見ぬ。
少しだけセンシティブな話をしようかと思う。
先日、高校3年間同じクラスの友達が出産をした。
何かあると飛んで来てくれるし、飛んで行くし、本当に友達の少ない私にとって貴重で大事な存在の彼女。
その彼女の妊娠を聞いた時、仕事中なのにも関わらず泣いてしまった。
そんな彼女の子供、しかも生後2日目だ、可愛くない訳がない。
シャッターを切るのも止まらず、笑われてしまった。
「あんたももう子供つくっちゃいなよ」
それに曖昧に笑う。
いろんな人から言われるその言葉。
少しだけ胸が痛くなる。
私の病気、橋本病では子供がお腹の中で育ちにくい、いわゆる不育症になることが多い。
お医者様からも「万が一妊娠したらすぐに言ってください。薬の量を増やさなきゃいけないので」と診断されたその日に言われた。
彼は子供が好きだ。
私はずっと子供が苦手だった。
それでも仕事上、小さな子供と接することが多くなって、子供を持つのも良いなぁと思うようになってきた。
彼に子供が育ちにくい話をした時
「子供がいない、2人だけの人生も俺はたのしいと思うよ、大丈夫」
と言われた。
有難かった。
けどさみしかった。
大好きな彼の人生に、彼の子供を寄り添わせてあげたかった。
夢を見た。
私の隣には小さな男の子がいた。
静かな寝息が聞こえる。
多分小学生になる前くらいの歳だと思う。
可哀想に眉毛が私に似て、下り眉毛だった。
下り眉毛の私と、吊り眉の彼、どっちの眉毛を受け継ぐか彼とかけていたが、どうやら私の遺伝子が勝ってしまったようだ。
その隣に彼がいた。
どうやら3人でお昼寝をしてしまったらしい。
レースのカーテンが揺れている。
起こさないようにカメラを手に取る。
シャッターを切る。
同じ体勢で寝てる2人を見て「あぁ、しあわせだなぁ」と思った。
夢の中で一度だけ呼んだあの子の名前が忘れられない。
いつかあの子に会える日が来るのだろうか。
どんな風に、どんな声で、私を呼んでくれるのだろう。