空を泳ぐエイにつかまって
同窓会で大きな客船のクルージングに参加した。
ゆっくりと紺色の海を進む船。
波はほとんどない。
デッキに出ると、空も海も大小様々なエイの群れ。
ほう。
わたしはデッキに空から近づいてきた中くらいのエイにえいっと飛び乗った。
平たい背中に座ると、手も足も伸ばせる。
エイはゆるりと高度を上げて空を進んだ。
高いところから見下ろせば、
何十種類ものエイたちが客船の周りを浮遊している。
灰色と白の、カーペット何枚分かの大きいもの、
真っ青が美しい、人の背丈ほどの丸っこいもの、
黄の目立つ小さな菱形のようなもの。
海面をはさんで水中にも同様に泳いでいるのが見えた。
もう空も海も、青の色が少し違うだけで、
境といったら一枚のやわらかい水面のみ。
わたしを乗せたエイは再び下降して、近くにいた仲間と遊ぶようにひらい体をくるりと宙返りさせる。
わたしはそこから落ちてはいけないと、けれど次のエイにも乗ってみたくて。
体をひるがえす瞬間、斜め下を泳いでいた薄青の小さなエイに乗り移った。