青の雪
昨日の深夜に雪が降った。
降っている気配だけを感じて眠った。
朝になってカーテンを開けると、昨日降ったのは青色の雪だった。
外に出て街が青色に染まるさまを見る。
道も屋根もうっすらと青く、枝だけだった木々はその黒い枝にこんもりと雪を乗せていて、青い花を咲かせているようだった。
太陽の熱で溶けだしてキラキラと光る青い花。
近くの駐車場にいつも止まっている黄色い車はほんのりと緑色に見えた。
青い雪が降ると人々は空を見上げる。
今日は晴れているので空も青い。
まるで空が地上になったように上も下も境のない青に包まれる。
青い雪が積もっている間、彼らは主張しているのだ。
私たちの青い空はゆくゆくは地上になり、
私たちが立っている青い地上はゆくゆくは空になる。
どこまでも大きな大きなひとつなのだと。
いつか海に青い雪が降ったのを見たことがある。
海の深い青に舞い降りた瞬間、青は青に吸い込まれ
その表面をほんのりと鮮やかにしていた。
あらゆる色がこの世の色だけれど、
その中でも青はひときわ大きな色だった。
静かにそこにあって広く私たちを受け止める。
青い雪はそのことを思い出させる。
キラキラときらめく青い絨毯を
転ばぬように踏みしめながら
青い気持ちでしばし生きてみようと思う。
この陽気だと来月頃には春めく黄色い雪が降るかもしれない。
あれはあれで町中がサングラスだらけになるのだ。