夏ってさ、
ー昔は夕方になったら、網戸開けるだけで涼しかったのに、今じゃもうそんな事出来ないわね。息子なんて鼻の頭に汗疹できちゃって(あはははは)
確かに私が小さい頃は、
夕方になったら網戸を開けて
水色とピンクが混ざり合うマジックアワーの空を眺めながら、それとなく優しく甘い夏の風を感じて、蝉の声ももっと近くに聞こえた夏の夕方。
ー今そんな事出来ないものねぇ。
隣で整体を受けてたおばちゃんと、整体師さんの会話。
その話を聞きながらいろんな事が頭によぎる。
確かに、今の時代夏に窓を開けるなんて危険行為。
クーラーつけないのは自殺行為。
私は3年前、1人暮らしをしていた頃は夏でもクーラーをつけずにほぼ半裸で、水をがぶ飲みしながら過ごしてきた。
電気代も勿体ないし、そもそも古いマンションでクーラーが壊れていた。
それでもひと夏を過ごすことは出来ていた。
でも今はどうだろう。
数日前ちょうどニュースで、3年前の私と同じことをしていたおじさんが、熱中症で病院に運ばれてインタビューを受けていた。
「俺は夏生まれだから、暑さには強いと思ってたんだけどな。」
もはや、そんな時代ではない。
ともなると、良き日本の夏の風物詩である
縁側で老人と孫が蚊取り線香を焚きながら、スイカを頬張るなんていう絵はもう存在しなくなるのかしら。
縁側になんて座ってたら熱射病になってしまうし、中に居る人もクーラーが効かなくて熱中症になってしまう。
季節に合わせて生き方が変わる。
情緒だのなんだの言ってられなくなる。
文化が衰退する。
そのうちSF映画に出てくるみたいに皆シェルターに住んで外気とか自然とは無縁の生活になる…
整体師さんに背中をゴリゴリされながら
そんなことを考えていた。