【岐路03】休学
高校と大学の一番大きな違いは、高校は両の掌を指し出して待っていれば、ひとまず必要な事は先生が上の方から落としてくれる。一方、大学は自分で目的地を定めて、自分の力でそこへ辿り着くことが必要であり、待つだけの人には単位しか与えられない。
そんな訳で、この単位しか与えられない状況(実は、本人の自主性と自立性に難があるのですが・・・)に「あれ大学ってこんなとこだったの?」と言うシナジー効果が働いて、2年目からは休学。時給600円でトコトン働いてみることにした。
1日目10時~18時まで福井市で店番。その後、隣の市に移動し、20時~翌2日目8時までホテルのフロントの夜勤(トラブルが無ければ仮眠できる)。その足で再び2日目10時~18時まで福井市で店番。2日目の夜は布団で眠れるが、遊ぶ時間は睡眠時間を削ることになる。週末はホテルのブライダルで給仕のバイトも入るので、数えてみると月の大部分は働いていた。働いて、寝ずに遊んで、半年が過ぎた頃、おつむの弱い私でもいい加減気がついた。
『時給600円で自分を切り売りしても、得るものが、とてつもなく少ない』
馬鹿らしくなった私は、翌春、サクッと復学する。しかしながら、すっかり労働者思考となっていた脳みそを、完全勉強モードの学生思考に作り替えるのは、大変難儀した。