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【岐路05】橋だけ凍る

 まだ、放射冷却なんて専門用語が知られていなかった頃、冬の晴れた時に橋の路面だけが凍結するという事故が相次ぎました。放射冷却で橋の温度だけが急激に下がって、大気中の水分が路面に結露・凍結し、それらが路面に徐々に蓄積して、タイヤと路面との摩擦を減少させてしまう、というのがその発生メカニズムです。

 卒論を書き始める前の3年生の時(1休学1留年)から携わっていたのですが、「この研究をしているヤツは他にはいなくて、それを現場でちゃんと実測して、世界中でこの現象に一番詳しいのは渡辺君なんだから、それを知らない人達に胸を張って、喋れば良い」という教官の言葉に押されて、卒論の発表さえした事もない4年生なのに、学会で発表もさせて貰いました。

 しかしながら、こう書くと聞こえは良いですが、ただひたすら一晩中、福井市内の足羽川に架かる花月橋の上で、暖を取ることも出来ずに計測し続けるのが仕事です。

 「君はオウム真理教か?」「兄ちゃん、ええ根性してる。また、飲みにいこや(本当に飲ませて貰った)」

 ただ、「マジ大変だとは思うけど、その景色ってさ、貴方にしか見る事が出来ない景色でさ。他の誰かが、見たかった景色かも知れないんやで(もうちょっと頑張りや)」というフレーズに活かされています。

 大変なのですが、答えが見えない分からないことに取り組んで、それが分かる様になった時、とても嬉しいし、その過程はとても面白い。

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