"夏"、"夏を壊す"といったフレーズが気になりはじめたVRChat初心者たちに捧ぐ記事【PROJECT: SUMMER FLARE】
こうタイトルを置くと、おそらくベテランプレイヤーたちも内容を確認しに来るのでしょうけれど、ここに書くのはシールドレベルをMaximumにするかのような極めて””過保護””な内容です。あのワールドを絶賛し讃美し推奨するような内容の記事ではありません。
あのワールドは確かにとても美しいワールドですが、しかしだからといってVRChat界に踏み入れたからには経験しておくべきだ、経験しにいって当然だ、といった風潮さえ感じられることがある現状には筆者は個人的に疑問を感じています。
え?そんなのいったいどこの風潮だって?
筆者がかつて所属していたコミュニティの主に
「あなたの(VRChat)初心者案内のゴールは何だ?」と問いかけたら
「夏を壊させること」という即答が返ってきたあたりから察してください。
(ちなみにこれは2023年の夏のことです。しかしひとは移ろい変わりゆくもの。ある時点での評価が未来永劫ずっと有効なわけではありません。今同じひとに同じことを問えば、あのときとは違う答えが返ってくるかもしれない。決めつけはだめですよ?)
この世界は他者に迷惑がかからない限りはどこまでも自由です。
"PROJECT: SUMMER FLARE"は確かに美しい。
でも所詮はVRChat界に存在する無数のワールドのうちの、そのただ一つに過ぎません。
そんなただのの一つにしか過ぎないワールドなんて、経験してなくても、クリアできなくても、あるいはクリアできたにしてもギミックやメッセージ性に苦手意識を感じた場合でも……何も気にすることはないのです。
あなたがVRChatに籍をおいている限りにおいて、
あなたはひとりの立派なVRChatプレイヤーなのです。
それ以上の相手の干渉はただの一方的な価値観の押しつけでしかありません。あなたはそんなものを求めてこのVRChat界にまで来たわけではないはずです。
PROJECT: SUMMER FLARE
"夏"、それを壊す、というのはVRChat世界においては【PROJECT: SUMMER FLARE】……略称、PSFというワールドおよびその体験を示します。
詳細についてはこの記事ではできるだけ伏せておきますが、VRChatの日本プレイヤーの間では広く知られ、根強いファンも多いワールドです。
ですが、ひとりの経験者として筆者は言っておかねばなりません。
あのワールドはけして万人受けするようなものではない、と。
ワールドの注意書きにも注意を要すべき内容が書かれています。
注意書きをきちんと読むのは大切ですよ。
攻略にあたり事前に確認しておくべきこと
以下に夏を挑みたいというVRChatプレイヤーにむけて、いくつか事前に確認しておいてほしいことを並べておきます。
あのワールドは攻略に失敗すればリアルにダメージが及びうるものです。
一体なにをいっているのか、SFじゃぁねぇんだぞと思うかもしれませんが、マジです。
リアルに影響してしまうことを極力避けるためにこの記事を書いています。
1. VR/ファーストパーソンビュー経験をそれなりに積んでいるか?
それなり、というとだいぶ曖昧ですが、筆者の個人的な考えを申しますとVRモードに関して言えばVRChatをはじめる前からVRにそれなりに慣れ親しんでいる方なら問題ないだろうと考えます。
VRChatからはじめてVRの世界に入ったよ、という方であればTrusted Rankが最低でもUser以上がひとまずの目安かなと思います。
可能ならばTrustedまで上げきった状態でもいいかもしれません。
あのワールドは大きな動きを要求されます。VR慣れした状態での挑戦が望ましいです。
デスクトップモードの場合、マインクラフトのようなファーストパーソンビューなゲームに慣れ親しんでいるのなら心配はいらないでしょう。
ファーストパーソンビューなゲームもVRChatが初めてだ、という方ならばVRモードとおなじくTrusted Rankが最低でもUser以上、可能ならばTrustedを推奨します。
あるいは、VR慣れはしてないけどファーストパーソンビューは十分に経験している、ということであれば、VRゴーグル所持者でもあえてデスクトップモードで挑戦する、という選択肢も存在することはわすれないでください。
慣れてないけどどうしてもなんとかして行きたい、というのならば、あらゆる選択肢が検討されるべきです。
2. VR酔い/3D酔い耐性は十分か?
1にほぼほぼ被ってますね。
十分でないならVRChatの"移動時のトンネリング"の有効化、"回転のスナップ"といった酔い軽減対策設定や酔い止めの薬品類の用意は必須です。
1のVR経験をそれなりに積んでいるか?というのもこういうところです。
試していませんが、"ホロポート移動"でのプレイは要求される操作の関係上、困難かもしれません。
1のとおり、VRゴーグル所持者であってもデスクトップモードで挑戦することも可能です。
3. ホラー耐性は十分か?
ワールドにも注意書きがありますが、狂気を感じる描写を含みます。
人によっては下手なホラーワールドよりも恐怖を感じることでしょう。
苦手であることがわかっているのなら要注意です。
複数人で挑戦し、苦手なところは目を閉じている間に代わりにやってもらう、といった対策も有効ですよ。
4. 強すぎるVR感覚(ファントムセンス)の持ち主でないか?
ややネタバレをしてしまいますが、このワールドは想像される外気温の極端な変化や強い痛みを想像させる描写を含みます。
VR感覚が強いとわかっている場合は細心の注意を払うべきです。
たかがVR感覚だとなめてかからないでください。
たとえリアルでなくともVR体感気温の極端な変化はときに自立神経の崩壊を招き、VR痛覚への強烈な刺激はときに人を気絶させうるものです。
筆者のフレンドのうちの一人にこのワールドではないのですが、VR感覚が強いことがわかっているのにVR断頭台を経験しにいって完全に意識を失ってしまい、目覚めたあとで別の方にそれを話したら大目玉をくらった、という方がいます。
とても大切なことなのでもう一度書きます。
たかがVR感覚だとなめてかからないでください。
人命に関わり得ます、真剣に。
5. 参加者のうち、いずれか一人でも飛行可能なアバターを所持しているか?
もちろんなくてもクリア可能なように作られていますし、
ゲームとしてみれば空を飛ぶのはぶっちゃけイカサマです。
ここではないですが実際これを良しとしないゲームワールド(あるいはその作者)も存在すると筆者はきいたことがありますね。
しかしこの"夏"に限れば、参加者のうちいずれか一人でも
飛行可能なアバターを所持した状態で挑戦することを強く強く推奨します。
これがない状態で運悪く詰まってしまえばそう遠くないうちにゲームオーバーを迎えてしまうことでしょう。リアルに影響する形で。
実は筆者もこのワールドの初回挑戦時はゲームオーバーになりました。
ワールドのギミックとしてゲームオーバーを迎えてしまったのではなく、
リアル側の筆者自身が疲れ果てて力尽きてしまったために。
途中で中断するにしても参加者同士「おつかれさまでした」の挨拶すらできずに終わるという最悪の結末を避けるためにも、必ず飛行可能なアバターを所持しておいてください。
6. 参加者全員の体調は万全か
当たり前ですが念のため。
途中で休憩することは可能ですが、仮に全部通しで初見プレイした場合は数時間はかかることを覚悟しておいてください。
プレイ中もお手洗いや水分補給のために休憩を適宜挟むことを忘れずに。
とくにVRゴーグルを使用している場合は夢中になっている間に水分補給を忘れがちです。
気をつけてくださいね。
確認事項に問題があった場合、その他の対策
上記確認事項をすべてチェックした上で、なにも問題がないのならばもはや止めはしません。
【PROJECT: SUMMER FLARE】
……"夏"とは何か、その目で確かめてくるとよいでしょう。
一方、問題があった場合でも、上記確認事項にもいくつか書きましたがほかにも対策はいろいろあります。
そもそもいかない
それは果たして対策なのか……?
とはいえ最初にも書いたとおり、所詮はVRChat界に無数に存在するワールドのうちの、そのほんの一つにしか過ぎません。
経験してなくともあなたはVRChatプレイヤーです。夏を壊していない、壊せなかったことについてどうこういわれなければならない理由はどこにもありません。
あるいは経験者の中にはもしかしたらあのワールドのもつ強いメッセージ性が苦手だという方もいるかもしれません。
苦手なものは苦手でよいのです。それを声高らかに叫べばきっと皆から煙たがられてしまうことでしょうが(しちゃだめですよ?)、
しかし苦手であることそのものは許容されますしされるべきです。
それがVRChatという世界なのです。
他の人のプレイ動画で見る
そろそろPSFファンから刺されそう()
しかし自分で体験するには苦手な部分が多いけれどとりあえずどういったものなのかだけ知っておきたいという場合にはとても有効な選択肢だと筆者は考えています。
VRChatはVRでのプレイが可能ですから体験がリアルです。
ゆえにこの世界の住民は直接"体験する"ことに価値観の重きを置きすぎてしまっているように筆者個人は感じています。
しかしそれにこだわらなければならない理由などどこにもありません。
そもそも直接的な体験が全てでないことは当のVRコンテンツ自身が証明しています。そのゴーグルの中に、モニタの中にある世界は最初から現実のものではないのですから。
「せっかくのVRなのにもったいない」?「この体験は一度だけ」?
そんな声も聞こえてくるかもしれませんが、しかしそれらは価値観の一方的な押しつけにしか過ぎません。
相手にするだけ時間の無駄だよ、と断じておきます。
何度でも書きますが、他者に迷惑がかからない限りはどこまでも自由、それがVRChatという世界です。
デスクトップモードで挑戦する
上記1、2のところにも書きましたね。
VRではしんどいかもしれないけれどデスクトップモードならいけるかも、
という場合には遠慮なくその選択をして構いません。
あなた自身の安全こそ最優先であるべきです。
経験者に同行してもらう
初心者さんたちだけだと案外思い当たらない選択肢ですが、実はPSFファンたちの間ではとても一般的な対応策です。
「Project: Summer Flare」に挑戦したい、とベテランに声をかけたなら大抵はそのひとが応じてくれるか、あるいはそうでなくとも応じられる他の誰かにつなげてもらえることでしょう。
この記事では随分と危機感を煽る書き方をしていますが、しかしファンが非常に多い、とてもとても人気のワールドであることは疑いようがありません。
どうか勇気を持って誰かに声をかけてみてください。
もちろん、上記確認事項やそのほか心配な点については事前に共有しておくことを忘れないでくださいね。
もしこの方法でうまくいったのなら、そしてあなたのココロに湧き上がったそのなにかを「言葉」という形にすることができそうなのなら……
ぜひ、それをありのまま案内してくれたその方に伝えてあげてください。
その感想からしか得られない栄養を求めていること、多々ありますよ。
最後に
以上、このくそ無駄に危機感を煽ってばかりのお気持ち駄文におつきあいいただきありがとうございました。
しかし、それでも何度でも書きましょう。
VRChatの世界は誰かに迷惑をかけない限り、どこまでも自由だ、と。
いろんな道があります。
PSFのようにアドベンチャーワールドで冒険や感動を追い求めるのだって一つの道です。
アバター改変にこだわって自分の望む姿を追い求めるのだって一つの道だし、
もちろん気心知れた仲間と静かに過ごすのだって一つの道です。
Publicワールドで不特定多数の誰かと交流していく道でもいいし、イベントスタッフになって誰かをもてなす道だっていいのです。
UnityやBlenderに没頭してばかりでなかばVRChatをほっぽりおいてしまうのも一つの道であり、あるいは創作や表現を通じて場合によってはVRChatどころかメタバースという枠さえ飛び越えていく、それもまた道です。
そしてこれだけたくさんある道を、あえてどれも選ばないことさえもまた一つの道なのです。
欲張ってたくさんの道を選んだっていいし、どれ一つ選ばなくたっていい。
自分が心からこれだと思える道を、自分だけの道をみつけてみてほしい。
それがこの世界にやってきてくれた皆様に対しての、すっかりこの世界の住人の一人に堕ちてしまった、筆者個人としての自分勝手な願いです。