旭川へ犬ぞりに行ってきた!
北海道・旭川へ、犬ぞりをしに行ってきたー!
もう….
人生観が変わってしまうんじゃないかというほ
どに最高な体験で、未だ余韻に浸っている…
元々、私は犬が大好きで、犬に人間を引かせるのは申し訳ない、虐待になってしまうのではないかとすら思っていたのだけれど。
でも最近、狼にも興味があって、犬ぞりの犬も狼の習性に近いとのことで好奇心が勝ち、参加を決意。
マイナス20度、宿泊するゲルも寝るときは薪ストーブを消す(!)とのことで、楽しみよりも寒さに対する不安が強い状態で、当日を迎えた。
2年ぶりの飛行機は、なんだか感慨深かったなあ…
旭川からバスを乗り継ぎ乗り継ぎ、上川町へ
お迎えに来てくださった車で、人の住まない場所へと入っていくと、一面雪で、雪しかなくて
。
これまでの人生で見たこともない、ただただ圧倒的に真っ白い景色が忽然と広がっていた。
今回は3家族12人でお邪魔をし、全部で35頭の犬たちが我々をそりで引いてくれる。
まずは、着替えて、35頭の犬とご対面。
(今回2頭はお留守番)
かわいい!大きい!いっぱいいる!!吠えまくっててちょっと怖い…
そりの操縦方法を練習した後、35頭の犬たちにハーネスをつけ、それぞれのそりにつないで行く。
これがすごく大変なんだな!
犬の群れの中にはそれぞれ順位があるし、相性もあるから、間違えたら犬が喧嘩をしだす。
(首に噛み付くガチ喧嘩)
そもそも我々来たばかりで35頭の顔と名前が一致していない。彼らはものすごい力で動き、それを制御するにも精一杯。
初めてつけるハーネスはこんがらがる、勿論言うことを聞いてくれない。ちょっと怖い。
汗だくになって35頭をつないでいく。
この時間が実は尊くて。
いろいろな犬のお世話をしていくと、少しずつ顔と名前が一致していく。
黒くてやんちゃなバルト
人懐こい善逸
耳の大きいエルザ
顔面偏差値の高いチョモ
真っ白なぴりか
などなど
(私、人間より犬が好きなので、犬の顔と名前は不思議なほどスイスイ覚えられる...)
犬の相性や個性によって、そりは4頭から6頭に編成される。全部で7台のそりが一列になって走る。
私が任されたのは、前から2番目を走る6頭引きのそり。
リーダーはガンバ、サブリーダーはタッチ。
人間は、私と、お友達家族の次男jinくん。
(将来の備忘録のために書いておくと、2列目は、ルル、ベータ。3列目はエコー、ジュンタン。翌日ジュンタンはレラと交代になる。)
ガンバ、タッチ以外は思いのほか小ぶりで、特に小さく柴犬のようなフォルムのジュンタンに最後列を引かせるのが申し訳ない気持ちになってしまった。
大きく掛け声をかけてそりをスタートしていくと、一面の雪景色に飛び出した。
圧巻。
冷たく澄んだ空気は最高で、心身全て浄化される気がして、これでもかというほど深呼吸した。
ただただ、雪景色が泣けるほど美しい。
行きの11kmはとてもスムーズで、jinくんと快適だねえみんないい子だねと話していた。
うちのチームは、どの子もあまり人間に興味を示さず、際立った個性の持ち主もいない。
とはいえ、エコーはしょっちゅうこちらを振り返るし、ルルとベータは撫でて声かけすると、尻尾を振ってくれる。
最前列のガンバとタッチは、にこりともしないし、こちらを振り返りもしない。
冷静沈着、何事もスムーズにこなしていく感じだった。
淡々と進んでいく。ノーストレス。
ところが我々の前後のそりはどうもうまく行っていないようだった。
うちの前の先頭そりを眺めていると、人がほとんど走っていたし、我々のそりはすぐに追いついちゃう。
後ろの4頭引き1人乗りそりは、ほとんど私たちのそりと間隔が空いていて、ずっと遥か後ろを走っている。休憩の時に、人間のryuくんは、犬が全然走ってくれない〜と半泣きで疲れてひっくり返っていた。
他のそりでも、際立った個性を持っている犬が走らない、道草ばかりする、言うことを全然聞かない、など、悪戦苦闘しているようだった。
我々のチームは珍しくスムーズだった模様。
ただただ素晴らしい景色を堪能して、いい加減寒くて凍え始めた頃、宿泊するゲルに到着。
そこからまた犬をそりから外し、犬の寝床に連れていき、ベッドとして藁を敷くという作業が延々と続く。
ゲル近くの寝床は一歩歩くとズボっと20cmくらい雪に足が取られて埋まる。文字通り歩くのも精一杯の中、凄まじい力で犬に引っ張られ私でも緊張でピリピリ、必死になった。
手袋を取って、素手で犬たちを鎖に繋いでいく。
犬たちは油っぽくてベタベタする。馬油みたいなもの?室内犬とは全然違う匂いがする。
もうすっかり暗く、ヘッドライトをつけながら作業。
その後も、繋ぐ順がオスメス交互になるように(オス同士が隣合うと喧嘩になるから)、あの子とこの子を入れ替える、という作業をひたすら続ける。
もう暑いし、ふらふら
元から繋ぐ順番を決めて、一発でオスメス交互になるように繋いでいけばいいのにと内心思っていたが、犬を入れ替える作業をしていくうちに、どんどん犬の名前を覚えていくから不思議。
いつもいつも効率ばかりを追い求めている自分を恥じ、こういう一見無駄なことでも利点は詰まっているんだと感心してしまった。
本当はその後、餌づけだったのだが(凍った鹿肉を一人1kg食べるそう!)あまりに時間が遅くなってしまったので、今回は人間の食事を先にしていただいた。
ゲルの中で今回アテンドしてくださった村林さんの絶品串揚げをいただきながら、犬たちの話をたくさん聞いた。
犬たちは、マイナス15度を下回るとコンディションがよくなるらしい、それ以上だとむしろ暑いらしい。
現に、気温がそこまで下がらなかったその日は、犬たちは舌を出して暑がり、休憩に雪に頭を突っ込んだり、雪を食べて暑さを凌いでいた。
寒い中走らせるということがずっと申し訳ないと思っていたので、それを聞いて安心した。
さらには、犬は走りたくて仕方ないということ。
彼らの犬ぞりは、要はお散歩感覚だそうで、実際にスタート前は犬のテンションがめちゃくちゃ上がる。早く走りたい、早くスタートさせてくれ、号令をかけてくれとガウガウ吠えてせがむ。
ついでに言っておくと、37頭の犬をまとめるリーダーは村林さんで、村林さんが登場した時の犬たちのテンションの上がり方は半端ない。狂喜乱舞。
皆が吠えまくる声が地響きのように雪面を轟く。
俺らの村林さんが来たぜえ!!!
リーダー!!!やったるでぇぇぇぇ!!
走りまくるぜえええええ!!
まるで教祖のよう。興味深い。
そして、犬たちは、荷物を乗せて走っている、すなわち人間は犬たちと一緒に走っていると思っているらしい。
最初の走行段階での重さがデフォルトで、そこから少し負荷がかかると人間が乗ったぞと気付き、テンションが下がって走らなくなってしまう。
加えて、威厳や愛着で走る。
最初は一緒に走り途中でひょいと乗ってみたり、始終声をかけることで犬のモチベーションを保つ必要がある。
なるほど子どもがそりの指揮をとるとなかなかいうことを聞かない、下手すると勝手に止まってしまうのはそういうことなのか。
それぞれのそりを引くリーダー犬の素質は、体格でもスタミナでもなく精神力らしい。
練習で走り込む際、気合の入った犬ほど途中で次々とリタイアをしていく。徹頭徹尾平常心で、真後ろから5頭の犬が走ってくる重圧に耐えられるタフなメンタルを持つ犬がリーダーになるとのこと。
さらにいうと、その辺りはもう血統で、37頭のカースト制度の頂点に君臨する1番そりのリーダー・クリスのおじいちゃんは半端なかったらしい。
犬のリーダー争いは結構熾烈で、オス同士がちょっとでも近づくと喧嘩が始まる。
寝る時もオスメス交互にしなくては喧嘩がはじまる。
犬の下剋上はすごい。2番手以上は、常に虎視眈々を、下剋上を狙っている。隙あらば自分が上に立ってやろうと喧嘩をふっかける。
犬は序列順に餌にありつけるんだそうだ。
人間のご飯より先にご飯をもらうべんちゃん(うちの犬)とはw
私は子育てや人間関係に置き換えて考えてしまったわけよww
ブワーッと35頭いる中で、まず人間に覚えてもらえるのは、個性豊かな子。耳が大きい、大きい、黒い、元気、目に大きな傷がある、名前が特徴的、やんちゃ、人懐こい、尻尾をふってくれる、懐いてくれる。
外見的にも目立ったところがなく、リーダーでもなくて、名前も平凡で、かつ人間に愛想をふらないやつは、取り立ててかわいがられることもない。
さて、ひとたび、そりを走らせる仕事となると、人懐こい、やんちゃな犬たちはたちまち皆んなのお荷物になる。指示を聞かない、周りとペースを合わせられない、といった具合で。
「全然いうことを聞かない」「疲れる」と人間からうんざりされる。
でも旅が終わり、犬ぞりを思い返してみると、人々の記憶に残っていたのは、そうやって走らなかった、道草ばっかり食ってた問題児犬なんだな。
人の記憶に残る、愛される犬。
淡々と仕事をこなす、取り立てて懐くわけでも身体的特徴があるわけでもないその他の犬。
なんだか、子どもたちをみてるみたいだな笑
だから私は躍起になって、全ての犬の名前を覚えようとしたんだな。
特徴がない、覚えにくい犬こそ、私は可愛がってあげたいと思ってしまったんだな。
2日目は雪がかなり降っている中でのスタート。
昨日の爽快で突き抜けるような光の銀世界とはまた違う魅力で、
深々と降りしきる雪が、掛け声も、美しい景色も、犬たちのやる気も、何もかもを包み込んでしまう。
前日ありありと存在していた雄大な大雪山の山脈は見えず、黙々と、切々と、近視眼的に、目の前の犬の後ろ姿にフォーカスする。
前日と違って、なかなかスムーズに走ろうとしないのは不思議ですらあった。
鈍く動く様は、まるで別の犬たちかと思うほど。
声が枯れるほど声をかけて、一緒に走って、マイナス20度の世界で汗だくになる私。
それもまた貴重な経験となった。
3日目は旭川で人生初めてのパウダー(非圧雪)スキーを経験して、冒険のようで、これもまた最高の体験だったのだけど、その話はまた今度。
これまで生きてきて、私は当たり前のように東京に生まれ育ち、当たり前に、自他ともに、都会があっているのだと思っていた。ヒールの靴や背筋の伸びる服が好きだし、洗練されたレストランが好き。
でも、コロナでいろいろな環境や心境の変化があって、自然と触れ合う時間、そして犬と触れ合う時間に私はとても幸せを感じるのだと気づいた。
先日、郁ちゃんと山登りをしたときにも感じたのだけれど。
私には今、無心になれる感覚が必要で、しかも私はそれを、身体的動作なしにはどうにも感じにくいタイプで、例えば映画をみる、スポーツをみたりすることではなかなか満たせない感覚だったりする。
だからこそ、体を動かして、自然に触れて、我を忘れる時間をたくさん持つことが、自分の幸福のためには必要だなと感じる。
長年の懸念だった、「不快感」についても解が得られた気がする。
寒さや暑さの不快感、汚れる不快感、水や土が侵入してくるなど、いろいろな不快が私をアウトドアから遠ざけてしまう理由になっていたけれど
例えばマイナス20度のところでは、きちんと高い肌着や防寒グッズで対応すればいい。
最高級の寝袋は、氷点下でも暖かいと知った。
スキーでは、高性能のゴーグルや手袋を使う。
トレッキングでは、それ用のウェアや靴を使う。
文明の利器にきちんと頼れば、不快感はある程度、解消できると知った。
もっともっとアウトドアを楽しんでいきたい。
それが自分の幸福につながると知った。
北海道って本当に、素晴らしい!
去年十勝の家を買うこと検討していたが、改めてやっぱり北海道最高と思ってしまった。
東京以外で唯一私が住みたい!と思う場所かもしれない…
と、ここまで書いてきて、正直まだ、この旅での良き思いが言語化できない。
咀嚼に時間がかかる
でも旅の醍醐味はそういうこと
楽しかったー!だけではなく、何かを感じ、思い、いつまでも心に引っかかり続ける。行動変容すら引き起こす、そんな旅こそ、良い旅だと感じる。
今回最高の旅を企画してくれた、遊びの変態(笑)、おりえちゃんありがとう!
変態な旅を体験したい方は是非、おりえちゃんをご紹介します。
嗚呼、また早くあの犬たちに会いたい!
最高の旅だった!