【連載】RYUKYU SOUL, HUMAN SOUL #9 首里城②
こんにちは。今回もお読みいただきありがとうございます。前回はこの一人旅の1日目に行った首里城とそこで感じたことについて、特に戦跡や高台から見下ろした那覇市内を見て感じたことを綴りました。今回も修復中の首里城で見て感じたことの続きを書いていこうと思います。
<首里城②>
現在修復中の正殿の前には大きな門があって、そこからはチケットを買って入りました。その手前には塀で囲まれた中に大量の草木が人間が立ち入れないくらいに生えている不思議な空間があって、そこで初めて「御嶽(ウタキ)」の存在を知りました。
御嶽は琉球王国時代の神秘的な祈りや儀礼の場所です。首里城の中には他にも御嶽はいくつかあったけど、どれも神様の像があるわけでは無く植物だけが生い茂っている場所です。一目見ただけではこれが祈りの場所とは分からないけど、琉球王国の人たちは自然の力に対して強い信仰心を持っていました。
「自然の力を信仰の対象にするなんて。」とう意見もあるかもしれませんが、この信仰心が生まれる経緯はよく考えれば誰でも非常によく理解できると思います。なぜなら人間は自分たちには敵わない自然の力の偉大さを、どの時代においても身をもって感じているからです。例えば、季節の変化、食料の恵み、美しく咲く花。台風、地震、洪水や大雪。でもその偉大さとしっかりと向き合いそれを受け入れる気持ち、素直に自然の力に癒され素直にその偉大さを畏れる気持ちは、昔の人間たちのほうが強く持っていたと思います。
そして首里城内にある御嶽の様子からは、王家の人間でどれだけ地位や権力を持っていたとしても自然の前ではそうでない人間と平等にそれを畏れた、ということも言えるのかもしれません。
現代といえば、自然を畏れない人間によって引き起こされた地球温暖化に因る気候変動、自然の原料を加工することによって生まれた兵器、大量消費による化石資源の枯渇が人間自身の社会や生活を破壊に追い込んでいます。
琉球王国時代の人間たちのような素直な気持ちを持って自然と向き合い関わっていくことは、この一つしか無い地球で生きていく上で実はとても賢い生き方だと私は思います。そして、自分だけでなく人間含め地球上にある全てのものに対してもっとリスペクトや思慮を持つことにも繋がると思います。ガジュマルの木の神秘性にも思わず見入ってしまった私は、彼らと同じそのようなその精神を忘れないことを日頃から大切にしています。
そして首里城では今、2019年10月31日未明に発生した火災によって燃えてしまった正殿をはじめとする建物の修復作業が行われています。かつてシンボルであった赤く華やかな正殿は今はそこにありませんが、今しか見れない修復作業の現状が詳細かつ大々的に公開されています。
首里城の正殿の前には大龍柱(だいりゅうちゅう)という龍の形をした柱が2本、神社の狛犬のように建っていました。それらは火災当時既に補修中(現在も補修中)だったものの、全焼した正殿の前で燃えずに強く生き残ったらしいです。
私ももともとスピリチュアルを強く信じる人ではありません。でも不思議なことにこれは事実で、かつて祈りがとても大切にされていたこの場所で龍という動物に対して何らかの自然の力が働いたことや、龍はそれだけ強い動物であることを信じずにはいられません。
そして龍は本来直立することは出来ませんが、この柱は尾を巻くことで龍が立つデザインになっています。
龍も尾を巻けば立つことが出来る、というのはこれをデザインした昔の人の素晴らしい想像力だとガイドの方は言っていました。確かに固定観念に囚われていたらなかなか生まれない、なんともクリエイティブで可能性に満ちたアイデアです。
琉球王国時代の人間たちの賢さから、現代の私たちは何かを学ぶべきなのかもしれません。
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