今だから話せるデザイナーの苦労話@スペイン
スペインに来て早7年、現地の会社でデザイナーとして勤め始めてもうすぐ6年です。思い返せば色々な事があったので、(あと日頃使わない日本語を忘れないように笑)今日は初心に返って思い出話や、今だから笑って話せる外国人デザイナーとしての苦労話を書き留めておこうと思います。
現地企業で働きたいというのは最初から決めていました。日本で12年デザイナーとしてのキャリアを積んできて、自分がPhotoshopやillustratorを使わない仕事をするなんて考えも及ばなかったのと、元々チームワークが好きだし現地のデザイン事情やそれを取り巻く環境、ついでにスペイン語を学ぶ為にも現地企業に潜り込むのが一番てっとり早いと思っていました。
で結局今の某外資企業のスペイン現地法人とご縁があったのですが、ビジネススペイン語会話問題ナシでーす!と多少見栄を張って乗り込んだものの、実際現場では様々な苦労がありました。
まず当然ですがソフトウェア関係は全て英語かスペイン語です。インストールの時に日本語選べばいい話ですが、それでは関係者と話す時話が通じないので英語を選択しました。(専門用語が多いので英語の方がまだマシだろうと笑)これは結構すぐに慣れ、今や日本語でPhotoshopとか変な感じがします。
次にぶつかったのは専門用語の壁。デザイン関係のテクニカルなスペイン語(例えば「トンボ」とか「トブ」とか「紙の斤量」とか「校正刷り」とかキリないです)もそうですが、販促活動関連の用語や、商品を販売する現地の小売店やメディア(雑誌やオンライン媒体)の名前すらも土地勘がないので最初分からず、ついでにいうと会議のスペイン語もネイティブが十数人、時に数十人ガチでワーワー話すので全然付いて行けませんでした。
そんな感じでデザイン以外のシーンでは、母国語であればなんなくコミュニケーションとれるものが、外国語であるが故に自分の実力を発揮できないというめちゃくちゃフラストレーションの溜まる状況に追い込まれていました。当然言葉によるデフェンス機能が低下しているので当時いた意地悪な同僚にナメられてチクチクやられたりもしました。海外で言葉ができないうちはバカにされるは鉄板ですね。
学生時代からスペイン語でも専攻してるか、留学でもしていれば違ったのでしょうが、趣味で30歳で始めたスペイン語です。日常会話問題なしかなー、なレベルで勤め出すのがそもそも無理があるんだからしょーがないよね、やるだけやってダメだったら辞めるわと腹を括っていましたが、肝心のデザイン仕事に関しては周囲が評価してくれたので、そこにおいてのみ(ほんとにそこだけだった)自己主張をすることができたのは幸いでした。
あともう一つ、これはデザイナーどうこう関係なく、スペイン人の仕事のペースが掴めないとか、信じられないことが色々多くて疲れることもありました。スペインは日本で想像されている以上に意外と仕事出来て礼儀正しく優秀な人も沢山いますが、日本だと信じられないくらいメール返信しない人とか責任感がない人もかなりいます。返事ない時は俺の仕事じゃねえという無言の返事だったり(笑)。国民性だなあと感じています。
そんなこんなやっているうちに時は経ち、この6年で雑誌広告とか紙媒体が多かったデザインも今ではあっという間にオンライン媒体が大半を占めるようになり、更にはWeb業界のレスポンジブデザインの標準化で仕事量もめちゃくちゃ増えたのに、一緒に仕事してくれていたアシスタントデザイナーがいなくなったり人員削除されたり。ここ数年キャパオーバー気味だったので、会社に相談したところ外部委託業者を開拓しろとほぼ丸投げされ、Linkedinに掲載する求人文面から履歴書選考から面接、果ては契約関連における会社と外部のパイプ訳まで(契約は総務に手伝ってもらいながら)自分でやったりしていました。本っ当に、日々色々勉強させてもらっています。
最近はスペイン語でデザインディレクションするのも慣れてきました。といってもまあ日本の広告会社のアートディレクターとかとは違って、相変わらずほぼ自分が手動かしてるんですが。
ちょっと面白そうなプロジェクトがあったり、スペインの割と大きい広告代理店と仕事できることになったので楽しみもありつつです。今後も色々な変化を楽しんでいきたいと思います。
では今日はこの辺で。
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