花ひらく広島のサッカー文化(2)
サッカーに備わる「平和のこころ」
サッカーは「乱暴な手を縛る」特異なスポーツです。何でもありのラグビーから分離して、独自の進化を遂げました。世界の競技人口は2億5000万人で世界最大のスポーツです。
歴史的に、イギリスのパブリックスクールや大学で愛され、「紳士のスポーツ」とも言われます。
両手を後ろ手にして、身を挺してゴールを守るディフェンダーを見ると、平和を守る人々と重なり、「平和を守る」とはこういう事なんだと教えられます。
顔面でボールを弾くことも有りますから、よほどの勇気がないとできないプレーです。
平和は「口で守る」のではなく「身で守る」ものだと気付かされます。
試合では、始めから終わりまでこのシーンを見ますから、サッカーはいつもこの「防衛の原理」を発信しています。「平和を守るとはこう言うことだよ」と語りかけているようです。
ピースウイング広島スタジアムを得たからには、この「サッカーの平和のこころ」を育てて行きたいものです。
サッカーは相手を思いやるスポーツ
サッカーでは競り合った選手を倒したとき、倒した選手が相手に手を差し伸べるのをよく見かけます。この相手を思いやる姿は見るからに清々しい行動です。競技で相手を思いやるのは紳士の振る舞いです、サッカーが紳士のスポーツと言われる所以でしょう。
歴史的に見ても、西欧の騎士道、日本の武士道の基本は相手をリスペクトすることです。
サッカー選手はそれを実行している稀なスポーツです。この爽やかなスポーツマンシップが今日サッカーの隆盛を支えているのでしょう。
日本の選手は、競技を終えてピッチを後にする時にピッチに一礼して去ります。日本武道の礼儀が外来のサッカーでも見られるようになったのです。
さらに、サッカーでは勝っても、負けてもピッチを一巡してスタンドのファンに挨拶します。負けた時は心苦しいでしょうが、支えてくれるサポータへの思いやりでしょう。
サッカーは悟りを目指す
サッカーは、手を縛り不器用な足と体幹で競技するので、必然的に思考力や悟りに頼ることになり、他のスポーツとは異なる進化を遂げています。
広いピッチに敵味方11人が自由に位置どりして、ボールを奪い合い、パスを繋いでゴールを目指します。ボールを奪った位置、敵味方の位置と動きから判断されるプレーは無限にあります。
そこで、個人技を重視する戦術と位置どりを重視する戦術に分かれます、
南米サッカーが個人技を重視する一方、西欧では攻撃、守備ともに位置どりを重視しているようです。
良い位置どりには状況を認識する思考力が求められます。
日本のサッカーは歴代の外国人監督の貢献が実り、体幹を強化し個人技を磨いてW杯でも決勝戦まで出場するように成長しました。前回のカタール大会では、森保監督のもと、強豪国のドイツ、スペインを破り世界に注目されました。
この活躍を支えたものは、浅野選手の以心伝心の守備ライン突破と三笘選手の無敵のドリブルであると考えて良いでしょう。これら2つのプレーは従来の思考ベースのレベルを超えていると思われます。
「以心伝心プレー」は、ボールの出し手と受け手のこころが「量子もつれ」のように繋がっていなければなりません。また、三笘選手のドリブルは日本武術の真髄である「心技一体」の悟りの境地と思われます。
以心伝心《いしんでんしん》、心技一体、阿吽《あうん》の呼吸などは、日本人には特別な概念ではなく、子供の頃から馴染みのある有りふれた概念です。
以心伝心は言語によらない意思疎通《いしそつう》ですし、心技一体は意のままに体を動かせる悟りの境地です。阿吽はサンスックリット語で、阿《あ》はものごとの始まり、吽《うん》は終わりを意味します。寺院では阿形・吽形の仁王像が仏を守り、神社では同じく狛犬がご神体を守っています。
このように考えると、「日本らしいサッカー」とは、これまでの思考力に頼るサッカーを超えた、心技一体の「悟りのスポーツ」を目指しているように思われます。
悟りは「柳生宗矩の無刀取り」の境地ですから、思考力を遥かに超えます。
最近では、日本代表の選手たちは従来のベスト4ではなく、優勝を口にしていますから、近いうちにW杯で優勝すると、大いに期待しています。
サッカーは公平なスポーツ
サッカーが世界中で愛好される要因として、男女とも、体の大小を問わず世界一流の選手になれることがあります。サッカーは比類なく「公平なスポーツ」です。
現代のプロスポーツは、すべて身長が優れていることが条件で、なみの身長ではまず一流にはなれません。今日のプロスポーツのは公平とは言いかねます。サッカーは例外中の例外です。
子供たちが、プロスポーツ選手を夢見て努力し精進しても、大人になって背が伸びなければ夢を捨てなければなりません。しかし、サッカーならそうゆうことは無いです。サッカーは夢を実現してくれるスポーツです。小さくても頭脳を鍛え、身体を鍛え、悟りに至れば夢がかなうでしょう。
現代は格差社会ですが、「悟りのサッカー」がこの厚い壁を乗り越えてくれます。
嬉しくないプレー
① ロングスロー
スローインは本来タッチランから出たボールを投げ入れることです。
手を使って自由にプレーすることを許している訳ではないです。ロングスローはルールの狭間で意識的に拡大解釈されたのではないでしょうか。
アジア杯では、日本代表は中東勢のロングスロー攻めに会い予想もしない不成績に終わりました。
日本は受けて立つ立場ですから、ロングスロー対策を研究しなければなりません。
ロングスローは「手で攻撃する」ことですから、手を縛るサッカーの理念に反するのではないでしょうか。ロングスローによる「餅まきサッカー」は、見て楽しいプレーではありません。
② タックル
後ろから足を伸ばして相手の足を引っ掛ける行為は卑劣で見たくないプレーです。
このプレーは一対一のデュエルではなく、デュエルに敗れたのちの挽回策です。サッカーの潔さを損なうような気がします。
タックルが楽しみならラグビーがお勧めです。
最後までご覧いただき有難うございました。
以上
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