【選挙ウォッチャー】 逗子市議選2022・分析レポート。
3月20日告示、3月27日投票で、神奈川県の逗子市議選が行われました。これまで逗子市長選を取材したことはありましたが、意外と逗子市議選を取材するのは初めてでした。
今年の逗子市議選は、定数17に対して25人が立候補する大激戦で、なかなかキャラの濃い人たちが集まっていました。そして、「こいつを当選させて大丈夫なのか?」という感じの人がたくさん当選する悲惨な結果になっており、逗子市の衰退に拍車がかかりそうな気がしてなりません。
この選挙の注目ポイントは、野党第一党を目指す「日本維新の会」が当選するのかどうかです。そして、これだけの大激戦になると心配なのが「共産党」です。最近は党勢が落ちている立憲民主党も議席を減らす可能性があって、「維新が勝って立憲・共産党が議席を減らす」なんていうことが起こるのではないかとら見守ることになりました。
■ 維新は激戦をしっかり制す
今回、日本維新の会から立候補したのは、新人の平野和之さんでした。職業は「経済評論家」だと言いますが、それで「維新」を選んでいるのですから、なかなか面白いものがあります。キャッチコピーは「維新にしかできない改革がある!」ですが、確かに、人の命を蔑ろにする改革なんて維新にしかできません。
だいたいポスターの上にも「身を切る改革、維新だからできる」と書いてあるし、ポスターの下にも「維新にしかできない改革がある」と書いてある始末なので、脳味噌の中が「改革」でいっぱいなのでしょう。特別に中身のあることは言っていませんが、それでも「維新」というだけで、たくさん票が入ります。
平野和之さんは、徹底した駅前戦略を取っており、朝から晩まで駅を離れず、とにかく「維新」であることをアピールしていました。とにかく維新が駅前を占拠し続けているため、他の候補者がなかなか駅前に近づけず、大量のスタッフと幟で盛り上がっている感じを演出できていたため、このたびは余裕で当選しました。
かつては「N国党」が熱心に駅前戦略を展開していましたが、戦術はほとんど変わりません。特別に珍しい戦術ではありませんが、選挙カーで隅々まで回る戦術を展開する陣営が一般的な中、駅前戦略に特化する手法は、なかなか有効です。特に、逗子市はJRだと「逗子駅」と「東逗子駅」しかありません。バスターミナルの規模からしても、逗子駅を占拠し続けるのが最も効果的です。
維新が躍進する理由の一つに「選挙がうまい」ということがあります。維新からは、女子高生を前に片手でズボンを下ろし、片手でチンチンを隠して警察を呼ばれる猛者まで立候補しているわけですが、そういうヤバめの候補でも当選してしまうのです。ポンコツだろうが、犯罪者だろうが、維新から立候補すれば勝てるというのが最大の強みです。まさに「N国党より洗練された選挙集団」という感じでしょうか。
とにかく「維新」は、選挙戦略がしっかりしているので、逗子市議選を戦っているように見せかけて、早くも夏の参院選に向けての活動も同時進行させています。松沢成文さんが応援演説と称し、数時間単位でマイクを持ち続けていたのも、参院選に向けた布石です。もはや逗子市議選で結果を出せなかったとしても、維新にとっては1週間にわたって松沢成文の声を届けられるなら、それだけで十分にメリットなのです。
一方、立憲民主党は相模原市選出の県議・寺崎雄介さんを擁立しているようですが、逗子市議選で大活躍していた様子は伝わってきません。神奈川県知事や参議院議員としての経験と実績のある松沢成文さんが、こんなに街に出て頑張っているのに、対する立憲民主党は「名前を売る努力」ができていません。こうなってしまうと、知名度や「頑張っている様子を見たことのある人」の数で、ますます維新が優勢になるという話です。選挙ばっかりに力を入れるのもどうかと思いますが、力を入れないと負けてしまうという事情もあるのですから、維新が強いのは「必然」です。
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