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【選挙ウォッチャー】 大分県知事選2019・分析レポート。

大分県は、日本一の温泉県ということで、本当はまったりと温泉に入りながら、3泊4日くらいで取材をするのが良いと思うのですが、まだまだそんな余裕はございません。温泉に入ることもなく、ほとんど日帰りで大分県を取材し、選挙をやる前から決まっているような選挙を取材することになったのです。現職は76歳のジジィですが、ライバル候補が共産党と泡沫候補のオバサンなので、鳥取県知事選のような無風の選挙になってしまいました。

広瀬 勝貞 76 現 自民党推薦
山下 魁  42 新 共産党推薦
首藤 淑子 52 新 泡沫候補

泡沫候補のオバサンこそ立候補しているものの、ここも「自民党系の現職vs共産党の新人」という構図になっており、「大分は社民党が強い」などと言われていますが、幻想になりつつあると言われています。だいたい山下魁さんは社民党ではなく共産党ですし、残念ながら、選挙をやる前から選挙の結果が決まっている選挙だと言っていいかもしれません。


■ 九州北部豪雨災害の爪痕はまだ残っている

これはとても大切なことなので、無料部分にて皆さんにお伝えしたいと思います。今から2年前、7月5日から6日にかけて起こった台風3号と梅雨前線による集中豪雨で、福岡県から大分県にかけて、非常に大きな被害が出ました。被害総額は2240億円と言われ、福岡県朝倉市、東峰村、添田町、大分県日田市、中津市などで大きな被害が出ています。今回、僕はカルロストシコさんに車に乗せてもらい、大分県知事選を取材することになったのですが、その道中、西日本豪雨災害で被害を受けた場所を通ってくれるというので、今、どれくらい復興が進んでいるのかを見てきました。

つい先日も与那国島で24時間に458ミリという豪雨を観測。これは東京の1月から5月までの降雨量をおよそ1日で記録してしまった計算だと言われています。同じ日に岐阜県の美濃地方で1時間に100ミリを超える豪雨を観測しています。地球の温暖化に伴い、日本の気候が少しずつ変化し、数十年に一度とか数百年に一度というレベルの豪雨が珍しくなくなっており、これからは豪雨災害が頻発する可能性があるわけですが、豪雨災害が頻発すれば家を失い、生活が成り立たない人も続出するということです。今のところ、日本政府は家を失った人たちに優しい政策をしていません。これだけ各地で空き家が問題になっているのに、こうした場所に無料で引っ越しできるように工夫するわけでもなく、窮屈な仮設住宅暮らしを強制しています。日本人は基本的に、災害に遭って家を失った人たちが新しい家を与え、昔より良い暮らしをすることを認めたくないのです。福島第一原発事故の後、移住を余儀なくされた人たちが補償されていた時でさえ、お金がもらえて羨ましいというテンションでした。

生活保護さえも「働かずにお金をもらえるのはズルい」と言って「悪」として扱うような国ですから、それこそ天災であって、自分たちではどうすることもできない豪雨災害であっても「そこに住んでいるのが悪い」と言わんばかりで、最低限の復興さえ望まないのです。「災い転じて福と成す」というわけではありませんが、いっそのこと手厚くサポートし、昔よりも人が集まるような環境を整えてしまえばいいのに、災害を機に発展させてしまうぐらいのアイディアを出すわけではなく、なんなら災害を機に採算の合わない電車を廃線にするぐらいのことが起こっているのです。

福岡県に下関を結ぶ2000億円の忖度道路を作るだけの予算があるのであれば、そのお金を被災地のために使っても良いと思いますし、このあたりは素敵な温泉が湧いていたそうなのですが、こうした温泉資源を再び掘り起こして、復興の中心にするぐらいのことがあっても良いと思います。九州を襲った豪雨災害から2年が経とうとしていますが、地元の人々の生活は失われたまま。災害に遭った人たちはいつまでも放置され、自分たちで生活を再建するしかないのですが、だとすれば僕たちは国に税金を払う必要がありません。何のために高い税金を払っているのかって、万が一の時に自分たちの生活を守ってもらうためですが、何もしてくれないのであれば、結局、高い税金を払っているだけ無駄になるという話です。

「かんばれ!日田彦山線」という看板が虚しいですが、日田彦山線は廃線の危機に瀕しています。8年前の東日本大震災、3年前の熊本地震、2年前の九州北部豪雨災害、1年前の西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震など、日本はあちこちで災害に直面しています。まさに「災害大国」であり、いつどこで僕たちが大災害に直面するかもしれない状態になっているのに、こうした被災地の福祉サービスがまったく行き届かず、ずっと苦しい生活を強いられているのは「国家として成り立っていない」と言わざるを得ません。日本はけっして先進国ではないのです。


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