【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#312)。
弁護士の資格は一切ないけれど、裁判の経験だけは百戦錬磨だという、自称「法律のプロ」にして「法律の専門家」で、さらに自称「選挙のプロ」にして「選挙の専門家」であり、はたまた「選挙界の秋元康」であるはずの尊師・立花孝志が、今度は「公職選挙法違反」をやらかしている可能性が浮上しました。
現在、4月10日告示、4月17日投票で、埼玉県の春日部市議選が行われていますが、ここに「NHKから国民を守る党」の現職・酒谷和秀が立候補しています。先日の市川市議補選で、佐直友樹の嫁で元コールセンタースタッフの佐藤ゆきのが、N国党とのつながりを一切隠して当選したため、連敗記録は「92」で途切れたものの、N国党の公認候補は2020年4月の志木市議選で無投票当選を果たして以来、今日まで2年近くも誕生していません。そこで、何としてでも当選させたい尊師・立花孝志は、「受信料を支払わずにNHKから訴えられた場合、裁判にかかる一切の費用をN国党が負担をする」と宣言する動画を流しているのです。
これは特定の有権者にお金を寄付することを宣言している動画であり、公職選挙法に違反する可能性があります。既に不正競争防止法違反、威力業務妨害、脅迫罪の3つの罪で起訴され、東京地裁から「懲役2年6ヶ月、執行猶予4年」という判決を下されているにもかかわらず、公選法違反さえ厭わないのですから、イカれているとしか言いようがありません。
■ 公職選挙法違反が疑われる動画と証拠
問題となる動画は、4月10日に配信した「春日部市強化週間! この動画YouTubeCMで放送中」というものです。暴露系YouTuberとして話題になっている東谷義和の「ガーシーch」に影響を受け、その名を「立花孝志のターシーch」に変更した尊師・立花孝志。
問題の発言は、この動画の0分28秒から。
以下は、その公選法違反の疑いのある発言を書き起こしたものです。
立花孝志のことなので、相変わらず、自分勝手な法解釈で「ギリギリセーフ」だと思っているのかもしれませんが、これほど明確に「有権者にお金を払う」と宣言してしまうアホは滅多にいるものではありません。普通、公選法違反というのはバレないようにこっそりやりますが、こんなに堂々と宣言してしまうアホを初めて見ました。初めてのケースなので、警察や検察も法解釈に慎重になるとは思いますが、非常に疑わしいです。
まだ実際にお金を払っているわけではないにしても、有権者に「これからお金を払う」と宣言して票を取ろうとしているのですから、この時点でアウトではないかということで通報しました。これがセーフになるなら、口先で「1万円あげるからよろしくね!」と言っておいて、あとで「やっぱりやめる」と言ってしまえば、まんまと票を稼げることになってしまいます。不特定多数を対象にしているとはいえ、有権者にお金を払うと宣言していること自体が、供与の申し込みを呼び掛けていると思います。
尊師・立花孝志は、相変わらず自分からゲロっていくタイプのため、この問題の動画が「春日部市周辺のみで流れている」としています。つまり、明確に「春日部市民に訴えている」と言えます。こうなってくると、やっぱり立花孝志は「春日部市民に向かって、お金を払ってあげることを宣言している」と言うことになります。これが酒谷和秀の票を得るために行われていることは明白です。
しかも、立花孝志に「この広告は今流れてるのですか?」と確認した人がいたのですが、4月11日19時42分の時点で「はい 流れてます」と認めています。春日部市議選は4月10日告示、4月17日投票なので、まさに選挙期間中に、この動画が春日部市民に向けて流れていたことを立花孝志は認識していたことになります。
■ 酒谷和秀と立花孝志がつながっている証拠
これを「あくまで立花孝志が個人的にやっていることであって、春日部市議選に立候補している酒谷和秀は、まったくの無関係だ」と言うことはできません。いくつもの客観的な証拠が残っているからです。
まず、立花孝志と酒谷和秀は、一緒に選挙運動をしていました。この写真は、筆者が春日部駅前で撮影したものであり、水色のスーツに黄色のシャツという視認性抜群のイカれたファッションセンスをしているので、多くの陣営が目撃していると思われます。
N国党の広報を担当する久保田学(現・立川市議)のブログには、酒谷和秀が「N国党に党費12万5千円を毎月納めていて」と書かれており、金銭的な面から見ても、酒谷和秀は「党員」です。
立花孝志のロジックは、「これは政党としてやっているのではなく、あくまで立花孝志が個人でやっているから大丈夫だ」です。政治活動や選挙運動ではなく、「NHK受信料を支払わずに裁判された人の裁判費用と受信料を全部支払うおじさん」としてやっていることだということなのでしょう。
しかし、このプロフィール欄にも「私が党首を務めているNHK党には年間2億円以上の政党助成金が支給されているので、安心してNHK受信料は踏み倒して下さい」と書かれているように、立花孝志は「政党助成金からお金を払う」と宣言しています。N国党に支払われた政党助成金から有権者にお金を払うと宣言しているのですから、原資が税金である以上、立花孝志が個人でやっていると言い張るのには無理があります。
■ 3ヶ月前には公選法違反になると指摘していた
実は、このサービスが公選法違反にあたる可能性があることは、1月20日に発売された「『NHKから国民を守る党』とは何だったのか?」でも指摘をしています。
ただ、どうして今日まで問題にならなかったのかと言うと、立花孝志がこのサービスを発表して初めての選挙が「春日部市議選」だったからです。
今年は2月の町田市長選や町田市議選、3月の市川市議補選などに、N国党の関係者が続々と立候補したことがありましたが、いずれも「N国党とつながりが深い」というだけで、「公認候補」ではありませんでした。
しかし、今回の春日部市議選では「公認候補」と言っても過言ではありません。一応、「NHKから国民を守る党」という酒谷和秀が作った政治団体が公認しているものとされていますが、酒谷和秀はN国党に党費を払っているし、N国党も酒谷和秀の支部にお金を払っているという関係です。今回もN国党が全面的に広告費を払うと、尊師・立花孝志が総会で話しています。
そして、これが何よりの証拠です。
酒谷和秀の選挙カーには、立花孝志の顔写真が入っています。車の側面には大きな文字で「酒谷」と書いてありますが、フロントガラスの上には「さかたにかずひで」とフルネームで書かれています。これで立花孝志と酒谷和秀が無関係であるとは言えなくなりました。まさに、酒谷和秀の選挙カーに顔が乗っている人物が、春日部の有権者に対し、「自分がNHKの受信料を代わりに支払う」と宣言しているのです。これで公選法違反を疑われないはずがありません。
■ 立花孝志が代わりに受信料を支払う問題点
尊師・立花孝志は「NHKをぶっ壊す!」をキャッチフレーズに、有権者の皆さんにNHK受信料の不払いを推奨するとともに、自分も「NHKの受信料は支払っていない」とアピールしてきました。
しかし、立花孝志が「受信料を払っていない」というのは大嘘で、実際には何度もNHKから裁判を起こされ、そのたびにいちいち受信料を払っているため、なんなら延滞金も支払い、「他の人より多くの受信料を払っているオジサン」です。
とうとう自分の受信料だけでは飽き足らず、皆さんの受信料まで「自分が払う」と言い出した立花孝志。しかし、そのお金がどこから来るのかと言ったら、僕たちの税金です。
真面目にNHKの受信料を払っている人たちは、自分たちの分の受信料のほかに、「テレビは見るけど受信料を払いたくない」と立花孝志に泣きついたN国信者たちの受信料までオゴってあげていることになります。立花孝志はドヤ顔で「払ってあげる」と言っていますが、僕たちの財布からお金を出しているばかりか、NHKは1円も損をしないシステムです。「NHKをぶっ壊す」ではなく「NHKを儲けさせる」なのです。
■ 春日部市に374万円を支払わせたN国党
尊師・立花孝志は、春日部駅前での街頭演説でも、有権者に「裁判費用の負担、そして、受信料の負担、これを直接させていただきます」と訴えていました。
さて、春日部市議の酒谷和秀は議員として、どんな仕事をしたのか。
春日部市議会は、酒谷和秀の議会での仕事ぶりを録画映像として見られますが、「なんと春日部市も支払っていなかったNHK受信料について」という一般質問では、N国党員らしいマヌケな顛末を迎えています。
議会で酒谷和秀は、嫌味ったらしく「春日部市もカーナビの受信料を支払っていなかったのではないか」と追及したのですが、財務局長は「カーナビは道案内を目的としているため、放送の受信を目的としてない受信設備にあたるとの認識で契約対象外と考えていたが、カーナビが受信機にあたるかを確認する裁判が起こされ、カーナビでも受信料を支払わなければならないという判決が下されたため、平成15年まで遡り、受信料374万6180円を支払った」という趣旨の回答しました。
酒谷和秀はドヤ顔で「春日部市も受信料を払っていなかった」と言っていますが、そもそも「カーナビでも受信料を支払う必要があるか」を確認する裁判は、N国党の副党首・大橋昌信が起こしたもので、最高裁で「受信料を支払う必要がある」ということになってしまったので、大橋昌信が市議を務める柏市も含め、いろんな自治体がNHKに受信料をたくさん払わなければならなくなってしまいました。
つまり、非常にマヌケなことに「市が巨額の受信料を支払うことになったのはN国党のアホのせい」なのです。NHKは、N国党様のおかげで今まで以上に受信料を取れるようになってしまったわけで、NHKに訴えられた人の受信料を代わりに払うことも含め、こいつらは税金をNHKに流すことばっかりやっているのです。
■ 選挙ウォッチャーの分析&考察
N国信者たちは、物の善悪の判断がつきません。これも「『NHKから国民を守る党』とは何だったのか?」の中で指摘しています。
尊師・立花孝志のことを「天才」だと思っていて、やっていることが公選法違反にあたらないと思っています。もはや「カルト」としか言いようがありません。
今回の公選法違反の件については、既に春日部市の選挙管理委員会と春日部市の警察署には通報済です。証拠がさまざま残っていますので、あとは警察や検察がどのような法解釈をするかです。しかし、公選法違反にならないとなると、N国党のマネをする人たちが多発してしまうことでしょう。既にN国党のマネをするカルト的政治団体はたくさん現れてしまっているので。
立花孝志も含め、N国信者たちは「逮捕されないから合法」と考えていますので、警察や選挙管理委員会の皆様には、しっかり仕事をしていただきたいと思います。また、春日部市民の皆様におかれましては、税金の無駄遣いでしかないカルトには投票しないことをオススメいたします。