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【選挙ウォッチャー】 スーパークレイジー君の居住実態が問われた話。

 1月31日の戸田市議選で、派手な衣装やパフォーマンスが人気となり、見事、下馬評を覆して当選を果たしたスーパークレイジー君。ヤンチャだった過去の十字架を背負いながらも、政治に真剣に取り組みたいという熱意を見せたことで、市民から期待された形だ。
 戸田市議の任期は4年で、今はまだ議員としての第一歩を踏み出したばかりなので、評価をすることは難しいが、少なくともスーパークレイジー君には「やる気」があり、初心を忘れずに4年間をまっとうしてくれれば、4年後にはトップ当選を果たすぐらいの人気議員になっているかもしれない。
 しかし、既に「東スポ」などが報じている通り、スーパークレイジー君には今、思わぬ疑惑が浮上している。それは「居住実態」に関する話だ。市長には問われないが、市議会議員になるためには、少なくとも3ヶ月以上、その自治体に住んでいる必要がある。スーパークレイジー君は、念のために4ヶ月前から戸田市に引っ越し、単身赴任生活をしていたと言うが、「本当は住んでいないのではないか」という疑惑の目を向けられている。
 こうなってしまったことには、大きく2つの原因がある。
 1つは、創立100周年に向け、公明党が地方選挙で完全勝利を目指すことを宣言した直後、スーパークレイジー君が当選し、公明党の候補が次点で落選していること。もし、スーパークレイジー君が3ヶ月以内に辞職をすれば、自動的に公明党の議員が繰り上がることになる。今回、スーパークレイジー君のまわりで公明党の関係者が動いているといい、ひとまず戸田市選挙管理委員会の事務局職員が不適切な対応をしていたことについては、市のホームページで市長名義のコメントが出され、厳正に対処するとしている。ちなみに、表向きはこうしたコメントを出しているが、市長がスーパークレイジー君本人に謝罪に来たことはないという。
 もう1つは、スーパークレイジー君が底辺YouTuberどものコンテンツになっていることだ。これは「NHKから国民を守る党」が生み出した一つの文化なのだが、わざと有名人と揉め事を起こすことで、動画の再生回数を伸ばす手法だ。揉め事をネタにする底辺YouTuberが、ホリエモン新党や堀江政経塾の周辺にはそれなりにいて、今もスーパークレイジー君を利用してPV数を稼ごうと必死だ。だから、もしスーパークレイジー君の当選が無効になるようなことがあれば、他人の「やらかし」でメシを食う底辺YouTuberにとって胸熱な展開なのである。彼らは常に「他人の不幸」を求め、ヘドロの下から手を伸ばしている。


■ スーパークレイジー君の不安要素

 もし、スーパークレイジー君に居住実態があるのなら「そんなに大騒ぎしなくても良いじゃないか」と思うかもしれない。本当にきちんと住んでいるのなら、ドーンと大きく構えて、取り調べでも何でも応じて、身の潔白を晴らせばいいじゃないかと。しかし、スーパークレイジー君は、さっそく記者会見を開いたり、市の職員が圧力をかけてきた話を暴露するなど、かなり大きく動いている。
 実は、これには理由がある。スーパークレイジー君は、過去に少年院に入っていたことがあり、こうした過去が影響して、大人になってからは犯罪に手を染めずに生きてきたにもかかわらず、34歳になった今でも、さまざまな契約をさせてもらえない。賃貸マンション、自動車のローン、今ではすっかり生活に不可欠なインフラの一つとなっている携帯電話に至るまで、ありとあらゆる契約が自分ではできないのだ。これでは過去の自分と決別し、まっとうに生きていこうと頑張っている人間が、永久に社会に復帰できなくなってしまう。まさに日本の特殊な社会構造だ。もしかすると、スーパークレイジー君はこうした社会の構造を変えてくれるキーパーソンになるかもしれないが、今はこうした社会の構造に、自分のキャリアが阻まれようとしている。
 今回、戸田市議選に挑戦するにあたり、スーパークレイジー君本人が住居の賃貸契約を結ぶことはできなかった。しかし、幸いなことに、スーパークレイジー君には彼のことをよく理解してくれる友人がいて、友人の家に転がり込む形で住民票を移した。
 これはヤンキーの性質と言ってもいいかもしれないが、ヤンキーは足元を掬われないように人一倍気を付ける。だから、スーパークレイジー君は何度も選挙管理委員会に相談をして、問題ないかを確認してきた。実際には3ヶ月前から住んでいれば良いのだが、スーパークレイジー君は「歌手」として活動しているため、関西圏でライブをすることもあった。だから、外出した日をマイナスとしてカウントされてしまったら困るからと、逆算して、念のために4ヶ月前には引っ越しをしていたほどの念の入れようだ。
 こうした環境にあるため、「居住実態を突かれることは想定していた」というスーパークレイジー君。次点が公明党とあれば、目の色を変えて居住実態を突いてくるかもしれないと予想していたものの、事態は予想外の展開を迎えてしまう。スーパークレイジー君が「裁判されたら面白い」と言い回っていたのは、公明党ではない自民系会派の現職議員だったのだ。


■ 「裁判されたら面白い」と言い回っていた現職議員

 公明党は公明党で動いていたらしいのだが、こちらは腕利きのジャーナリストたちが一斉に追いかけ始めているので、私は「裁判されたら面白い」と言い回っていたという自民系会派で「堀江政経塾」が応援していた議員について、まとめておきたい。
 十川拓也議員は、今年で2期目の現職である。戸田市議選では、自民党の桜田義孝議員が応援に入っていたのだが、実は、「堀江政経塾」の塾生でもあった。

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 「堀江政経塾」とは、堀江貴文の秘書で、昨年の東京都知事選で「ホリエモン新党公認」「NHKから国民を守る党推薦」という形で、立花孝志らとともに立候補した斉藤健一郎が塾長を務める「政治サロン」である。ここで堀江貴文の思想などを学んだ人が、やがて「ホリエモン新党」「NHKから国民を守る党」から立候補するというスキームで、堀江貴文が講師として登場することもあったようだ。先日の「東スポ」でも、堀江貴文が塾生に向かって「スーパークレイジー君のようにバカになれ」と教えたことが記事になっている。
 しかし、その塾生である十川拓也は何をしていたかと言うと、いろいろな人に連絡しては「裁判をされたら面白い」などと言って回り、スーパークレイジー君の居住実態を告発するように提案していたというのだ。選挙の時には「困ったことがあったら何でも相談に乗る」と話していたのに、その裏では「裁判をされたら面白い」と言って回っていたというのだから、とんだサイコ野郎だ。
 スーパークレイジー君は、事情を聞くために十川拓也議員とファミレスの駐車場で待ち合わせをしたというが、結局、十川拓也議員が姿を表すことはなく、バックレてしまったという。ヤンキーに呼び出された緊張で脱糞でもしてしまったのだろうか。あまりに気まずくて、スーパークレイジー君に会わせる顔がなかったのかもしれないが、2月22日の本会議では一般質問に立つ予定だったのに、それさえも予定を取り消し、議会までバックレたというから驚きだ。ヤンキーに目をつけられて議会をバックレるとは、「ここは中学校じゃないんだぞ!」と言いたくなる。


■ スーパークレイジー君とN国党

 スーパークレイジー君の居住実態を告発したら面白いと呼びかけていた十川拓也は「堀江政経塾」の人間であり、「堀江政経塾=ホリエモン新党=NHKから国民を守る党」なので、公明党の手下となって動いていたというよりは、単純に「N国党vsスーパークレイジー君」のような図式ができるようなら、底辺YouTuber界隈が賑わって面白くなると考えたとみられる。今のところ、十川拓也議員本人も、会派に属する先輩議員たちもバックレているため、真相を確かめるには至っていないが、十川拓也議員が告発を呼び掛けていたところまでは本人が認めていて、メッセージのやり取りが残っていることから事実である。あとは動機の解明だけなのだが、十川拓也議員が公明党のために熱心に動く合理的な理由があるとは思えない。どうやら本当に裁判になったら面白いと思っていただけではないかというのが、今のところの見立てである。

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 さて、スーパークレイジー君は、居住実態が問題に挙げられた際に、立花孝志に電話をかけている。相談する相手を120%間違えているとしか思えないが、これは新宿区の選挙管理委員会から「居住実態がない」として当選無効となり、現在裁判中の松田美樹が、どのような経緯で居住実態がないと認められるに至ったのかを知りたくて電話をかけただけのようである。松田美樹の例と比較をして、自分のケースに当てはまる部分があるのかどうかを知りたかったらしい。しかし、立花孝志はすぐに嬉しくなって、話題の人物から話題の内容で相談されたのだとSNSで発信。結果として、記者の前で「水道を流しっぱなしにしろとアドバイスをしていた」などと言ってしまうような無能に相談をしていたイメージになり、スーパークレイジー君の居住実態が余計に疑われかねない事態である。こうした問題で立花孝志に相談するのは、NHKの訪問スタッフが来た時にN国党のコールセンターに相談するぐらいの悪手である。


■ スーパークレイジー君が決別するべきもの

 いまやスーパークレイジー君は、「異色の経歴を持つ議員」として、さまざまなメディアに引っ張りだこだ。当選後、その人気や知名度はうなぎ登りで、スーパークレイジー君の一挙手一投足に視線が集まる。しかし、これには副作用もあり、メディアも集まるが、スーパークレイジー君を追いかける底辺YouTuberたちも集まってしまう。スーパークレイジー君をネタに、それで数字を稼ごうという人たちだ。底辺YouTuberの中には、純粋にスーパークレイジー君のことを応援していて、その活動を知ってほしいと願っている人もいることにはいる。しかし、スーパークレイジー君と揉め事を起こし、それをコンテンツにしようとする人間たちもいるのだ。こうした底辺中の底辺が集まっているのが、N国党であり、ホリエモン新党である。
 昨年7月の東京都知事選で、立花孝志の応援演説に立ったのは「へずまりゅう」という迷惑系YouTuberで、彼は新型コロナウイルスに感染している自覚があったのに、全国を飛び回って感染を広げながら、トラブルを起こして逮捕された。あるいは、墓の上で卒塔婆を振り回して逮捕された男も直前までN国党の公認候補だった。そもそも立花孝志が、いろんな所で揉め事を起こし、その様子を配信して人気を集めてきた迷惑系YouTuberなので、そこに集まる者たちもまた、揉め事が数字になると思っている底辺YouTuberたちなのである。
 現在も、堀江貴文のサロンに参加して、C級格闘イベントを運営する会社を立ち上げた男が、スーパークレイジー君と揉めるような動画をアップしていて、便乗しようと必死だ。とてもデリケートな時期に、スーパークレイジー君の足を引っ張ろうとする底辺YouTuberたちの動きは、これからますます加速するかもしれない。
 スーパークレイジー君は、今日までほとんどコンテンツフリーのような状態になっていた。公人になってしまった今は、政治活動をしているスーパークレイジー君の肖像権などは認められなくなるため、ますますコンテンツフリー化に拍車がかかる。しかし、今となっては「戸田市」で検索すると、ほとんどがスーパークレイジー君の話題で埋め尽くされているほどの存在になった。「戸田市」のブランドイメージを保つためにも、そろそろYouTuberのネタに付き合わされている場合ではない。スーパークレイジー君は、何でもネタにしたがる底辺YouTuber的なメンタルな人間とのコンタクトは一切断ち切るべきだろう。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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 スーパークレイジー君の居住実態をめぐる問題は、市の職員が処分された後も、戸田市長や戸田市役所の対応に「おかしな点」が垣間見え、こちらは既に腕利きのジャーナリストたちが取材を進めている。なので、公明党や創価学会の話など、もっと興味深い話はこれから出てくることだろう。
 私は今のところ、NHKから国民を守る党やホリエモン新党という、ジャーナリストも食わない部分を中心に取材しているので、私から伝えられることは以上である。もし立花孝志が数字のためにスーパークレイジー君をネタに動画をアップするようなことでもあれば、新たな記事を書く準備は既に整っている。

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