【選挙ウォッチャー】 沖縄県議選2020・糸満市選挙区レポート。
糸満市は、糸満市長選、糸満市議補選、沖縄県議選の「トリプル選挙」になっています。どうやら地元の人たちは「選挙って、こんなに騒がしいんだっけ?」みたいな感じになっているようですが、糸満市という狭いエリアに全部で9人が立候補していて、どの選挙も大激戦になっているのですから、この1週間は常にどこかから選挙カーの音が聞こえていることでしょう。もちろん、糸満市長選、糸満市議補選も面白いことになっていますので、激戦の模様は後日お伝えいたします。
上原 正次 64 オ現 無所属
新垣 新 45 へ現 自民党
玉城 ノブ子 73 オ元 日本共産党
糸満市の定数は2となっていて、議会で注意されるレベルでネトウヨをこじらせた新垣新さんが当選するかどうかが注目のポイントです。ここは上原正次さんと玉城ノブ子さんが県政与党、新垣新さんが県政野党という立場なので、県政与党にとっては「勝ち」か「引き分け」しかないという選挙区になります。
■ 上原正次候補の主張
今回、落選してしまったのは、無党派をアピールしている上原正次さんでした。人々がはっきりとしたイデオロギーを持っている沖縄では、無所属や無党派であることにそこまで求めていないと思いますので、無党派をアピールすることにはあまり意味がないのではないかと思いますが、上原正次さんは完全な中立というわけではなく、県政与党(オール沖縄)側にいる人物でした。事務所の前には「新しい風・にぬふぁぶし」の幟が立っています。「新しい風・にぬふぁぶし」は、県政与党のローカル政党で、保守中道をアピールしています。那覇市議選で当選を果たした翁長雄治さんなどが立ち上げに参加していました。
上原正次さんは、かなり小規模な選挙事務所を構えていて、出入りをしている人も少なく、中にいるスタッフもジジィばかり。若い人たちが活発に呼びかけているような印象はなく、事務所を見た瞬間に「今年は厳しい」と察しました。僕はなるべくサムネイルの画像には当選した人を採用したいと思っているので、勝つ人の写真を撮りたいと考えているのですが、取材に行った日は16時から街頭演説があると聞いたのですが、まったく同じ時間に玉城ノブ子さんの方に赤嶺政賢さんがやってきて街頭演説をすると聞いたので、当選確率の高そうな玉城ノブ子さんをチョイスしてしまったほどです。
上原正次さんは5つの公約を掲げており、子どもの未来を創る政策の推進、支援を必要とする人を支え合う社会づくりの推進、農水産業から観光産業まで幅広い経済政策の実施、市民・県民の命を守る安全対策の推進、美しい風景と恒久平和を次世代に引き継ぐ。どれも素晴らしい公約ですが、概念的な面が強く、具体的なことは何も言っていません。これもまた勝負の決め手になってしまったと思います。自民党の新垣新さんは、かなり具体的な政策を掲げており、そちらの方が魅力的に見えてしまうからです。
そんな上原正次さんは、選挙カーと政党カーを駆使して、市内をグルグルと回っていたのですが、なんと、米津玄師さんの楽曲「パプリカ」が流されていて、著作権がどうなっているのかという問題もあるのですが、かなり独特のアピールになっていました。選挙に楽曲を使用するというのは、オリジナルであっても独特のアピールになってしまうので、これが効果を発揮するのかどうかは、いまいちわかりません。
政党カーは青い軽トラ。看板が手作り感満載で、これまた選挙に強そうな感じがしませんでした。実は今回の選挙、新垣新さんも、玉城ノブ子さんも4年前よりも票を積んで当選を果たしているのですが、唯一、大きく票を落として落選してしまったのが、上原正次さんでした。
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