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【選挙ウォッチャー】 君津市長選2018・分析レポート。

千葉県君津市は、自民党の重鎮として人気を博した浜田幸一さんの息子・浜田靖一さんの地盤です。地元のハマコー人気は絶大で、それを引き継ぐように浜田靖一さんの人気も健在です。なので、郊外に行けば行くほど保守系が強くなる法則に基づき、この君津市もまた保守系が圧倒的に強いのですが、今回は「保守分裂」の選挙になってしまったため、革新系の石井宏子さんにも勝ち目が出てきました。「保守分裂」と言ってもキレイに真っ二つという感じではなく、安藤敬治さんは素敵な候補ではありましたが、資金力や組織力に圧倒的な差があり、渡辺吉郎さんに勝つのは難しい状況。事実上、渡辺吉郎さんと石井宏子さんの一騎打ちとなりました。この選挙、今後の日本の政治を良くするための重要なヒントが隠されていますので、ぜひ多くの人に知っていただきたい選挙となっております。

渡辺 吉郎 61 新 自民・公明推薦
安藤 敬治 70 新 自民系独立候補
石井 宏子 53 新 連合千葉推薦

千葉県君津市は、現職の鈴木邦洋さんが引退を表明し、後継者として指名されたのは「県庁のエース」と言われている渡辺吉郎さんでした。渡辺吉郎さんを推薦していたのは自民党と公明党で、浜田靖一さんも支持していたため、三つ巴と言われながらも、実は、選挙をやる前から選挙の結果が分かっているかのような選挙だったのです。ところが、選挙戦略に優れていた石井宏子さんは、まさかの番狂わせを演じました。


■ 「久留里の名水を守る」が争点化された

争点となったのは、君津の「産業廃棄物処分場の問題」でした。君津の産業廃棄物処分場をめぐっては、2012年に1期処分場で、敷地内の観測井戸から通常の10倍以上の塩化物イオンが検出されており、汚水が漏れ出ていることが発覚したため、搬入停止処分を受けていました。2013年にはその処分が解けていない段階で2期処分場の使用が許可されています。千葉県は「法律上、第1期処分場の問題を理由に第2期を認めないわけにはいかなかった」と説明していますが、地元の市民団地は「もともと雨が多く、処分場に向かない場所。1期の再開を認めず2期を認めるなんて、もってのほか」と憤っていました。しかし、千葉県はさらにその後の第3期処分場の使用も許可しており、君津市では地下水への影響を調べるボーリング調査の実施を求める請願を全会一致で採択しているものの、それでも2019年4月には第3期処分場への埋め立て工事が進められることになっているのです。日本はこれから水源を守ることがどれだけ大切なのかを思い知らされることになりますが、このことに気付いている人たちは少数派で、子や孫の世代は化学物質に汚染された水を飲まされることになるかもしれません。


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