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【選挙ウォッチャー】 北九州市長選2019・分析レポート。

皆さんにキートスでご支援いただいたおかげで、福岡シリーズ第2弾・北九州市長選を追いかけることができました。この御礼につきましては、北九州市議の村上さとこ議員をはじめ、物を言う女性たちに続けられている嫌がらせの記事にて代えさせていただいております。本当だったら、もう少し取材予算に余裕があるはずで、こんなに早朝の飛行機を選ぶ必要はなかったのですが、いかんせん「NHKから国民を守る党」からスラップ裁判を仕掛けられているため、1円でも節約して裁判費用に回さないといけないため、うっかり眠って飛行機に乗り遅れないように、羽田空港の国際線ターミナルの中で徹夜で原稿を書き、早朝のバスで移動して、朝6時20分発の飛行機に乗って、北九州空港を目指すことになったのでした。

こんな苦労をしなければならないのも、すべて「NHKから国民を守る党」がクソだからです。自分たちの政党の批判をされたくないからって、わざわざ嫌がらせのスラップ裁判を仕掛けてくるなんて、一般人ならそんな人もいるかもしれませんが、彼らは「政治家」なのです。こんな奴らが政治家をしていて良いはずがありません。なので、どんなにお金がかかっても断固として戦う決意をしておりますが、それにはお金も必要になってしまうので、そこは気合いでカバーするしかないのです。オジサンの体に徹夜明けの取材はキツいのですが、北九州空港に着いて、真っ先に向かったのは北九州市の成人式です。毎年のようにネットを賑わす北九州市の成人式ですが、今年は選挙初日とスケジュールが重なっているということで、しっかりと取材してまいりました。

もはや北九州市の「伝統」だと思いますので、ここまで来ると、時代が変わっても受け継がれてほしいと思いますが、北九州市はどんどん人口が減少しており、スペースワールド、デパートの井筒屋、東芝の工場などが次々に撤退をしているので、かなり厳しい環境にあります。まさに市長の手腕が問われるところにあるわけなのですが、今回の選挙、麻生太郎財務大臣が東大卒の北橋健治市長に「他人の金で大学に行った」と批判していましたが、それでも自民党と公明党は現職の北橋健治さんを推薦。事実上、選挙をやる前から結果が決まっているような選挙だったと言えます。

北橋 健治 65 現 自民・公明推薦
秋武 政道 58 新 無所属(会社社長)
永田 浩一 53 新 共産党推薦

当初は共産党の永田浩一さんとの一騎打ちになる見込みだったのですが、急遽、門司港で水産加工会社を営む会社社長の秋武政道さんが出馬を表明し、3名での戦いとなりました。秋武政道さんには今度の北九州市議選を見据えているのではないかという噂があり、北九州市の中でも門司地区を中心に選挙活動を行い、知名度を上げていたようです。共産党の永田浩一さんは従来通りの選挙であり、勝てる見込みがあるわけではないけれど、共産党だからお約束で立候補している感じです。ということで、この北九州市長選は選挙をやる前から北橋健治さんに決まっていると言っても過言ではありません。


■ 北九州市は急速に街が死に始めている

かつては日本四大工業地帯の一つに数えられ、太平洋ベルトの一角を成していた北九州市でしたが、今の子供たちは「日本三大工業地帯」と教えられるようになり、北九州は除外されるようになってしまいました。工業の衰退とともに、人口が流出するようになり、急速な少子高齢化によって、北九州の街は今、死につつあります。地方都市の少子高齢化は、いまや日本全国で見られるのですが、北九州市ほど急速かつ深刻な街は珍しく、東芝の工場も閉鎖され、スペースワールドも撤退し、北九州市内の百貨店も続々と閉店。新幹線が止まる小倉駅前の衰退も激しく、急速に死にかけている街をどう復活させるのか、まさに市長の腕が問われているのです。

この写真は、今、どんどん更地に戻されているスペースワールドです。惜しまれつつも閉園されることになりましたが、スペースワールド駅周辺はとんでもなく寂れており、駅を利用する人もほとんどいません。そして、これまで3期12年にわたって市長を務めてきた東大卒の北橋健治さんですが、具体的な成果は何一つないと言っても過言ではありません。北橋健治さんが力を入れた政策はフィルムコミッションで、ドラマや映画のロケ地になって観光客を呼び込む施策です。しかし、いまやフィルムコミッションはどこの自治体も力を入れているばかりか、ヒット作に恵まれなければ観光客は来てくれません。つまりは「運まかせ」になってしまう政策なのです。「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」のように長く国民に愛されるような作品ならともかく、「世界の中心で愛をさけぶ」「下町ロケット」のロケ地になったとしても、その鮮度がいつまでも続くわけではありません。最初の頃は数万人単位の観光客が訪れるかもしれませんが、10年も経てば数十人に減ってしまいます。つまり、フィルムコミッションは自転車操業的な側面もあり、労力の割に確実に利益が得られるとは限らないのです。今のところ、北九州市のフィルムコミッションの活躍で人口の流出が止まった、あるいは、ロケ地に憧れて人が住んだという話はなさそうで、北九州市の深刻な人口流出や少子高齢化に歯止めがかかっているとは言えません。

北九州市と対照的なのが福岡市です。福岡市長の高島宗一郎さんは新自由主義経済を推進するような人ですが、それでも人口が増え、外国人観光客も増え、街の経済は潤っています。住民には賛否両論ある市長ながら、税収が上がっていることは事実ですし、何より結果を出しています。地元を仕切る麻生太郎財務大臣にも気に入られ、ブイブイ言わせているのが福岡市です。一方で、人口流出と少子高齢化に歯止めがかからず、このままだと老いぼれて脱出できなかったジジィとババァだけの街になってしまいそうなのが北九州市です。買い物する人がいないので駅前の百貨店は続々と閉店。ますます不便になるので、ファミリー層は近隣の福津市や福岡市に流れる始末。こうした悲惨な現状に「まずは手を打つ」ということが先決なのですが、有効な手を何一つ打てていません。どうにかするために汗をかいている様子も伝わってこないので、北九州市はそのまま死に絶える運命しか待っていないのかもしれません。現職の北橋健治さんは下関市と北九州市をつなぐ新たな道路を建設すると言っていますが、そもそも下関市をはじめ、山口県に人がいないのに、わざわざ新しい道路を作ったところで、そんなものの経済効果はたかが知れています。地元の土建屋が儲かっておいしい以外にメリットがないのに2000億円という巨額の費用をかけるぐらいなら、明らかに人口流入の手のためにお金をかけるべきでしょう。しかし、そういう大切な政策に手を打てていないところを見れば、北橋健治市長がどれだけ「無能」なのかが分かると思います。ズバリ、北橋健治市長は「無能」です。そして、こんな無能を12年も市長にしてしまった上に、さらに4年間も市長の椅子に座らせることを決めてしまったので、さらなる衰退が約束されたようなもので、オリンピックが終わった後の貴重な4年の間に北九州市はどんどん死んでいくことになるでしょう。想像したくもない悲惨な未来です。


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