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【選挙ウォッチャー】 大熊町議選2023・分析レポート。

 11月2日告示、11月12日投票で、大熊町議選が行われました。現在も町民の約9割が町外で避難生活を余儀なくされる中で、これから4年間の難しい町政運営を誰に託すのかが問われる選挙となっております。
 構図としては、全員が無所属となっており、政党に所属している人がいないことに加え、極端にヤバそうな人が見当たらないことから、あんまりお伝えすることがありませんが、せめてポスターだけはご紹介したいと考えております。

 今回は、無料部分にて、ほぼすべての日本人が考えなければならないはずの福島第一原発事故の後処理について、作業員が被曝してしまったニュースも合わせてご紹介したいと思います。




■ 大熊町長選・選挙ボード解説動画


■ 福島第一原発事故の後処理と精神論

福島第一原発事故の汚染水がどのようなものかを説明した動画は、アホのネトウヨに理解されず

 これまでも福島第一原発事故の汚染水を海洋放出することは、実に愚かなことであると述べてきました。いくらALPSで処理したとはいえ、トリチウム以外の核種を完璧に取り除けるわけではなく、少しの量だから大丈夫だと言って海に流しても、約8割が周辺海域の海底に堆積し、特に、放射性ヨウ素129(半減期1570万年)は、コンブやワカメといった海藻に取り込まれると生物濃縮を起こし、それが魚に移行します。つまり、海洋放出をしていけば、周辺の海藻や魚は汚染され、将来的には日本の魚の水産価値は大きく損なわれることになります。今はまだ海底汚染が始まったばかりなので、ほとんど影響はありません。事態が深刻になるのは20年後や30年後の未来です。
 20年後や30年後の未来のことなんて誰にも分からないと言うかもしれませんが、この悪影響は「半減期1570万年」という長さだけ続いてしまうため、西暦でカウントしても2000年ほどしか経っていないことからしても、半永久的に日本近海の魚の価値がブランド力を失うことになってしまうというわけです。
 日本という国は、大日本帝国の頃から「精神論」が重視されています。
 このたび汚染水を海洋放出するにあたって、何を解決しようとしたのかと言えば、どんどん増えていく汚染水を貯蔵するためのタンクを減らすことが目的でした。
 しかし、めちゃくちゃ当たり前のことを言いますが、デブリに触れる水を止めない限り、この汚染水は永久に増え続けることになり、どれだけ海に捨てても増えることになります。しかも、タンクの数を減らしていくということは、「貯蔵されていく汚染水よりも海に捨てる処理水の方が多い」ということです。1回のALPS処理だけでは十分に放射性物質を取り切れないので、その水を何度かALPSに通すことになるわけですが、そんなことをしていて、貯蔵されていく汚染水より処理水の方が多くなるでしょうか。
 もっと重要なことがあります。ALPSというのは、簡単に言えば「濾過装置」です。ALPSの中にはゼオライトのような放射性物質を吸収するものが入っていて、汚染水をALPSを通すと、ゼオライトがセシウムなどを吸収するから、処理された水が出来上がるという仕組みです。けっして消滅するわけではなく、吸着されただけなので、それは高濃度な放射性廃棄物として残る仕組みです。掃除機をかけた時に、排気口から綺麗な空気が出てくるものの、吸ったゴミが中に残るのと同じで、掃除機のゴミはゴミ袋に入れて処理できますが、処理できずに部屋の片隅に置くことしかできないのだとすれば、床が綺麗になっても、どこかにゴミを置くことになります。
 つまり、タンクを減らすことができる代わりに、どう処理すればいいのかが全然わからない「ALPSの残骸」は増えていくことになり、タンクの代わりに四角いコンテナのようなものが永久に積まれ、結局、福島第一原発周辺にあるタンクが丸から四角に変わるだけだということになります。
 そして、この汚染水を処理する工程で、先日は作業員が被曝をする事故が起こりました。高濃度の汚染水をかぶってしまったのです。最初は「少しかかってしまっただけ」と説明していましたが、のちに検証をすると、「少しかかった」というレベルではなく、ガッツリとかかっていたことがわかりました。この作業員の方々が、将来的に健康被害を受けるようなことがあったとしても、誰も責任を取りません。
 あれだけの事故を起こしてなお、東京電力の体質は何一つ変わっていないため、こんな時にも相変わらず、嘘と隠蔽ばかりです。作業効率を優先するために防護服を着ていなかったこともわかり、今回、大きな事故が起こったから表に出てきましたが、明るみに出ない小さな事故はたくさんあるのではないかと思いますし、作業員の方々が安全に作業できていないのではないかという疑いがあります。ALPSの処理も全自動で行われるわけではありません。むしろ、ほとんどを人間が手作業で行っているため、その作業をする人たちは少なからず被曝をします。
 こうした問題を抜本的に解決するためには、福島第一原発を石棺する以外に方法がありません。とにかく石棺をして、デブリに地下水を触れさせない工事をすることが大切です。なにしろ、取り出したところで行き場のないデブリを取り出そうとしているから汚染水が増え続ける地獄に見舞われているのですから、すぐにでも石棺をして、これ以上の汚染水を増やさないことしか呪縛から逃れられる方法はありません。ありとあらゆるものが人材不足で大変なのに、被曝労働をする作業員を確保し続けられるのかという話でもあります。

 ヨウ素129やストロンチウム90など、トリチウム以外の核種の検査体制を十分にしない日本に抗議するため、中国政府は「海洋放出を止めない限り、輸入をしない」と決めました。最近ではロシアが中国の動きに追随するようになりました。
 日本のネトウヨは「中国が買ってくれないなら、俺たちが福島の魚を食べるんだ!」とホザいていますが、かねてから言っているように、実際にダメージを受けているのは、福島の漁師ではありません。北海道のホタテ、宮城県のフカヒレやアワビなどの海産物が、著しく値下がりをして、漁師たちが困っています。そこに追い打ちをかけるように、日本人は今、めちゃくちゃ貧乏になっているので、フカヒレやアワビといった高級食材が、日本で全然売れないという現象まで起こっています。インボイスまで始め、まだまだ増税が控えていることもあって、ますます売れるニオイがしません。
 11月15日に宮城県の気仙沼沖でアワビ漁が解禁になりました。東日本大震災の津波で大きな被害を受けた階上地区では、あと5回ほどの漁が行われる予定だと言いますが、価格は去年と比べると3割も落ちました。国内の需要だけでは消費しきれず、供給過剰となり、どうしても値段は安くなりますが、消費者に回る金額は例年と変わらないのではないかと思います。なにしろ、物流コスト、店内の照明を維持するための電気代など、ありとあらゆるものが高騰しているので、高騰している分を価格に乗せると、僕たちが安く買えるわけでもないという地獄です。
 僕は「バカに政治をやらせてはいけない」と主張しています。その最もわかりやすい例が「大阪万博」なのですが、バカに政治をやらせると、何一つ問題を解決できないばかりか、精神論で、余計に事態が悪化することになってしまいます。まさに今、福島第一原発事故の後処理も、ほとんどが「精神論」になっています。そもそも汚染水を海洋放出していることも、デブリを取り出すことが大前提となっているわけですが、デブリを取り出すことなんてできるはずがありません。なにしろ、日本は国立大学に「稼げる研究」に注力するように、教育や研究を捻じ曲げようとしています。福島第一原発事故の後処理をするための研究は「稼ぐ」どころか「余計に税金がかかってしまうプロジェクト」です。お金を稼ぐことができない基礎研究にすらお金をかけないようにしようとしている国が、どうすればデブリを取り出すことができるかを研究するためにジャブジャブと研究費を投入するはずがありませんし、それで100年後ぐらいにデブリを取り出す技術を完成させたとしても、それで喜ぶのはチェルノブイリぐらいしかありません。既に石棺をしているチェルノブイリが、今からデブリを取り出すために奮闘するのかという話もありますし、100年後に完成した技術によってデブリを取り出したとして、そのデブリはどこに持って行くというのでしょうか。仮に長崎あたりの無人島に埋設することを決めたとして、今度は福島から長崎の孤島までデブリを運ぶ技術が必要になります。
 要するに、僕たちはほとんどノープラン&ノービジョンの「復興」という幻を押し付けられ、現実をまったく直視せず、精神論だけで乗り切ろうとしているわけで、そんなものが何一つうまく行くはずがなく、ドライに行くならドライに行くで、もっと合理的に物事を考えなければなりません。アホに政治をやらせた結果、アホのネトウヨの顔色だけを窺い、大きな利益を失い放題に失っている。これが今の「ニッポン」の現状です。


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