【選挙ウォッチャー】 衆院選2021・東京12区レポート。
10月19日公示、10月31日投票で、衆院選が行われました。
東京12区は、北区を中心に、豊島区、板橋区、足立区の一部が含まれています。このエリアは団地が多く存在するため、創価学会を母体とする公明党が非常に強い力を持っております。対して、共産党もそれなりに強い力を持っていたのですが、最近は音喜多駿の地盤ということもあり、日本維新の会も精力的に活動しています。
見逃してはいけないのは、阿部司さんは音喜多駿政調会長の地盤を生かして精力的に街に出ていて、市民と「コーヒートーク」なるものを定期的に開催しており、交流の時間を増やしていることです。今後、東京12区は阿部司さんと岡本三成さんとの戦いになる可能性が高いと見ています。
■ 阿部司候補の主張
阿部司さんは、日本維新の会の音喜多駿政調会長と大学からの友人だといい、このたび、音喜多駿の地盤であった東京都北区(東京12区)から立候補することになりました。長年にわたり、「公明vs共産」の戦いが繰り広げられていたところに、「維新」として名乗りを上げた形になります。
直前に行われた東京都議選では、佐藤古都さんが大惨敗となり、やはり維新は厳しいのではないかと見られていましたが、この選挙では「都民ファーストの会」や「自民党」が立候補していなかったため、これらの支持者が公明党ではなく、維新である阿部司さんに投票したとみられます。
比例・東京ブロックで、日本維新の会は2議席を獲得。完全なる惜敗率勝負の末、惜敗率79.5%だった阿部司さんが1位で比例復活。東京1区で惜敗率60.7%だった小野泰輔さんが2位で比例復活しました。3位は東京15区から立候補した金澤結衣様です。
なぜ日本維新の会が強くて、共産党が弱いのか。それは「選挙戦略」が大きく影響しています。この日は最終日ということで、20時でマイクが使えなくなっても、駅前でギリギリまでスタッフたちが有権者に訴えていたのですが、たくさんの支持者が横断幕を掲げながら散っている共産党に対し、日本維新の会は最も目立つところに、ポツンと1人が立っているだけです。しかし、どちらの方が目に入るかと言えば、あちこちに散っている共産党よりも、最も目立つところに1人で立っている方が目に入る。しかも、なんだか維新の方が頑張っているように見える始末なのです。
しかも、日本維新の会のスタッフが掲げているのが「維新」の2文字。一方で、共産党の方々が掲げているのは「政権交代」でした。「困った時には共産党」みたいなキャッチフレーズであれば、「やっぱり共産党に入れようかな」ということになるかもしれませんが、まさかの「政権交代」。そんなもの、どう考えても「えっ? 共産党が?」となるに決まっています。これだと「共産党には頑張ってほしいけど、共産党に与党になってほしいわけではない」という人たちが離れてしまい、あまりに高度なキャッチフレーズ過ぎて理解してもらえないのではないかと思います。
我々は2022年の参院選で「ガーシー参議院議員」が爆誕したことで気づかされましたが、このキャッチフレーズが本当は「野党が共闘することで政権交代を実現すれば、世の中が少しマシになるのでは?」という意味だと理解できる人は、かなりのマイノリティーです。あまりに高度なことを言い過ぎていて、日本の標準的な知性にフィットしていないということを理解しなければなりません。それならシンプルに「維新」と書いてあるぐらいの方がフィットするのです。
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