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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#233)。

 NHKから国民を守る党は、11月13日の記者会見で、来年1月1日から「ゴルフ党」に名称変更することを発表した。正式名称は「ゴルフ党(NHKから国民を守る党)」だというが、略称は「ゴルフ党」で、これから世論調査などで名前が出る時には「N国党」ではなく「ゴルフ党」となる予定だ。
 NHKから国民を守る党は、昨年7月の参院選で、NHKの受信料問題に取り組むというワンイシューで議席を獲得した政党である。新型コロナウイルス対策をはじめ、経済政策、外交政策、少子高齢化に歯止めがかからない日本の未来をどう描くかなど、本来、政治家が話し合うべき項目はたくさんある。そんな中で、あえて一点集中で「NHK問題以外は何もやらない」と宣言して議席を獲得した政党である。コロナ倒産が相次ぎ、経済的に苦しい庶民がたくさん生まれる中、NHKの受信料問題は何一つ解決しているとは言えないのに、NHKから国民を守る党はこれから「ゴルフ」に関する政策を始めるそうだ。


■ N国党の政策は8~9割終わっている!?

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 NHKから国民を守る党の副党首である柏市議の大橋昌信は、同党の「NHKに関する政策」は、既に8~9割終わっていると発表した。対NHKの裁判では連戦連敗のN国党であるが、「NHKの訪問スタッフは弁護士法72条違反している」の一点張りで、NHKの受信料問題はほぼ解決したのだという。
 しかし、公約として掲げていたはずの「NHKのスクランブル放送化(NHKを見たい人だけがお金を払うシステム)」に関しては、まったく前進していない。今年10月に地上波のNHK受信料は35円値下げされたが、これはNHKから国民を守る党の働きかけによるものではない。ついでに言うと、自民党の武田良太総務大臣は、NHKに「コロナ禍において国民のために何ができるか。家計負担を減らす受信料の値下げから着手するのが、公共放送のあるべき姿だ」と発言し、受信料を値下げを求めた。実は、こうして動いているのはあくまで「自民党」で、「NHKから国民を守る党」ではない。
 自分たちは何一つ動いていないし、日々、勝てない裁判ばかりを繰り返しているにもかかわらず、なぜか当人たちは「ほとんど問題が解決した」と認識しており、「次のステージに行くために」ということで、今度はゴルフに関する政策を掲げるのだという。消費税を下げるでもなく、新型コロナウイルス対策を強化するでもなく、よりによって「ゴルフ」。この人たちの優先順位は一体、どうなっているのだろうか。


■ 私たちの税金で「ゴルフやり放題」になる

 NHKから国民を守る党の上杉隆幹事長が大のゴルフ好きであることは有名な話だが、6年前から「日本ゴルフ改革会議」の事務局長を務めているそうで、立花孝志は上杉隆幹事長やプロゴルファーの片山晋呉氏らとコースを回るうちに、党名を「ゴルフ党」にして、ゴルフ場利用税や国家公務員のゴルフ禁止などの問題に取り組むことを考え始めるようになったのだという。
 まさに今、世の中はアメリカの大統領が新しくなり、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっている中にあって、多くの国民は「ゴルフ」にまつわる政策をほとんど望んでいない。おそらく、まずは新型コロナウイルス対策だろうし、同時に経済の立て直しが大きな関心事になっているはずだ。
 一度はNHKの受信料問題という多くの人に共感してもらえるワンイシューを掲げ、多くの人の心を掴んだのに、今度はよりによって「ゴルフ」だというのだから、「なぜゴルフなんだ?」と思っている人は多いだろう。
 もし政党名を「ゴルフ党」に改名し、ゴルフにまつわる政治を始めるんだと宣言すると、党首の立花孝志や幹事長の上杉隆のゴルフ代は「経費」として認められることになる。ゴルフの問題点を知るためにゴルフをするのだから、「これは調査なんだ」と言われたら、調査費として認めざるを得ないはずだ。すなわち、これから党の関係者たちは、政党交付金で「ゴルフやり放題」になるというわけである。ゴルフ好きにはたまらないだろう。


■ 「ゴルフ党」が猛烈な逆風となっている

 税金でゴルフがやり放題になることと引き換えに、NHKから国民を守る党の支持率は深いバンカーの底にハマりつつある。
 NHKから国民を守る党を妄信的に支持している「N国信者」は、大きく2つに分けられる。1つは、立花孝志が何をしてもいいから、とにかくNHKをぶっ壊してほしい「NHK破壊原理主義者」たち。もう1つは、タブーを破って世間からバッシングされる様子も含めて面白がる「炎上系YouTuber支持派」である。
 観察している限り、N国党を支持する人たちの多くは、ただのNHK嫌いである。あまりにNHKのことが嫌いすぎて、立花孝志の奇行さえも許してしまう人たち。集金人を追いかけたり、勝てない裁判を仕掛けたりする様子を見て溜飲を下げている人たちである。
 しかし、今回の「ゴルフ党」への改名は、こうした人たちを失望させている。どうしてこんなにポンコツな政党でも支持ができたのかと言ったら、それは「NHKから国民を守る党」の一丁目一番地が「NHKをぶっ壊す」だったからである。こんな名前の国政政党が存在するだけで、NHKに対しては十分に嫌がらせになっている。NHKが政党支持率の調査結果を発表しようものなら「NHKから国民を守る党」という名前は出さないわけにはいかないし、各政党の党首に話を聞くことになれば、それこそ立花孝志を出演させたあげく「NHKから国民を守る党」という名前を出さなければならないのだ。NHKが「NHKから国民を守る党」の政見放送を流さなければならなくなった時には、みんな大喜びだった。
 ところが、「ゴルフ党」に名前が変われば、もうNHKに対する嫌がらせでもなくなってしまう。立花孝志は今後、1年ごとくらいに「誹謗中傷から国民を守る党」や「裁判所から国民を守る党」といった感じで名称変更していくことを検討しているそうだが、何に変えても支持率の回復は見込めないことだろう。ここ2ヶ月ほどは、ネット上の誹謗中傷問題に力を入れることを発表し、若干ながら支持率が回復傾向にあったが、「ゴルフ党」なんていうものに改名を宣言した時点で、すべてが終わってしまった。

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 11月16日にアップした「ゴルフ党【NHKから国民を守る党】に党名変更した理由 NHKから損害賠償金を取るためです。」という動画で、立花孝志は、NHKから国民を守る党が議席を獲得すれば自民党が動いてくれると考えたが、自民党が動いてくれなかったので滞留していると説明した。
 話をまとめると、NHKのスクランブル放送化が進まないのは自民党のせいだというのである。結局、最後まで動画を見ても、ゴルフ党に改名した方がNHKに対する攻撃につながるという理屈はまったくわからなかったのだが、立花孝志に言わせれば、「動画を見る人の理解力の無さ」が原因ということになるのだろうか。


■ 副党首まで困惑する事態

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 かねてから「ゴルフ党」に改名することを匂わせていた立花孝志だが、副党首である丸山穂高に対して説明することはなかったのだろう。記者からの質問が殺到して対応しきれないということで、丸山穂高はTwitterでコメントを出しているのだが、「NHK問題の一点で共闘する」という約束だったので、「ゴルフ党」への名称変更については様子を見守ると言いたいようである。
 しかし、来年1月にもなれば、丸山穂高は「ゴルフ党」の副党首だ。有無を言わさず「ゴルフ党」の一員であり、これからは襟を正して、いや、襟を立たせて、人生のバンカーを転がらないように頑張っていただきたい。これから政局の風を読むことも必要になるだろうが、風を読む時にはぜひ、むしった芝生を空中に放り投げるスタイルで見定めてほしい。


■ 政党の獲得票数が0.6%を下回る可能性は高い

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 立花孝志は、党名変更を発表した記者会見で、今度の衆院選で獲得できた政党の票が0.6%を下回った時には、すべての活動を停止して借金の返済に充てると明言している。
 残念ながら、年内に解散総選挙が行われる可能性は、物理的に「ない」と言っていいだろう。どんなに早くても来年の年明け以降になるわけだが、その頃には「NHKから国民を守る党」は「ゴルフ党」である。
 立花孝志の頭の中では、ゴルフはスポーツの中でも新型コロナウイルスとは無縁だと考えているようだが、実際のところは、それなりに感染リスクの高いスポーツではある。というのも、プレイ中は青空の下で密になることもないように思うかもしれないが、4人1組でコースを回るスポーツであるゆえ、ランチタイムには会話をしながら食事をすることになるし、仲間を車で送迎することもあるだろう。青空の下でマスクをするのは息苦しいため、青空の下だからこそマスクを外す人も少なくないう。無言でゴルフに集中する人も少ないだろうから、とにかく会話をする。つまり、ゴルフが必ずしも感染リスクの低いスポーツだと言うこともできない。
 どうやら立花孝志は、新型コロナウイルスが流行しているからこそ、ゴルフで健康増進なんだと訴えているわけだが、もし新型コロナウイルスが爆発的な流行を見せることになれば、ゴルフに行く人も少なくなる。つまり、これは時代を逆手に取った戦略でもないのである。
 そうなった時に、「ゴルフ党」が各比例ブロックで0.6%以上の得票率を得られるかという話になるのだが、今年7月の東京都知事選で立花孝志が獲得した得票率が0.7%程度である。今回の「ゴルフ党」への改名騒動によって、いよいよライトな支持者層ではなく、本格的な支持者層が離れるようになってきたため、せいぜい0.4%ぐらいしか取れなくなってしまうかもしれない。イメージとしては、幸福実現党がそれくらいの数字である。そうなった時には、党の運営を諦め、コールセンターも縮小し、政党交付金で借金の返済をするだけの政党になるという。ちなみに、政党交付金を借金の返済に充てることはできないが、立花孝志は「できる」と豪語している。


■ 炎上狙いのN国党員、食べ物を踏みつける

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 末端にいるN国党員たちは、今日も「NHKから国民を守る党」を有名するために炎上芸に必死だ。2022年4月の松山市議選に挑戦することが公表されている川西こうじは、大流行中の「鬼滅の刃」のコスプレで、「アフガニスタンのクソガキ、見てるか!」と言いながら、パンやおにぎりを地面に叩きつけ、それを踏むというパフォーマンスをやって見せた。

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 非常に悪質なのは、飢餓にあえぐ貧困のアフガニスタンの子供たちを名指しして、わざと踏みつけている点である。本人いわく「有名になりたくてやった」ということであるが、こんな人間にも地方議員になって年収1000万円くらいの一攫千金のチャンスを与えようというのが、NHKから国民を守る党であり、来年1月からは「ゴルフ党」である。
 面白い動画を撮りたくて、結果的に思いが至らず、食べ物を無駄にしてしまったというのなら、まだ情状酌量の余地があったかもしれない。だが、この国政政党の公認候補がやっていることは、生まれた国が貧しかったばっかりに、何の罪もなく食糧にありつけず、不幸にも命を落としてしまう子供たちに対するヘイトである。こういうことにすら思いが至らない人間が議員になって、地元の貧困にすら向き合うこともなく、税金をゴルフに使おうとしているのである。
 私はこれまで2年以上にわたり、やがて「ゴルフ党」に改名される「NHKから国民を守る党」が、政治というものを愚弄しているのかを伝えてきたつもりである。立花孝志によって、さまざまな悪評を立てられるようになってしまったが、それでも現状を見れば、こんな政党にはとても投票できないということは、ご理解いただけるのではないだろうか。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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 ゴルフ党に改名することを発表した直後、立花孝志は「【野球大会】立花は3打席◯安打でした!」という動画をアップしている。オッサンが草野球で何打数何安打だろうと知ったこっちゃないが、「ゴルフ党」と言いながら野球をアップしている時点で、ナックルボールのごとくブレている。
 年内には、金利10%以上、5000万円以上の借金の金利の支払いが発生するNHKから国民を守る党だが、記者会見では「5億円の借金の中から返済する」と語っており、懐事情は大変厳しいものになっていると推測される。せっかくゴルフがやり放題になったとしても、もうすぐゴルフもできない環境に置かれるかもしれない。まだまだN国党から目が離せない。

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