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【選挙ウォッチャー】 検察庁改正法案・ドキュメント(#1)。

今、新型コロナウイルス対策をそっちのけで、安倍政権が取り組んでいるもの。それは「検察庁法改正案」です。当初の予定では5月14日にも強行採決に踏み切るのではないかと言われていたのですが、芸能人が次々に反対を表明するツイートをするなど、ネットを通じて大きな話題となり、「検察幹部の定年を延長する」というマニアックな法案に、多くの国民が興味関心を持つようになりました。いつもだったら、こんなに大きな話題になることもなく、しれっと法案が通っていたところなのですが、予想外に関心を集めてしまったばっかりに、そう簡単に強行採決に踏み切ることができなくなりました。今、安倍政権に求められているのは、検察幹部の定年ではなく、新型コロナウイルス対策であることは間違いありません。(今日から『チダイズム』では、より多くの方にもっともっと関心を持ってもらうため、強行採決が断念されるまで、ドキュメントをお届けすることにしました。今、国会周辺で何が起こっているのか、なるべくわかりやすくまとめてまいりたいと思います。)


■ 15日の強行採決は見送られた

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一説には、5月15日に衆議院内閣委員会に森雅子法務大臣を出席させることで、検察庁法改正案を強行採決するのではないかと見られていましたが、世論の高まりを受け、15日の強行採決は見送られました。本音を言えば、今すぐにでも強行採決に踏み切りたかったはずですが、今回は影響力のある芸能人たちが続々と反対を表明していることもあって、もし強行採決に踏み切ってしまうと、ただでも新型コロナウイルス対策が後手に回り、アベノマスクがスベっているところに来て、国民に何一つ説明もせずに強行採決した悪徳政権ということで、支持率が急落する可能性も否定できません。影響力のある芸能人に騒がれたら、めっちゃ面倒臭い。そんなわけで「ちゃんと話し合いましたよ」という建前を作るためにも、15日強行採決は見送りになりました。


■ どうして定年退職を延期したいのか

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本来なら、新型コロナウイルス対策に集中するべきタイミングで、安倍政権はどうして検察幹部の定年を延長したいのでしょうか。その理由は、安倍政権と蜜月な関係にある東京高検検事長の黒川弘務さんに定年退職してもらいたくないからです。もし黒川弘務さんが定年退職を迎えず、検事総長になれば、きっと安倍晋三総理や自民党の関係者を逮捕しないでくれるに違いないと考えているからです。そもそも、どうして急に検事長の定年を延長することになったのか。日本共産党の藤野保史さんが閣議決定までの動きをボードで説明していました。

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11月 8日:田村智子議員、「桜を見る会」について質問
12月 7日:東京地検特捜部、秋元司議員の元秘書宅を捜索
12月19日:東京地検特捜部、秋元司議員の事務所等を捜索
12月25日:東京地検特捜部、秋元司議員を収賄容疑で逮捕
12月27日:広島地検、河井案里議員の操作に着手と報道
 1月14日:東京地検特捜部、秋元司議員を収賄罪で逮捕
       安倍総理、「桜を見る会」で刑事告発される
 1月15日:広島地検、河井夫妻の自宅等を捜索
 1月17日:法務省、内閣法務局に問い合わせ
 1月22日:法務省、人事院に問い合わせ

 1月31日:黒川弘東京高検検事長の定年を閣議決定

実は今、安倍政権はいくつもの爆弾を抱えた状態になっています。カジノ誘致をめぐっては、秋元司議員が中国の企業から賄賂をもらって便宜を図っていた疑いがあり、河井案里さんや河合克行さんには公選法違反の疑い、そして、安倍晋三総理にも「桜を見る会」をめぐって公選法違反の疑いが持たれているのです。逮捕されないためには、政権の息のかかった人をトップに置いて、捜査をしてもらいたくない。ということを正面から言ってしまうと大変なので、ウダウダと建前を並べまくって、検察幹部の定年延長を実現しようとしているのです。


■ うんこ足立という「ゆ党の爆弾」

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15日の内閣委員会では、立国社(立憲・国民・社民の会派)、共産、維新の3つの会派に質疑をする権利が与えられていました。立国社からは後藤祐一さん、共産党からは藤野保史さん、そして、日本維新の会からは「うんこ足立」こと足立康史さんが登壇をしました。立国社と共産は、ともに検察庁法の改正に反対しているので、採決を求めることはありませんでした。ところが、日本維新の会というのは「野党」というポジションにいる「実質的な与党」なので、与党でも野党でもない「ゆ党」として扱われており、人狼ゲームで言うところの「狂人」「裏切り者」です。なので、委員会の最後に4分間だけ質問できる時間があったのですが、うんこ足立先生が採決を求めるのではないかと警戒されていたのです。結果は、この4分を使って「63歳の定年延長を65歳にすると言っているが、どうせだったら68歳まで延長したらどうだ」というアホアホ提案と「持ち時間4分は短すぎる」という話をして終了。今回、うんこ足立先生が強烈なぶっ込みをキメることはありませんでした。日本維新の会の議員は、人狼で言うところの「狂人」「裏切り者」なので、出てくるだけでドキドキしてしまうのです。


■ 強行採決を逃れた野党のテクニック

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世の中に、検察庁法を改正した方がいいと思っているのは、一部の自民党議員ぐらいしかいません。なにしろ、これまで検察の幹部だったOBですら反対しているのですから、定年延長を望む声なんて安倍晋三総理の周りにしかないのです。「そんなことしている暇があったら、一刻も早く新型コロナウイルス対策をどうにかしてくれよ!」と思っているわけで、百貨店に入っている化粧品メーカーは売上が「98%減」なんていうところもあるそうなのです。このままみんなが不要不急の外出を避け、これまでのように自由に買い物をすることもないとなると、倒産する会社が続出し、目も当てられない地獄のような光景が広がります。ぶっちゃけた話、どさくさに紛れて黒川弘務さんの定年を延ばしている場合じゃないんです。国民のほとんどが反対している法案をきっちりと廃案にするため、野党は頑張っています。15日の内閣委員会の終わり、野党4党は国家公務員制度担当大臣の武田良太さんに対する不信任決議案を提出しました。

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不信任決議案を提出すると、手続き上、不信任決議案を最初に片づけなければならなくなるため、物理的に審議が止まります。だから、少しだけ時間稼ぎにはなります。しかし、自民党と公明党だけで全体のほぼ3分の2を獲得しているわけですから、武田良太大臣を辞めさせることはできません。そうすると、あっさりと否決されて、とっとと審議が再開されてしまうことでしょう。それでも時間を稼げたことは大きくて、強行採決されてしまうかもしれない19日までの間に、みんながSNSなどを使って反対の声を上げれば「ここで強行採決するのはヤバい」と考えて、安倍政権が諦める可能性もゼロではありません。政治家がどんなに悪いことをしても逮捕されない世界を作り出すなんて、こんなにヤバい話はありません。既に自民党界隈では賄賂をもらって取り調べを受けても、理由不明の「不起訴」が続いており、お金をもらった人たちがのうのうと議員を続けている現状があります。これをもっと拡大しようというのが安倍政権の狙いです。とにかく、新型コロナウイルスのどさくさに紛れて通そうとしている検察庁法改正案は、絶対に止めるべきなのです。


■ 安倍晋三総理、また嘘をつく

安倍晋三総理が息を吐くように嘘をつくのは、子供の頃からの性格だとも言われていますが、また嘘をつきました。安倍晋三総理は「黒川弘務さんと2人で会ったことは一度もない」と言っていたのですが、首相動静にはバッチリと黒川弘務さんと2人で会ったことが記録されていました。安倍晋三総理は、黒川弘務さんと確かに面識があるし、プライベートは知りませんが、少なくとも仕事上で「2人で会っている」のです。そして、プライベートで寿司を食うほどの仲ではないとしても、仕事上でお付き合いがあれば、それで十分に「関係性がある」と判断できるのです。どちらかと言えば、プライベートで会っているかどうかより、仕事で会っているかどうかの方が重要なのです。どうせ「記憶が曖昧だった」とか「短い時間であれば会ったことはある」とか言い訳をするんでしょうけど、キッパリと断言して嘘だったことは今回に始まったことではありません。みんながいちいち国会をウォッチしていないから、こんなデタラメ野郎だと思われていないだけで、実際はただのペテン野郎です。みんなが気づいていない時から「立花孝志はペテン野郎」だと訴え続けてきた僕が言うんだから間違いありません。安倍晋三総理もまた、総理大臣でありながらペテン野郎なのです。


■ 安倍晋三総理は追い詰められている

安倍晋三総理がどうしても検察庁法を改正したいのは、このままだと自分が逮捕されちゃう可能性があるからです。安倍晋三総理が主催した「桜を見る会」は、前夜に後援会が主催したホテルニューオータニでのパーティーが公選法違反(寄付行為)にあたり、逮捕されてもおかしくない話になっています。しかも、この件をめぐっては弁護士や法学者など500人が東京地検特捜部に告発状を提出する事態に発展しており、どこぞのオールド左翼の爺さんによる自己満足のための刑事告発ではなく、全国の弁護士500人以上が立ち上がってしまうほどの異例の事態。ぶっちゃけた話、安倍晋三総理はほぼ詰んでいるのです。しかし、安倍晋三総理には唯一、逮捕されないカードがあるのです。それが「検察庁法改正案」を提出し、安倍晋三総理のために何でもしてくれる黒川弘務さんを検察のトップにすること。黒川弘務さんが「逮捕しない」と言ってくれたら逮捕されないのです。本当はぬるっとトップにしようと思ったのですが、よりによって定年を迎えてしまったので、こうなったら強引に定年の年齢を延長したい。それで「今」なのです。こうなったら死に物狂いで強行採決するしかないというのが、安倍晋三総理の置かれた立場です。だからこそ、廃案に追い込まなければならないのです。


■ 検察庁法改正案に抗議はBotではなかった

NHKが報じたニュースによると、5月8日から始まった「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけた投稿を分析したところ、8日から11日までの4日間で664万6200件、投稿したアカウントの数は70万1342だったそうです。リツイートの数は473万2400件余りで、アカウント数は58万8065。ツイートの約80%は1回しか投稿しておらず、「ボット」による発信は多く見られなかったとしています。このハッシュタグを拡散するために70回以上リツイートしたアカウントが全体の約2%で、リツイート全体の半数以上を占めていたということです。リツイートの数が10回以下のものも100万程度あり、通常の投稿よりも異例の多さであると分析しています。東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫准教授は「政治的な投稿で短期間に数十万のアカウントが参加したことは過去にあまり例がない。通常は賛成、反対、双方の投稿が見られるが、一方の投稿だけが拡散したのも特徴的」と分析しています。この法案に関しては、政治的な関心のある人はほとんどが「反対」だということです。


■ 強行採決の可能性は19日になった

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15日の強行採決が回避されたとはいえ、これで強行採決がなくなったわけではありません。次に強行採決される可能性が高いのは、衆議院本会議が開かれる19日(火)だろうと言われているのです。強行採決されないために僕たちに何ができるのか。それは19日になってから大騒ぎするのでは間に合いません。今日も含め、17日・18日の2日間でどれだけ反対の意志を国民に伝えられるか。そして、ブレーキ役を自称している公明党にも伝えることが大切です。既に「現金給付10万円の時には本気を見せてくれたのに今回は見せてくれないのか」という声が届き始めているようですが、まだまだ足りません。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

まさに今日と明日でどれだけ多くの人に「反対」を伝えられるか、日本の政治が腐った時に、ちゃんと逮捕してもらえるか逮捕してもらえないかが決まると言っても過言ではありません。自民党は「そんなことにはならない」と言っていますが、いくら滅多に泥棒が入らないと言ってもカギをかけられない住宅は欠陥品です。カギをかけられない家に安心して住むことができないのと同じように、どれだけ政治家が悪いことをしても逮捕されない国なんて安心して暮らせるはずがありません。安倍晋三総理がやろうとしていることは、まさに中国共産党や北朝鮮と同じです。中国共産党や北朝鮮を批判しておきながら、こんな簡単なことに気づかない奴は「ネトウヨ」です。

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