【選挙ウォッチャー】 島根県知事選2019・分析レポート。
まったく無風だった鳥取県知事選と異なり、島根県知事選は現職引退に伴う「保守分裂」の大激戦となり、とても面白いことになっていました。えげつないことになっている福井県知事選と同様、ここもなかなかえげつないことになっており、政局をウォッチングしている人たちにとっては、とても興味深い選挙となっております。地元の若手議員たちが推す丸山達也さんが勝つのか、それとも、ベテランの国会議員が推す大庭誠司さんが勝つのか。実質的にはこの2名に絞られた選挙だと思いますが、どちらが勝っても微妙な雰囲気がしている島根県知事選を、しっかり記録しておきたいと思います。
丸山 達也 49 新 無所属(地元自民系)
大庭 誠司 59 新 自民党推薦
島田 二郎 65 新 元安来市長(自民系)
山崎 泰子 57 新 共産党推薦
島根県知事選の構図は、地元の若手・中堅どころの自民党議員が丸山達也さんを擁立したのですが、それに待ったをかける形で、国会議員やベテランの自民党議員たちが大庭誠司さんを擁立し、保守分裂となってしまったのでした。丸山達也さんも大庭誠司さんも官僚なのですが、ポジションで言うと丸山達也さんの上位互換が大庭誠司さんであり、大庭誠司さんには党議拘束のかかる「推薦」がついたため、丸山達也さんはハシゴを外されてしまい、一気に厳しい立場に立たされてしまったのでした。
■ 島根県の保守分裂の構図
麻生太郎の私怨が引き起こした福岡県知事選の保守分裂、新幹線や縦貫自動車道の完成に伴う「うまみ」をゲットするために現職を下ろそうとしている福井県知事選の保守分裂など、さまざまな保守分裂の構造がある中で、ここは自民党の重鎮たちが「利権の筋が違う」として、地元の若手・中堅議員たちが進めてきたものに待ったをかけ、「勝手に動くんじゃないよ」的な感じで、竹下亘さんをはじめ、自民党の重鎮たちがマウントを取ってきた形の保守分裂だと見ています。
新聞などで報じられているところでは、人口減少が進む島根県を守るために五百川純寿県議が中心となって勉強会を開催。島根県を守るためには、今こそ地元が一つにまとまらなければならない時だとして、地元の自民党議員たちは他党が出してきた請願も積極的に取り入れ、県議会で通過させるなどして、地元のつながりを深めてきたといいます。地元県議たちを中心に、今回の選挙では丸山達也さんを擁立しようという動きが加速する中、現職の溝口善兵衛さんが昨年11月に引退を表明。これで丸山達也さんでまとまるかと思いきや、食道がんの治療のために病気療養中だった竹下亘さんの伝言を細田博之さんが伝え、元総務相消防庁次長の大庭誠司さんを擁立することを県連に報告したのでした。「保守王国」と言われる島根県では、これまで国会議員を頂点とする綺麗なピラミッドが形成されていて、国会議員の大先生の言うことは絶対だったのですが、地元の議員がまとまっている中で、いくら国会議員の大先生に言われたからって、縁もゆかりもない大庭誠司さんを簡単に推せるはずもなく、若手・中堅の県議たちが国会議員に反旗を翻し、党議拘束にもめげずに丸山達也さんを知事にするために奮闘したという保守分裂でした。結果は非常に面白いことになっているので、ちょっと明るいテンションで見られるかもしれません。
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