【選挙ウォッチャー】 青森県知事選2019・分析レポート。
けっこう大きめの選挙を、わざわざ交通費と宿泊費をかけて取材しに行ったのに、今日までレポートが出ていなかったという奇跡の展開です。2019年5月16日告示、6月2日投開票で青森県知事選が行われました。青森県は、六ケ所村の核再処理工場や東通原発、大間原発などがあって、福島第一原発事故後も新しい原発を作ろうとしているのですから、だいぶ狂っています。原子力政策も大きな争点となっている青森県知事選は、現職と新人の一騎打ちとなりました。
三村 申吾 63 現 5期目を目指す
佐原 若子 65 新 無所属(歯科医師)
選挙そのものは、残念ながら、選挙をやる前から結果が決まっているようなものでした。なにしろ、三村申吾さんは自民系から民主系まで、実に幅広いところから支持されており、お調子者な一面があって、みんなから愛されるキャラの知事だからです。一方、佐原若子さんは「脱原発」を掲げている候補なのですが、ほとんど組織に応援されておらず、一部の「脱原発」を願う市民が支持しているぐらいです。この差はあまりにハッキリしています。
■ 10年後に大地震で格納容器が損傷
ひとたび大きな地震が起これば、原子力施設なんて、あっという間に吹っ飛んでしまう。やはり、どれだけ原子力でメシを食っている人がいるとは言っても、日本で原子力発電をするのは無理です。2011年に福島第一原発事故が起こり、1号機から4号機まですべてが吹っ飛び、10年経った今も後処理に追われ、何の生産性もないものに湯水のごとくお金が使われてしまっているわけですが、あれから10年後の2021年、再び震度6強の地震があり、事故を起こした福島第一原発の格納容器が損傷し、水で満たすことができなくなってしまいました。水素爆発を防ぐため、格納容器の中は窒素で満たされ、1.2キロパスカルの圧力がかかっていたはずですが、地震の後は0.1キロパスカルとなり、これはほぼ何の圧力もかかっていない状態です。これは格納容器の中が密閉されていないことを表し、どこかに穴が開いていて、核燃料を冷却するために注水をしていましたが、その注水がうまく行っているかどうかがわかりません。今のところ、モニタリングポストの数値に変化は見られないということですが、空気が漏れているということは外に放出されているわけで、大気の放射線量が変化するほどの漏れではなかったというだけです。福島第一原発のすぐ外では、クロソイから500ベクレルを超えるセシウムが検出されていますので、海には再び放射性物質が漏れている可能性があります。今後は海産物の影響も慎重に見守っていかなければなりません。こうした状況を見ても、原子力政策からは今すぐに撤退するべきであり、さまざまな詭弁で原発を残そうとしている人たちは、誰でも分かることが分からないバイアスのかかったアホです。世界の国々はとっくに太陽光発電や風力発電にシフトし、より効率良くエネルギーを得るための開発をしているのに、いまだ時代遅れの日本。こんなことで、この国が発展するはずがありません。
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