［ゆる🎭観劇録］明日のアー本公演vol.10『整理と整頓と』

於 SOOO dramatic。入谷にあるコアワーキングスペース？ アートスペースか、スタジオのようにも見えた。

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明日のアーは、以前にテアトロコントで見た。配信で公演も一度見たかな。ただ、そのときは「難しいコントだな」とか思った記憶。あと、いわゆる小劇場の雰囲気と違う感じがして、実際、演劇に通っていたときにあまり足が向かなかった。コントだからかしら？　主催がデイリーポータルZのライターさんらしいので、少し演劇と異なる匂いを感じたのかもしれない。一時期は、アングラ劇団でもバンバン見ていて、なんでもいけるクチだったのだが。

今回は、アーが動画配信のシットコムや、ショート動画の投稿も始めていて、それを見ていたので、久々に気になった。

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開演前から、主宰の大北さんがユーモアについて語る。
ユーモアとは、期待を大きく「下回った」ときに生まれるのでは」ということ。面白いということは、「わかる」ことと大きく関わるという旨は受け取った（つもり）。多分たくさん検証と煩悶と、繰り返しながら論を立てて、作品を作っているのだろう。

公演は「ユーモアとはなんだろう」と悩み続ける、ぬいぐるみのユモ氏を前に、演者が次々コントを披露してユーモアを検証していく……というながれ。短編コントが目まぐるしく続く。そして、ユーモアとは？　面白さとは？を考察しつつ、それこそ整理・整頓されていくように、つぎつぎとコントが始まる。

ユモ氏。知的にモフモフである

気になったこと

ユーモアは期待を「下回る」ときに起こるという見解。「下回る」のはなぜだろう。「上回る」ではどうかな？と引っかかった。
「下回る」と、自分の想像できる範疇内ではある（？）けれど、「そうくるとは思わなかった」という感覚かしら？　一種のカタルシスのように思える。いわゆる「アハッ」となる体験もあるかもな。だけど、それは上回ったときもありうるんじゃないかな、と。
「斜め上をいく」という言葉もあるくらいに、自分の想像できなかった範疇を超えてきたときに、面白いってなると思っていた。そして、そうなったとき「個性的だな」と思う。そして、上回った場合、それを作った作家がやはり面白いなーともつながったりする。作品自体の質とは別になるのかもしれないけど、その作家ってユニークだなと思う。そして、心を許すというか、面白さのバリアみたいなものが解かれて、その作家の作品をうけとめやすくなる、そしてさらに包み込まれるように面白さが円滑になる……みたいなこともあるんじゃないかな。（ただ、あくまで観者→作家の捉えかたによる気もする。そして「上回る」のは、観者の視野が狭かった場合はすぐに超えられるはずだし、感受性の相対性みたいなものが関わってくる。）

「下回る」という表現にしたのはなぜかだろう。上か下かの捉えかた違うっていたとも思えるけど、この、上か下については触れられていなかったので気になってしまった。

ここまで考えて、「上回る」ことで想起するのはのは、「面白さ」でなく「感動」にも思えてきた。
自分の想像できないコント見られてすごい！とかは、面白さでもあるけど、感動でもあるよなあ……とか。
すごく偏見なのだけど、「上回る」面白さがあるとしたら、なんとなく体育会系で、「下回る」のは文化系な気がする。ちょっとテクニカルにも思える。

もう一点。
面白さは「わかる」感覚に近いという話もしていた。
ただ、わからないことでも面白さがあると思う。それはなんだかわからないけど面白い（これは作中カオスとして論じられてもいた気がする）という感覚。カオスも面白いが、整理されてわかったとなったときに面白さがあるという感じだったと思う。
ナカゴーとほりぶんの公演が、このカオスの面白さを体現していたのではないかと思う。ほりぶんの作品『牛久沼』などは、カオスが一種のトランス状態になったりするくらい面白かった。

イラストを勉強しているときに、先生が「いまの生徒は、なんだかわからないけど面白いな、みたいな作品がない」という旨の叱咤をしたことがあった。それは、気迫とか、思い入れとか、そういった部分のたりなさを指摘したかもしれないんだけど、理解できない面白さ、過去に類を見ない目新しさ……が面白さにもあるんじゃないかなと思ってしまうのだけど……自分の「面白さ」の定義がブレはじめている気もする。

最後に、ユーモアについては、言語上での理解なのかなとういうこと。
先にイラストの面白さをちょっと引き合いに出してしまったけど、言語のユーモアや、グラフィックのユーモアなどは相容れるのだろうか。あるいは、音楽での面白さとか？
グラフィック上での「期待」や、「わかる」感覚は、言語のそれよりずっと難しい。名画を見て、すぐ「わかる」となる人は少ないだろうし。グラフィックの上でのユーモアはなんだろう。目新しさ？　あえて配色を外す？　パロディやオマージュ？　この場合の下回ったときは、「なんだかつまらない絵だな」とかになってしまいそう。
音楽上の「期待」を下回ると、すこし現代アート的な音楽によっていく気もするし……とか、上か下かで、なんか、アレコレ想像してしまったのだった。

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感想っぽい感想でなくて申しわけない。
最近ふさぎ込むことが多くて、コントをたのしめるかな？と思いながらチケットを取ったのだが、ユモ氏（主宰？）が、ひたむきに「ユーモアとはなにか？」について考え続けていて……自分の悩んでいることなんて、取るにならないことだな、と思い元気が湧いたのだった。

アクリルキーホルダー。略してアクキー

いま、物販で買ったユモ氏のアクキーを職場の机においていて、気が滅入ったときに見ている。なんか気分がよくなる。（あ〜、ボアキャップとかも可愛かったから、買っておけばよかったなあ）