オペレーションの授業が意外とおもしろい
以下は2018年に書いた記事です。
INSEADの10ヶ月間MBAプログラムも4月で早40%ほどが終了しました。3-4月の2学期も1学期に続きすべて必修科目だったのですが、その中でオペレーションの授業が意外にもおもしろかったので、中身を少し紹介しようと思います。
当初、オペレーションと聞いたとき、工場の生産ラインでいかにボトルネック(※)をなくし、在庫を減らし、アウトプット(完成品)を増やすか、といった内容を想像していました。
(※)処理能力が最も低い部分。ボトルネックの処理能力が工場全体の処理能力を決定する。例えば、集団行動のスピードは一番遅い人が決めるように。
もちろんそんな内容も登場するんですが、他にもZARAやUber、任天堂やすきやばし次郎といった身近な事例がたくさん。
パッと見、Uber・すきやばし次郎って工場なくない?オペレーション関係なくない?と思ったんですが、甘々でした。
特に目からウロコだったのはUberの話。
これまで、UberのようにInnovativeなビジネスモデルって、ユニークな人がふと思いつくものというイメージがあったんですが、これをオペレーション的に考えてみると非常におもしろい。
通常、タクシー会社のオペレーションは、1. ドライバーを雇う → 2. 客を見つけるという順番になっています。
すると、あらかじめ客数(=需要)を予測して雇うドライバーの数(=供給)を決める必要がある。
もしも客数が想定を下回ればドライバーが余るのでムダな費用が生じるし、上回れば機会ロス(ドライバーが十分にいれば得られたはずの収益)が生じます。
この需給のアンバランスがオペレーションの最大の敵。
ここでUberのビジネスモデルを考えると、1.(ドライバーを雇う)と2.(客を見つける)を同時に行っているわけです。
客数に合わせてドライバーを雇えるし、Uberが浸透している地域ならドライバー候補はたくさんいるから、ムダな費用も機会ロスも発生しない。
これをオペレーションのResequence(並び替え)と言うそうです。
こういう考え方をすると、なんだか自分でもInnovativeなビジネスモデルが思いついちゃいそうです。
実際、授業ではResequence他 習った方法を応用して新しいビジネスモデルを考えるエクササイズを行いました。
僕が考えたのは既存の美容室を変えるモデル。
多くの顧客にとって同じ美容室に通い続ける理由は、担当の美容師が自分に合っているかどうかだと思います。
一方、手に職を持っている美容師にとって所属店を変えるハードルはそれほど高くない。
つまり、美容室は顧客(=需要)を集めてくれる人気美容師(=供給)をある日突然失うリスクを常に抱えているわけです。
これを解消するために、顧客と美容師のマッチングサービスを作り、既存店舗の代わりにホテルやカフェに併設する小規模のスタイルスペースをいくつか提供するというもの。
これなら人気美容師をたくさん抱えることができるし、美容師は好きな時間・場所を選んでフリーとして働くことができるので、たった一人の人気美容師が突然お店を去り、彼女が担当していた顧客も同時に去り・・・というリスクを減らすことができます。
まぁ、この案はグループの議論段階でボツになったんですけどね。笑
さて、数日前からシンガポールを離れ、2ヶ月間限定でヨーロッパキャンパス@フランスに来ているので、次回はそのあたりについて書こうと思います。