オレンジシャツを着て亡くなった先住民の子供たちを弔い、カナダの黒歴史を考える
毎年9月30日は、「真実と和解のためのナショナル・デー」です。
この日は、故郷に帰れなかった先住民の子どもたち、寄宿学校の生存者、そしてその家族や地域社会を称える日です。悲劇的で痛ましい歴史と、現在も続く収容学校の影響を公に祈念することは、和解の大切なプロセスです。
「真実と和解のためのナショナルデー」と「オレンジシャツデー」は、今年も9月30日に開催されました。
オレンジシャツデーは、先住民族が主導する草の根の記念日で、個人、家族、地域社会が住宅学校の世代間影響に対する認識を高め、「Every Child Matters(すべての子どもが大切)」というコンセプトを推進することを目的としています。
オレンジ色のシャツは、先住民の子どもたちが何世代にもわたって経験した、文化、自由、自尊心の剥奪の象徴です。
9月30日、私たちはすべてのカナダ人がオレンジ色のシャツを着用し、何千人もの収容学校の生存者に敬意を表しました。
当日はオレンジシャツを着た多くの人たちを見かけました。
全国各地で、寄宿学校の歴史と遺産を記念して企画された一般公開の地域活動を見つけることができます。
先住民の子供の寄宿学校の歴史
寄宿学校はレジデンシャル・スクールと呼ばれ、先住民の子供たち(7歳から15歳)をカナダ人の文化に同化させるために設立された、政府後援のローマンカトリックの宗教学校です。
カナダ政府は先住民を同化させる政策を打ち出し、はじまりは17世紀からと言われています。一番最初のレジデンシャル施設はニューフランスに設立されました。
レジデンシャル・スクールは、先住民の子供たちを家族から引き離して強制的に現代様式に教育し改宗させ、カナダ社会に同化させる試みとして、キリスト教会とカナダ政府によって設立されました。
しかし、実際は先住民の文化と家族、そして彼らの地域社会を破壊し、身体的、精神的、性的な虐待も数多く引き起こし、先住民の間に長期的な精神的なトラウマや依存症などの問題を引き起こしています。
最後のレジデンシャル・スクールは1996年に閉鎖されていますが、寄宿学校での生存者は、現在もPTSDや精神的な問題を数多く抱えています。
2007年にインディアン居住学校和解協定が結ばれ、2008年にスティーブン・ハーパー首相によって公式謝罪が発表されました。合計で推定15万人の先住民、イヌイット、メティスの子供たちが居住区学校に通っていたとしています。
近年の動向
ところが、2021年6月にブリティッシュコロンビア州のキャンループの寄宿学校跡地から、子供の人骨が215体発見されたことで、先住民族の大きな抗議行動へと発展してゆきました。
先住民の代表する団体(Assembly of First Nations Métis National Council, Inuit Tapiriit Kanatami)は、カナダ・カトリック司教協議会(Canadian Conference of Catholic Bishops)の共同声明で、2022年の3月28日から4月1日まで、ローマ法王に面会をしました。
そして法王にカナダに訪問をして、先住民の人たち、そして寄宿学校の生存者に対して謝罪をすることを約束しました。
ローマ法王は2022年7月にカナダを訪れ、先住民族のリーダーや寄宿学校の生存者に対し、先住民が150年近くにわたって居住学校で受けた世代を超えた虐待にカトリック教会が加担してきたことを謝罪をしました。
ここまでが、ここ最近の動きです。
残念ながら、私はカナダにいながらこのようなことを知ったのはニュースを通してです。学校ではこのようなことを授業で教えられることがなく来ています。
なので、あえてカナダの黒歴史と呼んでいます。
9月30日午後7時から10月1日の日の出まで、「真実と和解のためのナショナル・デー」を記念して、カナダ全土の建物がオレンジ色にライトアップされました。
これには、国会議事堂のピース・タワーなど連邦政府の建物も含まれています。
なお、私のポッドキャスト『1日1単 English Talks』そして、セカンドポッドキャストチャンネルである『カナダで保育を語る』では、2部構成でこのことについてお話していますので、良かったら聞いてみてくださいね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。