二度とない今日を精一杯生きる――吉良節子
2020年末に第1弾が発売されて以来、
いまも連日、読者の皆様から感動の声が寄せられている
「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズ。
わずか1ページの分量でありながら、
一つひとつのお話には、
胸が熱くなる感動が詰まっています。
全部で730あるお話の中で、
皆さまの心に最も深く残ったのは、どのお話だったでしょうか?
「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズの中から、
特に心に残った記事と、その感想をシェアしていきます。
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一日の決算は一日にやる―――土光敏夫の座右の銘
吉良節子 土光敏夫元秘書
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昭和61年、電電公社や国鉄の民営化をやり遂げた臨調は解散。
その功績を認められ、土光敏夫さんは民間人では初めて
生前に「勲一等旭日桐花大綬章」を受章しました。
その後、次第にお体に無理が利かなくなり、
ご自宅で静養されるようになりました。
それでも社内には「土光さんの意見を聞こう」という案件が多く、
私は週に一度はご自宅まで伺っていました。
神奈川の鶴見にひっそりと佇たたずむ土光家。
「地味で質素」を絵に描いたようなその家は、
およそ東芝の社長や経団連の会長を歴任された方のお宅とは思えません。
門を開けようとすると「ギーギー」と轟音が響き渡る。
廊下を歩いてもギシギシいって、
「女性の私が歩いて穴が開いたら恥ずかしいわ」と
いつも気を使いながら歩いていました。
冷暖房設備がないあの家に、真夏にいらっしゃった方は、
「あの家は暑くてなぁ」とぼやいていらっしゃいました。
秘書側が家の修理を申し出ても「まだ使えます」、
クーラーの取り付けを申し出ても「いりません」の一点張り。
「営業の話にみえるお客様もいらっしゃいます。
冷暖房がないと営業上、困ります」と申し上げると、
「会社が困るなら入れましょう」と快諾したものの、
応接間のみ取り付けを許し、自分の部屋に取り付けることは拒みました。
受勲の際、土光さんは「個人は質素に、国は豊かに」とおっしゃいましたが、
その人生はまさに言葉通りだったと思います。
メザシが一番のごちそうで、着飾ることを嫌い、
背広も鞄も使い古したものを大切に使う。
ペン一本も、文字が擦れるまで使っても
「まだ使える、まだ書ける」と言って捨てようとなさいませんでした。
私心なく、公私の別に厳しく、質素を好んだ土光さんが、
色紙を求められるといつも書いたのは「日新 日日新」という言葉でした。
出典は中国の古典『大学』で、
「きょうという一日は天地開闢以来初めて訪れた一日である。
それも貧乏人にも王様にも、みな平等にやってくる。
その一日を有意義に暮らすためには、
その行いは昨日よりもきょう、きょうよりも明日は新しくなるべきだ」
という意味があるそうです。
それについて、以前土光さんは次のようにお話しされていました。
「一日の決算は一日にやる。失敗もあるであろう。
しかし、昨日を悔やむこともしないし、明日を思い煩うこともしない。
新たにきょうという清浄無垢な日を迎える。
ぼくはこれを銘として、
毎朝『きょうを精いっぱい生きよう』と誓い、全力を傾けて生きる」
この言葉に土光さんの人生が詰まっているような気がします。
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1日1話、私のイチオシ
致知出版社 管理部総務 後藤直
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色紙を求められると、「日新、日日新」と書いていた土光氏。
それについて土光氏は、
「失敗もあるであろう。しかし、昨日を悔やむこともしないし、
明日を思い煩うこともしない。
新たにきょうという清浄無垢な日を迎える。
ぼくはこれを銘として、毎朝『きょうを精いっぱい生きよう』と誓い、
全力を傾けて生きる」
とお話されていました。
生涯で迎えるであろう3万6500の朝日のうち、
既に2万6500の朝日を過ごした私自身にとって、
二度とない今日という日を精一杯生きる覚悟を改めさせてくれる
土光氏の言葉です。
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