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おてんとさま
僕の行動倫理の一つは、自分のした行動が周囲にどんな影響を及ぼすか、である。
なぜこんな考えに至ったのだろうと電車でぼーっと考えていたのだが、ある仮説に辿り着いた。
おそらく、「おてんとさまが見ているよ」という教えだ。
一歩間違えれば強迫性のある価値概念だが、幸いながら、これがポジティブに自戒として働いている。
これは、僕が尊敬する祖父の影響が大きかったのかもしれない。
「おてんとさまが見ているよ」だけではなく、なかなか寝付かない僕に対して「遅くまで起きているとナマハゲが来るよ」と言ってすりガラスの引き戸をガタガタ揺らされたり、雷の日は「空が怒っている。野菜ちやんと食べろ」と、まるで僕が空を怒らせたかのように言われたりもした。
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こうして僕の想像力はある種逞しく鍛えられた。
たとえば、僕はたばこを吸うが、ポイ捨ては絶対にしない。
もちろんゴミを捨てることに対する環境配慮意識はあるが、それだけではなく、捨てた姿を(人ではなく)空にいるおてんとさまが怒るだろうなぁ、と思うから、
ただ、繰り返しになるが、それは僕にとって自然な想像であり、そこに強迫観念はなく「んー、まぁ自制しておくか…」くらいのゆるい結論なのである。
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子どもを持つ親として倫理観は育ててあげたいが、このアプローチが適切かどうかはわからない。
ただ、祖父が亡くなってから、一度、弟とけんかをやめない長男に「あ、空からじいちゃんがなんか言ってる。なになに、けんかをやめろって?はーい、伝えておきます」という三文芝居をしたことがある。
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そのとき長男は空を見てから、けんかをやめた。
彼の真意のほどはわからないが2ミリくらいは信じているのかもしれない。