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アメリカ在住お母さんが今更BTS沼に飛び込んだ話・前編
私の名前はチチ(ナムジュンに聞いてもらったから答えます)。
2021年の暮れ、今更どうしたというタイミングでBTS沼に飛び込んでしまった、アメリカ在住のお母ちゃん。これは沼までの長い道のりの記録・前編です。
韓国芸能を愛でる素地はあった、でも…
2015年、夫の都合でアメリカに引っ越してきた。
MLBのスタジアムに行くと、試合の合間にPSYのカンナムスタイルが流れ、老若男女の観客がヒューヒュー盛り上がっていた。これ韓国のおじさんの曲でしょ、それにしてもすごい周知のされっぷり。
でも所詮、壮大なピコ太郎枠として面白がられているのだろうと思っていた。
そこから数年経った頃、K-POPはアメリカのチャートに本格進出してきている、とか、動画再生数の記録がどうとか言うような記事を目にするようになった。今思えばこれらはBTSやBLACKPINKのことだったと思うのだが、とはいえ、これまた何か別記事の刷り込みで、あれ組織票でしょ、人海戦術なんでしょ、ほんと情報操作お上手だな、などと受け流していた。
K-POPを完全否定していたわけではない。むしろ私自身、韓流界隈に簡単にのめり込む素地がある人間であることは自覚していた。
日本にいた頃に、BoAちゃんにはカラオケで大変お世話になったし、Kさんのオンリーヒューマンは今でも歴代好きな歌トップ10に入れたい位の名曲だと思っている。KARAや少女時代はCDを買っていて本気でコンサート行こうかな、と考えたくらいに好きだった。
世代的にヨン様にはいかなかったが、少し下のクォン・サンウが好きでドラマにハマっていた時期もある。
その他、ピさんとかグンちゃんとか東方神起やBIGBANGも、特にファンだったわけではないけど、みんなパフォーマンスが素晴らしい上に、日本語を上手に使いこなしバラエティでも活躍するのをテレビで見ていて、韓国アーティスト達の完成度と本気度、その努力はよく分かっていたつもり。
だがしかし。
数年活動した後のなんだかよく分からないフェードアウトの仕方だとか、契約問題で事務所と揉めて分裂とか、日韓関係も色々あるし、あげく自殺なんていう悲しい出来事も同時に耳に入ってきていた。
煌びやかな活躍、派手なブームの裏にそういう、韓国芸能界の闇っぽい部分が見え隠れしていた事もあって、
「みんなすごいけど、どうも色々ありすぎなんよ」
と斜に構えていたようなところがあり、結果として全肯定はできていなかった。
『パラサイト』の快挙
そうこうしている間にも、BTSメンバーの1人がTシャツ問題でMステドタキャンしたとか、ナチスの格好しちゃって謝罪したとか、いやいや国連に来て素晴らしいスピーチをしたらしい、グラミーでパフォーマンスしたらしい、などネガティブとポジティブ双方の記事を目にしていたと思う。
ただ、記事にBTS(防弾少年団)と書いてあっても
えーっと読み方ボーダンショーネンダンで合ってるのかな?待てよそれだとBDSじゃ?しかし()付きとはこれ如何に?という感じで、引き続きその実態は掴めないままでいた。
2020年2月、アカデミー賞で韓国映画パラサイトがオスカーを獲得したのをテレビで目撃した。壇上に上がったポン・ジュノ監督のスピーチは韓国語。とても優秀な通訳さんがついていて、会場は大いに盛り上がっていた。
個人的には、喝采を浴びるパラサイト関係者を見たタイミングで初めて、いやぁ韓国文化って本当にアメリカまで来てるんだと実感した気がする。そういえばボーダン?ナントカもずいぶん前から騒がれているし、これはいよいよアメリカでの人気も本物なのかもな、やっぱり韓国すごいなぁ、と素直に納得できる出来事だった。
世界に放たれた不思議曲Dynamite
そして世界がコロナに揺れていた2020年8月。Dynamiteの爆誕である。
アメリカ生活では毎日車での移動ばかりなので、ラジオでヒットチャートをずっと流している。好みの曲だけ聞くよりもトレンドがわかるし、自分では選ばないような曲に出会えるのが面白い。
続く自粛生活でうんざりしていた世の中に、ある時から繰り返し投下されるようになったアゲアゲキラキラのポップなディスコチューン。
最初はブルーノ・マーズがそっち方面に振り切ったタイプの新曲を出したのかと思った。私の貧相な耳には、歌い出しのジョングクの声が、ブルーノをアク抜きして精製しました的に聞こえなくもなかったし。
でもすぐに分かった。どうもこの曲、アク抜きブルーノだけの声じゃないんよ。コラボなのか?
繰り返し不意に耳に入ってくるものだから、ついには子供たちも歌を覚え始め、夫もこの歌なんなの?と気になり出した様子だった。
我が家におけるこの「よく分からないけどなんだか流れまくってない?誰?」な感じは、デスパシート以来だった気がする。
そこで調べてみてようやく、このキラキラ曲が、あの韓国のボーダンナントカの、いやBTSの初の英語シングルで、ビルボードで1位を獲得し大ヒット中らしいと知ったのだった。
このDynamite、私にとってはストレスのない超優良ポップスというわけではなく、どこか「違和感」がフックとなり、それ故に気になる、というタイプの楽曲だった。ファンとなった今ではむしろ快感、むしろ大好きポイントなのだが、その当時「なんかクセ強」と感じるパートが少なくとも3名分はあった。
Dynamite クセ強その1・ナムジュンのレッツゴー
歌中に2度ほど出てきてサビ前を煽る印象的なナムジュンのパート。
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言ってない。Hey, so let’s goなんて言ってない絶対。
ハイ!さレッツガッ!
って声も言い方も独特すぎやしないか。裏返ってないか。特にガッ!のところ。もうちょっと洒脱な感じでもいけたのでは、なんて素人考えしてしまうけど、なんでこの重要パート担当の彼はここまでクセを押し出して善しとしたのか。そういう作戦か?うーん気になる。
Dynamite クセ強その2・ジミンのブリッジ
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今となっては愛おしいあの蜃気楼のようなブリッジも、当時ジミンの名前も顔も知らず、ましてやエッジボイスどうこうなんてことにも疎かった私にはちょっとした衝撃だった。
〜the stars tonight(イッ)
〜the night (アンッ)alight(ンヤッ)
って全然うまく文字に起こせないんだけど。
なんだろうこのしゃくり上げっていうの?そもそもその中性的な声質なに?うーんすっごく気になる。
Dynamite クセ強その3・テテの大サビ
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ハッピーヤッピーなポップチューンと見せかけておきながら、ナムジュンやジミンがシレッと妙なざらつきを残していく。その一方で、キングオブ安定感のジョングクとユンギあたりは私のような凡人にも理解しやすい美声で、ほっと一息つかせてくれる。
だのにだ。
大サビのテテはある意味アイドルらしからぬそのハスキーボイスを最大限まで引き上げて力一杯の圧をかけてくる(ように当時の私には感じた)。このパートは、あの歌い出しのアク抜きブルーノくんに担当させといたら無難にまとまる気がするんだけど、敢えてこの低音担当ぽい子に締めさせた理由はなんだ?んん〜気になる。
BTS、不思議ちゃんグループかよ…
この時まだまだ私の目に沼など見えていなかった。