仕事の帰り 駅 電車を待っていたら、50代くらいの女性が話しかけてきた。 「すみません、少し困ってるので聞いてもらえませんか?」 と声をかけられた。 困ってる様子にしては落ち着いてるけど、電車待ってるだけだし話しを聞くことにした。 「静岡から出てきたんだけど、お財布を落としてしまって困ってて。」 警察に行くことを伝えたけど、もう行って、落とした場所など伝えて届け出はしたらしい。 ただ問題なのが今日のうちに静岡に帰らないと行けないとのことだった。 う〜ん 静岡ま
【指輪】 あの日、雨が、降っていた。 朝から一日降り続いていた。 雨でもいつも晴れてる人だった。 君はそんな笑顔の人だった。 華奢な指、サイズの合わない指輪をいつもしていた。 僕があげた指輪。 サイズ違ってたから直してもらおうと何度も言ってるのに、これがいいのって外そうとしなかった。 外そうとしなくても外れちゃうと思うって笑っていた。 一年も君の指から落ちないように必死な指輪。 君と話ができなくなると思っていなかった。 二度と君の笑顔は見れない。 僕には本当にもったいない
【あいつと俺】 今、空港に向かってる。 忘れ物をあいつに届けるために。 間に合うのはわかっているんだ。 でも気持ちだけが焦る。 あいつとは、ついさっきまでルームシェアしていた。 さっぱりした性格で短めの髪だったのもあって、異性として意識したことは、一度もない。 お風呂上がりも下着でウロウロされても困ったことにはならなかった。 おい!!下着でウロウロするなよ。俺、一応男!! って言ったところで、 え?なに?裸でウロウロしろってこと?それとも一応私も女として見られ
【彼女】 美味しい!! いつも美味しいって、俺の作ったご飯を頬張りながら、本当に美味しそうに食べてる彼女が可愛い。嘘がつけないから、素直に顔に出るところもわかりやすいから好きなところなんだよな。 嘘が下手で噓言うと笑っちゃうんだよ〜って自分で言うかな。そういうところも可愛いと思っちゃうのは、もう相当彼女のこと好きなんだって自覚するよね。 いつも俺の事、大好きなのアピールもなんかあざといのにやっぱりやられちゃうんだよな。ちょっとぶりっ子なんだけどさ、でもやっぱりそ
【君の欠片】 彼女の髪がサラサラ〜となびくたびにふんわりいい香りがして、ドライヤーをかけてる彼女のそばにいるのが日常だった。 お風呂上がりの彼女を待つのを少しワクワクしていた。 そのときはそれが日常で気付けなかったけど。 朝の風景 少しだけ寝坊しがちな僕をいつも先に起きて朝ごはんを準備してくれて、僕の起きたタイミングでコーヒーをいれてくれた。 最初は一緒に朝ごはん食べようねと約束をした僕なのに、一週間も経たずに約束をやぶってしまった。 それを最初は謝ってたけど、