サブタイトルから学ぶこと (映画 『呪怨 パンデミック』...など)
コロナ禍も、たくさんの目新しい言葉が現れ日常に溶け込んできた。「集団免疫」「ソーシャルディスタンス」「副反応」「飛沫感染」「水際対策」「テレワーク」「リモート会議」「オンライン授業」「分散登校」「ロックダウン」...
時代や状況になんとか付いていくために、どうしても言葉とは向き合い、捌かねばならない。
そもそもの「コロナ禍」もそうだ。僕は、“禍”を、“渦”と書いてしまうクセがついてしまっている。一度、思い込みで「ころなかちゅう」と打ち込むと楽に変換できるね、なんて考えてしまったせいで、こんがらがってしまった。「ころなわざわい」と打たねばと意識していたのだが、いつの間にかiPhoneは先に予測変換してくれるようになっていた。実にスマートなデバイス。
そんな、ドバドバと入荷する新着ワードたちの中で、ググりもせず、すんなりと捌くことが出来た言葉がひとつあった。
僕は「パンデミック」を知っていた。
「感染症の爆発的な大流行」を意味する言葉である。
意味については、今更言わずもがなでありましょう。しかし、実際に意味通りのことが起こったからこそ、専門的な用語の枠からはみ出し、途端に実用性を帯びた言葉のひとつであろうと思う。で、なぜ僕が事前に知っていたのかというと、それは、映画のおかげである。
『呪怨 パンデミック』のおかげである。
“おかげ”と言っておきながら、実はまだ観たことは無い。1作目の『呪怨』は鑑賞したのだけれど、続編はちゃんと追いかけておらず、マチマチであり、このタイトルは見掛けただけ。「なんだか話題のスイーツみたいだな」と思った。そして気になって調べ、へえ、と頭の片隅に収めたのだった。検索すると映画の公開が2006年なので、おそらくその頃の出来事(?)なのだろう。ドヤ顔でひけらかせるほど大した知識ではないのだけれど、そんな余計な知識が、ある日、予備知識に転ずることがあるのだから侮れないな、と、最近ふと思ったのであった。
いつ頃からなのだろう、映画のサブタイトルが凝りだしたのは。思えば昔々から『インディー・ジョーンズ』もそうだったけれど、最近はそのスタイルが、邦画も洋画も、加速している気がする。ファイヤーブーストしている気がする。「〇〇 2」とか、「〇〇 part3」、とか、そんな分かりやすくて素朴なスタイルは、今や珍しいかもしれない。第何作目なのかを明記しないどころか、ごそっとタイトルそのものが変わるものまであったりする。あ、それも考えてみると『レイダース』→『インディー・ジョーンズ』だ。先駆的ですね、ジョーンズ先生は。
確かにそのままナンバリングするより目を惹くし、どのような内容なのかを期待させてくれる感もある。広報の皆さんのセンスと知恵の絞りどころ。きっと、「シリーズ順わかりづれぇぞ!」とか文句を言われつつ、大事にしているポイントなのだろうと想像する。
メインタイトルはわかりやすさに重きを置くからか、サブはミステリー担当というか、敢えて耳馴染みの無い語が選ばれていることが多い気がする。(あくまで日本語使いの日本人目線かつ、日本版タイトルの感覚。英語圏の方にはどうなのだろう?)いくつかの意味があったり、内容と重ねると含蓄を感じるような。幅を広げてくれるような。だから、実はちっともわからないままにしている単語も色々あったのだ。これを機に、未鑑賞も含めて僕にはちょいとハイレベルで理解をスルーしていたサブタイトルをいくつか調べてみよう。いつ役に立つのかわからないけれど、ホントにいつ役に立つかわからないじゃないか。
リサージェンス(resurgence)
1 復活。蘇生。
2 農薬散布により害虫とともに天敵も減ってしまい、農薬の薬効が切れたあと、目的とする害虫が再び増えてしまう現象。
リデンプション(redemption)
買い戻し、質受け、償還、身請け、救済、(キリストによる)(罪の)贖(あがな)い、救い、(約束・義務などの)履行、補償
コヴェナント(covenant)
契約、盟約、誓約、捺印(なついん)証書、捺印証書契約、契約条項、(神とイスラエル人の間の)聖約
マーヴェリック(marvelick)
焼き印のない牛、(政治家・芸術家などの)無所属の人、異端者、「一匹おおかみ」
スプレマシー(supremacy)
至高、至上、最高位、優越性、主権、覇権(はけん)、支配権
デッドレコニング(dead reckoning)
船舶や車両などの移動体の現在位置を推定する技術.車両における車輪の回転や船舶における水との相対速度などの計測,あるいは,加速度計やジャイロセンサなどの慣性センサによって自分の動きの情報を得て,それを累積計算することにより自分の位置を知る.推測航法ともいう.
マッスル・ネバー・ダイ(muscle never die)
筋肉は決して死なない
…すげえ勉強になる。今度、中学生の息子にも教えてやろう。
英語だけじゃなく、サブタイトルって立ち位置は味わい深い。不可解にして深い。なんならボツ案とかにも興味が湧いてくる。