車酔いの妙薬

子どもの頃に食べた、そのへんに生えてる草花や実の話し...のはずが、タカヨシからは作物泥棒と、拾い食いのエピソードが盛り込まれ、思ったよりにテーマがぐいっと拡張しました。ああでも僕も、無自覚に人ん家の物食ってた可能性、無くは無いかもだなぁ...。
皆さんの道端グルメも教えてください。犯罪はダメっす。


すっかり話し忘れていた道端グルメのイチジャンルに、“山菜”がありました。ツクシが食べられると聞きつけて、帰り道でいっぱい集めて、炒めて食べさせてもらったことあったなあ、とか、フキノトウで作る“バッケ味噌”が懐かしいなあ、とか。
色々ありますけど、一番の思い出は“ヨモギ”についてです。

昔々、僕は車酔いが酷くて、出かけるたびに具合が悪くなって吐いてしまうことが多い子どもでした。しかも、予兆があったらすぐ親に言えば良いものを、ギリギリまで我慢して平気なフリをしてしまうせいで、余計に迷惑をかけていました。いつも「もう〜〜はやく言ってよ〜〜〜!!」と怒られていた気がします。
どうやら「さんはんきかん」という部分が狂うのが良くないらしい、とTVで知ってから、なるべく遠くを見るようにするとか、目をつぶってなんなら寝てしまうとか、子どもなりに車酔いへの対処をしていた覚えもあります。

そんな僕に、祖母がこう教えてくれました。
「ヨモギの若えどこガジガジって噛んでス、そんでペッてするどいいんだぁ」

早速ある日、いつものように具合が悪くなったときに、路肩に生えているヨモギのてっぺん、薄緑の部分を摘みとり、そのまま噛んでペッとしたところ、胸のオエオエ感がスーーーッと消えたのです。
こりゃあいい!!ということで、それからは、車に乗る前にヨモギをプチンと摘んで、ポッケに突っ込んどくようになりました。適当に見回せばヨモギがその辺にわんさと生えている、田舎ならではの環境に助けられたのでした。

しかし、皆さんもうお気付きでしょうけど、この方法が可能なのは柔らかいヨモギ採れる春の間だけ。他の季節はやはりなるべく「さんはんきかん」を守る工夫が必要です。

最終的に、この車酔いとの戦いは、僕の成長?いや、偶然の行動によって劇的に改善されました。
暇を持て余した、とある休日。僕は全く何の意味も無く、台所の冷蔵庫の前でぐるぐると回りながら、冷蔵庫に貼ってあるマグネットが見えた瞬間でカウントしながら遊んでいました。たしか、300回くらい数えたところでやめたと思います。そのぐるぐるの日以降、スパッと車酔いを感じなくなったのです。僕は「さんはんきかんがきたえられたんだ!」と思いました。そう信じてます。遠い記憶だし、ただの思い込みかもしれないけど。


もう僕自身は世話になることもないけど、今でも、草餅を食べるときなんかには、このヨモギの効能のことを思い出します。
春×田舎道×車酔い...いつか、ドンピシャの状況が揃ったら、この件についてだけは、「大丈夫だ!さあ、こいつを噛んでごらん!」と、頼り甲斐あるサバイバルおじさんになれる気がしてます。どんと来い。

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