アリスの昆虫教室 狩りバチ編
アリスの昆虫教室、第32弾です。
アリス:みなさん、おはようございます!昆虫大好きな大食いモデル、アリハウこと、アリス・ハウエルです!
チカノベ:昆虫に詳しい、天の声のチカノベです!
アリス:この番組は、私がチカノベさんと一緒に、昆虫について説明するものです。
チカノベ:できるだけ、昆虫の実物写真や、えぐい表現を見せない、昆虫が苦手な人のための番組でもあります。
アリス:今回は第32弾、狩りバチ編です。
チカノベ:今回、狩りバチ編をやろうと思った理由は、ファーブル昆虫記でよく取り上げられていたテーマで、とても面白くて、みんなに知ってほしいと思ったからです。
アリス:面白いわよね~。
チカノベ:それでは、スタートです。
アリス:狩りバチとは、幼虫が他の昆虫を餌とするハチのことです。
チカノベ:図は、ハチの主な分類です。
アリス:狩りバチと呼ばれるハチは、ツチスガリ、ジガバチ、ズズメバチ、アシナガバチ、アナバチ、トックリバチ、ドロバチなどです。
チカノベ:今回は、4種類の狩りバチの生態を説明します。
チカノベ:ファーブル昆虫記で、最初の頃(1冊目)、タマムシを狩って土の中に蓄えるハチ、タマムシツチスガリの生態について取り上げられていて、非常に面白かったです。
アリス:タマムシツチスガリという狩りバチが、幼虫の餌のために、土の中に蓄えているタマムシは、不動の状態にも関わらず、1〜2週間も腐らないそうです。
チカノベ:普通、甲虫は夏だと、死後12時間経ったら、内臓は腐るか乾燥します。
アリス:土の中に蓄えられたタマムシは、保存状態が良いことから、大昆虫学者のレオン・デュフール氏は、タマムシツチスガリが、獲物のタマムシに防腐剤を注射と書きました。
チカノベ:実際は、神経の集中している部分に毒液を注射し、麻痺させ、昏睡状態にしています。麻酔をかけられた昆虫に電流を流したところ、触覚や脚がわずかに動き、本当は生きていることがわかりました。
チカノベ:では、他の狩りバチの生態を説明します。まずは、ジガバチです。
アリス:ジガバチは、ハチ目 アナバチ科 ジガバチ亜科又はジガバチ族に分類される昆虫の総称です。
チカノベ:図は、ファーブル昆虫記で取り上げられていた、アラメジガバチです。
アリス:アラメジガバチは、ヨトウムシを狩ります。ヨトウムシとは、昼間は土の中で過ごし、夜に畑の作物の葉を食い荒らす、ヨトウガというガの幼虫です。漢字では、夜盗虫と書きます。
チカノベ:ヨトウムシは、キャベツやブロッコリー、サトイモ、サツマイモ、ハクサイ、キク、雑草などの、あらゆる植物の葉っぱを食べます。農家の敵です。
アリス:一応説明しますが、雑草という草は、草の種類ではなく、農耕地などで、作物以外の、人の意図にかかわらず自然に繁殖する植物や、景観を損ねるところに生える、人に望まれない植物など、間接的、直接的に損害を与えるところに生える植物のことを一般的に指します。
チカノベ:今どき、雑草が草の種名だと思っている人いるんですかねぇ?小学校で隣のクラスだった友達と、前の仕事場で関わっていた米農家のお嫁さんが、そう思って(言って)いましたね。
アリス:話を戻し、アラメジガバチは、ヨトウムシの神経節に毒液を注射し、麻痺させます。麻痺させたヨトウムシを、土の中にある巣穴へ持ち帰ります。
チカノベ:土の中のヨトウムシを狩る際、ハチは迷わず、生きた(健康的な)ヨトウムシのいる土を掘ります。昆虫記では、どうやって生きたヨトウムシの位置が正確にわかるのかは解明されていませんでした。人間にはわからない匂いや印を頼りにして見つけているそうです。
アリス:麻酔をかけたヨトウムシの体の上に、卵を産みつけ、孵化した幼虫はヨトウムシの体を食べ尽くします。
チカノベ:ヨトウムシは、麻酔で深い眠りについています。麻酔が不完全だと、餌の昆虫が動いてしまい、卵や幼虫に危害が加わります。
アリス:アラメジガバチの幼虫は、ヨトウムシの腐敗が進まないように、内臓から食べ始めます。ヨトウムシの体を食べ尽くした幼虫は、やがて蛹に変態し、成虫になります。
チカノベ:次は、スズメバチです。
アリス:スズメバチは、ハチ目 スズメバチ科 スズメバチ亜科に属する昆虫の総称です。
チカノベ:図は、チカノベにとって最も身近だったスズメバチの一種、キイロスズメバチです。
アリス:スズメバチは、ジガバチとは違い、社会性昆虫で、1匹の女王バチと、大勢の働きバチという家族で巣で暮らしているハチです。
アリス:スズメバチの狩りの方法は、アオムシやケムシ、アブ、ハエ、カメムシ、セミ、バッタ、カマキリなどの他の昆虫を捕まえ、大腮(おおあご)で噛み砕いて団子状にし、巣に運び、幼虫の餌にします。
チカノベ:スズメバチは、ミツバチとは違い、蜜は集めません。蜜を集めるのは、ハナバチのみです。
チカノベ:最後は、トックリバチです。
アリス:トックリバチは、ハチ目 スズメバチ科 ドロバチ亜科に分類される属のひとつです。
チカノベ:図は、ミカドトックリバチです。トックリバチは、スズメバチの仲間ですが、群れは作らず単独で暮らし、人を襲うことは滅多にありません。
アリス:トックリバチは、さくらんぼ大の徳利(とっくり)のような、壺型の巣を泥で作り、中に麻酔をかけたシャクトリムシなどのイモムシをパンパンに蓄えます。
チカノベ:シャクトリムシを蓄え終えると、巣の入り口を塞いでしまいます。
アリス:卵は、壺の部屋の上に釣り下がった状態で産みつけられます。
チカノベ:図の、巣の中身の上にある白っぽい細長いものが、吊り下がった卵です。そして、トックリバチの幼虫を飼って観察したら、なぜか蛹になる前に死んでしまう場合が多いそうです。
アリス:恐らく、巣を割ったときに、破片で卵や幼虫に傷がついたとか、巣を割って幼虫の姿があかるみになったので、眩しくなったのだと思います。昆虫記にはそう書かれていました。他のブログで観ましたが、日本のトックリバチでも、蛹にならなかったそうです。
チカノベ:その他の狩りバチについても説明します。
アリス:ファーブル昆虫記で取り上げられた狩りバチは、コブツチスガリはゾウムシ、ラングドックアナバチはコバネギス、カマキリトガリアナバチはカマキリ、フタスジツチバチはコガネムシの幼虫、オウシュウキゴシジガバチやヒメベッコウバチはクモ(クモは昆虫ではない)、ミツバチハナスガリはミツバチ、などです。
チカノベ:日本にも、狩りバチはいます。ジガバチだと、キゴシジガバチ、タイワンジガバチ等、スズメバチだと、先程のキイロスズメバチやオオスズメバチ、モンスズメバチ、クロスズメバチ、コガタスズメバチ等、アシナガバチだと、キアシナガバチ、フタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ等、トックリバチだと、先程のミカドトックリバチ、キボシトックリバチ、キアシトックリバチ等、などです。
アリス:他にも、日本にはたくさん狩りバチがいるので、興味を持った方は、検索や図書館等で調べてみてください。
アリス:アリスの昆虫教室第32弾、狩りバチ編はこれで終わりです。
チカノベ:もっと狩りバチについて知りたい方や、質問がある方は、コメントくださいね!
チカノベ:では!
アリス:またお会いしましょう!
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