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In the Dark of the Valley この谷の闇
2011年4月23日
なんと訳してよいやらわかりませんが、これは今年出たばかりのドキュメンタリー映画です。今月オハイオ州のクリーブランド映画祭に出品され、これが2度めのお披露目ということでした。コロナ禍で、開催地に行かなくてもストリームで映画が見れるのはありがたいことです。
これはロサンゼルスから30マイル(約48キロ)しか離れていないところにあるサンタ・スザンナ・フィールド研究所周辺の住宅地のお話。サンタ・スザンナには原子炉があり、原子力を使ったロケットなどの開発も行われていました。1959年にはメルトダウンを起こしていて、部分的ではあったものの一説によるとスリーマイル島事故の260倍の放射能を放出した、とさえ言われています。
そんな半世紀以上の昔の事故の影響や、恐らく現在に続く汚染で、近隣には多くのがん患者、しかも子どものがん患者がいるのです。
この映画は自分の娘が白血病になったことをきっかけに、この研究所からの放射能障害を公にし、除染を訴える母親、メリッサ・バムステッドを中心に据えています。この地図を見てください!黒いスポットは子どものがん患者なのです!
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その他にも1959年の事故当時、サンタ・スザンナで働いていた男性が、口止めをされ情報が改竄されたことを語ります。
また、「社会的責任を負う医師」グループ(Physicians for Social Responsibility)の一員であるロバート・ドッジによると、放射能物質を半減期(Half-Life)でとらえても体に与える影響としては意味がなく、危険期(Hazardous-Life)で見ていく必要があるとします。
例えば、ストロンチウム90は半減期は29年ですが、危険期は580年となります。セシウム137は半減期は30年、危険期は600年。プルトニウム239は半減期241,000年、危険期は482,000年。
そして、ロケット開発をしていたからでしょうか、この研究所は(国内の原発などを管理する)エネルギー省だけでなく、NASA、そしてボーイングが絡んでいます。ボーイングは、やはり放射能汚染のひどいセント・ルイスにもあり、奇妙な符号を感じます。
実際、このセント・スザンナの話はセント・ルイスと共通するところがたくさんあります。自分自身や子どもたちが、次々に癌、しかも稀な種類の癌にかかることが多い。母親たちが除染を求めて立ち上がるところ、など、など。子どもの病む姿を見るのはとてもつらいですが、辛いからこそ、こんなことが起きないようにしなければなりません!