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The Empire of Pain: The Secret History of the Sackler Dynasty 痛みの帝国:サックラー王朝の秘史
ようやく読み終えました。合間合間にちょこちょこ読んでいたので、記憶も曖昧だったりしますが、本も分厚い! これは、アメリカで昨今話題になったオピオイド中毒に深く関係しているサックラー家のお話です。4代前から遡ってサックラー家について詳細に描写しています。誰が製薬会社を起こし、誰が痛み止めと称したオピオイド(商品名:オキシコンティン)を売り、誰が中毒者を産んだことに対する責任があるのか。会社の責任とはいえ、会社は大部分、サックラー家の人たちが管理していました。 オピオイドに中
Biting the Hand: Growing Up Asian in Black and White America 飼い主の手を噛む:黒人と白人の国アメリカでアジア人として育つということ
韓国系アメリカ人、ジュリア・リーによるメモワール。彼女はアフリカ系アメリカ文学(最近ではアフリカ系アメリカ人というい言い方よりもブラックが主流ですが、大学の分野となるとまだ「アフリカ系アメリカ人」が使われています)やカリビアン、アジア系アメリカ文学などを専攻し、教えているアカデミアの人でもあります。 まず、タイトルがいいです。Biting the Hand。これは通常Biting the hand that feeds youというい風に使われるのですが、これは日本語の「飼
Nuked: Echoes of the Hiroshima Bomb in St. Louis 被ばく:セントルイスにおける広島原爆の負の遺産
2023年1月18日 去年の12月1日に出版されたばかりの本。セントルイスには2度行っていて、地元の活動家(女性、お母さんたち)やがん患者さんなど、知っている方の話が出てきて、嬉しくなる、というのとはちょっと違うのですが、彼女たちのことがこの本をきっかけに知られるといいな、という思いでした。 ミズーリ州セントルイスは、シカゴのあるイリノイ州と州境を接しているのですが、シカゴからは南にまっすぐ車で5、6時間といったところでしょうか。あまり、隣って感じはしない州です(ウィスコ