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アラームのなる三分前
日ごと夜明けが早くなり、空が白々と明るんでくる頃、日が登るのを待ちきれないかのように小鳥たちがさえずりをはじめるのを意識の遠くの方で僕は感じる。
暗転していた夢の世界から意識が舞い戻ってくるような覚醒を受け止めつつ、起き上がるまでの数秒間の微睡をゆっくりと反芻してから、僕は枕元のiPhoneで時間を確認する。
アラームの鳴る三分前。だいたいいつもこうだ。
纏っているものを全て放り込んだ洗濯機を
お仕置き三輪車のエレクトリカルドライブ
〈第一章〉
こいつが部屋にいるおかげで、僕は安く住めている。立地を考えると破格と言ってもいいだろう。この部屋は所謂“アレ”で長く空き部屋だったらしいのだが、背に腹はなんとやらで何事も気にしないタイプの僕は、喜んでここに住むことにして、かれこれ一年が経とうとしている。周りからは心配を装った下世話な雑音を散々聞かせられたが、所詮他人なんては一年もすると静かになる。ここは通勤にも便利
共に時を重ねる革ジャンと私
ボク、革ジャンがええねん。
革ジャンで行くわ。
成人式を数ヶ月後に控えた秋、スーツでも探しておいでよという母に私はそう伝えました。大阪南船場の洋服屋で一目惚れした革ジャンに、私が手が届くとしたらこのタイミングしかない、と心に決めていたからです。
かのスティーブ•マックイーンが映画「大脱走」でキャッチボールの時に羽織ってた革ジャン。あれはTYPE A-2というフライトジャケットで、その原型となっ