Noise×Kotobani(アフタートーク編)
――はじめに
今日は、先日upしました、NoiseとKotobaniがお互いに40フレーズ出し合い、合計80フレーズを使ってそれぞれが組み合わせてできた詩の後日談をお送りします!
・できあがったそれぞれの詩↓
・使った40×2=80個のフレーズについての記事↓
――今回の率直な感想
Kotobani(以下、K):去年の「おもいでの詩」
では、文とか段落レベルで、それぞれ持ち寄ったものを混ぜた感じだったけど、今回は、単語レベルっていう細かさ!がやりがいでもあり難しかったかな!
Noise(以下、N):まず、難しかった。
80フレーズもあってそれに限定されてつなげていくのは難しくて、最初どうやって始めようかと悩んだ。
でも、あるものを組み合わせるのは自分にない世界観のなかで生まれていくものがあってたのしかったーー
(それでも自分の世界観バリバリできてておもしろいと思った)
K:確かに、選択肢が限定されることがずうっと幅を利かせてた感はあったね。基本的には組み合わせだから(多少の修正はできるけど)。
第一手の難しさについては後でまた聞くね!
そう!結局80単語もあるとそのバリエーションがあるから個性が生まれるんだなとわかった
N:うむうむ
――企画の経緯について
K:テーマとかって決めてないよね?このコラボでは
N:テーマは決めてないね
フレーズ出し合っただけだ
K:まず個人的に提案したと覚えているのは、10個ずつ好きなフレーズとか単語を持ち寄って、どちらかが出したフレーズ(お題)に合うフレーズをくっつけてくみたいなのだった。ちょっと練習もしてみたし。その後今回の形態になってった記憶なんだけど、何か経緯で印象的だったこととかある?
N:その通り
うーん…最初の提案のやつはわたし的にはやりづらくて、避けたところかある笑
それくらいかなぁ
フレーズ出し合うというか、考えるのはめっちゃたのしい、好き
K:それぞれ単語(フレーズ)を40個ずつ考えてくることにしたよね
N:うん
選択肢少ないと世界観狭まって、似たようなものになるかなーと40にしたけど、かなりの、ボリュームだった笑
全然良いけどもな
K:あのね、かなり前途多難な印象だった笑
でも、これも話したいと思ってたけど、実際そうだった部分もあるけど、やってみてほんとにやりがいになった。丁度いい無謀さ加減というか笑
N:いやー楽しかったよ
最初だけちょっと「これ大丈夫か?選べねぇ!」とは思ったけども
――お互いの詩を読んだ印象(共通する点、異なる点)
K:一応話題の一つのポイントとしては、「共通するところと異なるところがある」ってとこだと思うんだけど。
K:同じところはね、まずなんと言っても「フェードアウト」と「時間の問題だ」を組み合わせたところ(笑)ここはびっくりした。あと広い意味で、やっぱり単語に相性みたいなのがあって(「正」の相性にせよ「負」の相性にせよ)、それを見ながら組み合わせていき、それが文になり、詩が構成されいく…っていうプロセスは一緒だったのかなと思う
K:違うところは「もうそれ以外全部」というか(笑)あげるとキリがないけど、俺は組み合わせの配分とかを機械的にやった感じだった。(始めの段落の方はとくに)でも、それじゃ無理というか広がりがないってなって次第に崩していった感じ。noiseちゃんのはやっぱり「フレーズありき」って言っているようによりセンスで勝負しているのかなって思った。
細かい違いはまだまだ上げられるけどとりあえず全体で言えると思うのはこんなところ。noiseちゃんも、ざっくばらんでいいけど、どう?
N:フェードアウトと時間の問題は言われて気づいたなう笑
フェードアウトは時間の問題なんだなと
2人とも「帰り際、君は言った」で最後ワンフレーズで締めてるのがおもしろいと思った!最後に何か言い残していきたいのかしら
K:うん、時間かけるからね、フェードは笑
(いずれにしても奇跡的ではあるけど)
そうだね、「続きはwebで」じゃないけど締めに使いやすいのかもしれないね。
N:最初は、「フラストレーション加速して」に続くものでいい感じにつなげられるもの、かつ、自分の描きたい雰囲気に合うもので組み合わせていたんだけど、
そうしたら結局、自分のフレーズばっか使ってて(たぶん使いやすいから)、
やばいなと思ってことばにくんのフレーズをぶち込むのに悩んだかな
ことばにくんの
「無味無臭 人生めんどくさい」
から
「畜生 コーヒーがなきゃ生きられない」
の部分は内容の意味より単語の羅列をした感じかな?という印象
K:「無味無臭 人生めんどくさい」の段落は、言ってくれた通り、羅列だけの段落で抑揚とか変化をつけようと思ったかな!
K:これも共通することなのかもしれないんだけど、一文一文が、それだけでも1つの自由律俳句というか、独立した作品としても読めることがあるのかなと。
「人生めんどくさいからあえて全部ブルーライトカット」はすごく迫るものがあるし、「ぼくには見えない微熱の恋心」、「同じものを違う目で見るように愛してみたら?」もそう。
K:同時に違うところかもしれないのが、俺は結果的に物語性みたいなのが入っていて、noiseちゃんはあまりそこはとらわれていないのかもしれない。逆に繋がりは読者そのものに委ねられていて、そこがnoiseちゃんの詩たる所以になってる。逆に俺は特に最初は読む人にこう思ってほしいみたいなのがなくはない感じがあったかなぁ
N:そう、ことばにくんは物語性が強い
何度も言ったけど、ストーリー性が強いかもしれない
だから出した単語もそんな感じだったよね
わたしの場合読者に委ねてはいるわけではなく、自分の思う言葉にできない感情を雰囲気で伝えたいってだけなんだよね。それをどう受け取ろうと自由だけど「こうは受け取ってほしくない」みたいなのはある(特に小説だと)
人生めんどくさいからあえて全部ブルーライトカットはとても好きです!!!笑
K:なるほどね。
言葉にならない感情とか感覚を伝えたいってのは詩の醍醐味ではあるね。相互作用的なのかな。こちらから伝えたい思いというものと。「あとはご自由に」ではない。俺も考えてみたらそうなのかも。
K:今みたいに2つの詩の違った点を見ていったら、同じ点に行き着いたりするし、その逆もあるし、一概には言えない部分が出てきて、それも含めて2つの作品がそれぞれできたことの功績というか、今のアフタートークも発見になっているなぁ
――詩を始めるにあたってスタート(最初の1単語)をどうしたか
N:まず、80単語見た瞬間に「続きはwebで」がめっちゃ好きで、これはいい!と思ってとりあえず「続きはwebで」で締めくくろうと決めた
最初に決めたのはだからエンディングだった
N:その後に「フラストレーション加速して」が自分のやつで気に入ってて(私の詩において加速って言葉を使いがち)、「フラストレーション加速して」をスタートにおいて考えた
K:まずエンディングが決まって、その次に最初が決まったのか。
結末から決まるってかっこいいな(笑)ってかそんなに気に入ってくれたんだ?「続きはweb」(笑)
フラストレーションと加速がマッチしたんだね!
K:俺も、始める最初の言葉は(選択肢が多すぎて)逆にピタっと来るものはないって発想になって、最終的にはnoiseちゃんと同じように「気に入った」フレーズの組み合わせを持ってきた。自分にビビっときたのが「ブルーライトカット」だったから。
N:めっちゃ気に入ったし、
詩はたしかに終わったのに「続きはweb」で終わってるから、まだ続きはあるような感じがおもしろいかなって思った!
「ブルーライトカット」自分でも気に入ってるから嬉しいーー!
まぁ好きなフレーズしか出してないから自分が出したの基本的に全部好きなんだけど笑
K:確かに、終わり方として優秀なフレーズだったのか、気付かなかった(実際リストに含めるか迷ってた)笑
俺は「ブルーライトカット」もう選んだ時点でこういう「アフタートーク」で話すイメージすらできてた笑 ここから始めようって率直に思ったかな
noiseちゃんは自分の好きなフレーズの引き出しがしっかりあるんだなってのは今回改めて思ったね
N:好きなフレーズ、いいフレーズ、の集まりが詩だと思ってる
フレーズありきの詩だと思ってる
――途中で詰まったところ、締めくくりについて
N:制作過程の詰まったところは、
さっきも言ってしまったけど
自分のフレーズばかりの組み合わせになってしまっていることに気づいて、どううまい具合に混ぜようかなと中盤で思ったことと、
単純に締めの「帰り際、君が言った 続きはwebで」にどうつなげようか結構悩んだ
「ゴルジ体を経て分泌されたしし座流星群」は絶対入れたいと瞬間的に感じた
終末感ある感じになんかなってった
ことばにくんの「3020年」って単語のせいもあるけど
K:中盤以降のどう混ぜようか、ということと、締めに向かっての持っていき方ってことね。
ゴルジ体としし座は、ミクロとマクロで絶妙すぎるなこれ笑
個人的にも、ミクロの中にもマクロな趣があって、逆もしかりって思ってるから。
それを終末感として表す・・・なるほど、もうそのセンスが終末感だよ恐れ入った笑
もう2021年だけどねーなんで入れたんだろ笑
K:途中でお互い進捗具合を話したとき、80単語全部は使い切らなくていいことにしたよね。
「絶え絶えになる僕は行方不明」あたりからかな、俺のlazyな面も出て、文字通り進行が行方不明になりかけたりもした(笑)
でも、こうなったらもうこれは80単語使い切ってやるぞ、と再度奮起した感じだった。改行を使ったり段落ごとの文字量を調節したりしながら、手持ちの言葉で作れる抑揚をより意識して。前も話したけど、noiseちゃんのフレーズが"強い"のに"使いやすい"から最後の方は枯渇して悩んだけど笑
締めにかけては、手持ちのフレーズが数少なくなっていく中で、考え得るパターンを試しては崩し、を繰り返して、最後はピースがはまった感じだった。締めはピタっときた!
――お互いの詩について聞きたいことあれば
K:noiseちゃんの作った詩の方で一個質問なんだけど、「揺らいでいる、象徴」の段落で初めて改行が入るんだけど、ここはどんな意識があったの?さっきも言ってた「世界が滅亡する前にゴルジ体を経て分泌されたしし座流星群」が決まって、そこに続けようとした感じ?
N:中盤以降というより、中盤で気付いたから、前半部分のところから完成してる部分まで全部見直して、混ぜられるところに混ぜた。
ミクロとマクロねー(よくわかんない)
一通り完成させてから、残った単語なるべく使おうと思って考えたんだけど、やっぱ気に入ったフレーズは崩したくないし、意味変わるし、結局2単語くらいしか追加しなかったな。
ことばにくんの「三つ巴の戦い」とか「聞き耳を立てる」「読んで字の如く」は最初から使いにくいなぁと思ってて、結局使えなかったけど、ことばにくんはちゃんと盛り込んでてさすが自分が出しただけあるなと笑
N:改行に意味はなくて、
そもそも作る気もなかった。
ことばにくんの詩を見て、わたしもどっか文脈が変わったところスペース開けようかなと思って色々やったんだけど、明確に切れる部分がなかった。
4行目の「電線越しの空」で切ってみたら次の切れ目が見つからなくてやめた。「消えない余韻」でキリがいいように見えるけど「消えた煙草のせいにして」から「ヘビースモーカーは誠実だ」を一括りにする気にもならなかった。
切れ目なんて読み手が好きなところで切ればいい、といつも思ってて、自分があえて場面変えとか気分で開くのをあえてやるときはやるし。
で、考えた結果
「揺らいでいる、象徴
夕焼けに抱かれたかったんだよ」
はこの詩の中でも結構インパクトあるなと思って一塊にしてみた。
という感じ
「世界が滅亡する前にゴルジ体を経て分泌されたしし座流星群」にわざわざ繋げるために開けたわけではない。
N:詩って「見た目」も大事だと思っていて
ぱっと目に入ったときのスペース感とか文字のズレとかも含めて詩で、その詩にあった遊びを加えたりする。
だから、その「見た目」の修正を最後に行った感じかな
書きながら、段落開けたりするときももちろんあるよ
K:ゴルジ体は細胞の器官の1つだし、しし座は宇宙だから、大きさが全然違くて普通は1つの会話に出てこないから、面白いと思って!
ある程度できてから修正の過程も、お互い結構対照的だったのかなと思ってる、俺は使いきるために一度作ったところも大胆に変えたりもしたかも。
俺の出したフレーズ使いにくくてごめんね…
最初に結び付きやすいフレーズのペアを作ってみたんだけど、「三つ巴の戦い」は「嫌い、嫌い、大嫌い」とうまくマッチした笑
K:ほんの最後の修正に改行を使って整えたんだね。確かに、切れ目は書く側が与えなくても読む人が自由に考えればいい、というのは詩の理解が広がった感じがしたな、今。
――対談終了――
――アフタートークを終えて――
のいずさんとコラボすると、このアフタートーク(後日談)を含めて、その度自分の「詩」への理解が深まっていく経験ができている。取り組み方に違う点は多いけど、詩というものへの本質的なスタンスについては、共通していると思えているからだ。そして、それは自作であれ共作であれ保たれなくてはならないし、"深化"していくものなんだと改めて感じることができた。
詩の本質とは何だろう。使える言葉が80単語に制約されたことは、一見自由を失い、表現として魅力が損なわれるかもしれない。しかし、それは違った。むしろより一層その魅力が可視化された気がした。伝えたい本心を前にして、今回設定したルールは些細なことなのかもしれない。現にできあがった2つの詩は、単なる組み合わせによるバリエーションを超えた創作の彩りを持っていると思う。コラボを通した詩の探求は今後も続けていきたい。
のいず側のアフタートーク記事↓(あとがきが異なります)