予防接種に行ってきた
長らく無視してきたHPVワクチンのキャッチアップ接種に関するハガキ。
ワクチンは受けるたびに腕が腫れ上がるから元々苦手意識がある。年齢も年齢なので「今更受けてもな〜」なんて気持ちで、届いたハガキのことなどすっかり忘れ去っていた。
先週、通院している産婦人科でカルテ入力中に「そういえば佐伯さん、HPVのキャッチアップは受けたの?」と先生に聞かれた。少々ぎくりとしながらも「あー受けようかどうしようか悩んでるんですよねぇ…」と濁すと「悩むも何もあれは今月中に受けないといけないやつだよ」と怒られてしまった。お医者さんに怒られたとなるといよいよ「受けねば」と本気で思えてくる。それに久しぶりに人から怒られたショックも大きく、次回受診する際に再び怒られるのも嫌なので、帰宅するや否やワクチン接種の予約をし早速1回目の予防接種に行ってきた。
いつも通院している病院で実施していたらよかったのだが人生そう上手くはいかず、今回は近所の小児科で予防接種を受けることになった。
その病院は昨年できたばかりの新しい病院で、足を踏み入れるのは初めてである。院内は小児科ということもあり、つい最近歩けるようになったレベルの小さい子どもたちばかり。受付を済まし予診票を書き体温を測る。渡された体温計は家にあるものとは形が違い戸惑ったが5分ほど格闘しようやく計測に成功。体温計如きであたふたしている私の横でとあるお父さんは子どもたちに絵本を読み、とあるお母さんは看護師さんからの「〇〇くんの今朝の体重は?」「最近の便の状態は?」などの質問に澱みなく答えていた。自分の体温すらまともに測れない私はそんなやりとりを見聞きしながら関心し、診察室に呼ばれるまでの間「私はまだ子どもは産めないだろうなー」などと考えていた。
ワクチン接種は無事終了。持病のある私は採血には慣れているけど注射で何かを接種することは数年ぶりで、あまりの素早さに「血を抜くよりあっさり終わるんだな」と驚いた。でも流石の筋肉注射、どんよりとした大きな痛みはしばらく続いた。副反応の経過観察のため注射をしてから30分は院内で休むことになっている。鈍痛を紛らわすために深呼吸をしながら指定された「特別待機室」に入ると、そこは部屋の壁全面が本棚になっているとても可愛らしいお部屋だった。子どもの頃に読んだ懐かしい絵本がたくさんあり、痛みを紛らわすためにも、私は座った場所から一番近いセサミストリートの本を手に取った。その本はセサミストリートのキャラクター紹介ブックで、セサミストリートの歴史や番組の特徴についても解説してあるとても面白い本だった。
セサミストリートは母が英語が好きだったからか幼い頃によく観ていて、本を読んでいたら懐かしさのあまりなんだか涙が出てきそうだった。知らないキャラクターがたくさんいたり歴史的背景も学ぶことができて、また観始めたいなと思った。
自閉症のキャラクター「ジュリア」がいることは知っていたけれど、父親がホームレスになったキャラクターや母親が薬物中毒のキャラクターもいるらしい。元々経済格差や人種差別などの社会問題に着目し「テレビを通して、教育格差をなくす」という想いで放送され始めた番組。どんな生まれであっても人は明るく生きていいんだと、物語を通して伝えたいと本には記されてあった。
そういうメッセージって大人になればなるほど「綺麗事だ」と思ってしまう。実際、生まれ育った環境が恵まれているに越したことはないと思う。でもなんだか今の私は、そういう綺麗事を呪文のように、おまじないのように心にパンパンに詰めていたいんだなと、なんだかそう感じた。だから最近になっておさるのジョージやディズニー映画やセサミストリートを観返しているんだと思う。自分がどんな姿形であっても、どんな生まれであっても、素敵な人々に囲まれ素敵なことを考えながら素敵な日々を過ごしていいんだと背中を押してもらいたいのだ。
ニューヨークには本当に「セサミストリート」があるらしい。
いつか、自分のお金で、晴々とした心でその道を歩いてみたいと思う。