結婚30周年
合唱団にいた高校生の頃、大好きだったピアニスト先生が結婚した。
たんなさまの卒業した大学のチャペルにみんな呼んでもらって、聖歌を歌った。
先生は美しいし、式は感動的だし、いつか私もと思ったのが、同じ大学に入学した理由の半分くらいを占める。
しかし色々調べてみたら、スタッフは全て自分で友人らを頼んで用意しなければならず、限られた日程で競争率も高いらしい。
でも教会で挙式するという謎の自縛が発生し、様々探した結果、水道橋にある町の教会で挙式できることになった。
ただし条件があって、日曜礼拝に最低2回、平日夜の講義に8回だか12回だか参加すること。
最低限神様のことを勉強しなさいよ、と。ドレスの露出も制約があった。
そんなふうになかなかめんどくさい設定ではあったけど、広い教会にたくさんの人達が参列してくれたことを心からありがたく思った。
それが1994年11月のことだ。
30周年のお祝いに、家族で食事会をした。
父の移動の負担をなるべく無くすために、実家から近いところで探した。
事前に夫と娘と下見ランチをし、ここならいいかなと決めたS駅至近のホテルレストラン。その場で予約。
前の日にレストランから電話があったので、リマインドかと思ったら
「予約のコースは前月までのもので、今月からは内容と価格が変わります。」とのこと。
それは前の日に連絡してくる内容なんだろうか、と思いながら、どう変わるのかと聞いたら、
「え、このお電話で全部メニューを読み上げますか?」と。読まない選択肢ある?
前菜 秋茄子と白レバーのプレッセ バルサミコソース
スープ 牛蒡のポタージュ
魚料理 秋鮭のクルート ヴァンブランソース
肉料理 熟成黒毛和牛赤身肉のロースト 赤ワインソース
デザート 季節のデザート ぶどうのパルフェ、ラベンダーアイス、なんか焼いたパイのお花
当日は素敵な秋晴れ。車の流れもスムーズで、実家に着いたのはかなり早く、母が着替える間に父と義理父、夫と4人でお茶を飲んだ。ホテルまでの道も順調で、移動をサポートしてくれる真ん中の妹が早めに着いていてくれて助かった。メンバーは他に一番下の妹夫婦、娘夫婦の合計10人。5人家族が倍になったんだなと思うとなんか嬉しい。
料理は凝りすぎずラフすぎず、何より塩気が優しいのが両親にはありがたかった。提供がかなりゆっくりだったけど、こちらも途中父がトイレに行くなど好き勝手なペースだったのでまあ良かった。食べ終わってからスタッフに頼んで記念撮影も出来た。
真ん中の妹からクッキー缶と紅茶とスコーンを、一番下の妹のだんなさまからゲイシャ(コーヒー)を、娘から花束を貰った。母はみんなにマーレード茶屋のパウンドを配り、私達からはアトリエ結心の焼き菓子詰め合わせをお土産に持って帰ってもらった。
すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍ぶ。
挙式のために通った講義で聞いたフレーズが心に残っている。そんな事出来るのか?と不安だったけど、なんとなく言わんとしてることは理解できるようになった。
結婚記念日はお互いの忍耐を称え合い、感謝を伝える日。それを祝ってくれる家族がいることは幸せだ。