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海中道路から広がる島々の物語──平安座、浜比嘉、宮城、伊計への旅
「うるま市あやはしロードレース」のスタートまで後1か月切ってしまった。最近は忙しさにかまけて出不精となっていた。
今日は現実逃避もかねて海中道路の向こうに広がる美しい旅路について書いてみようと思う。
──平安座、浜比嘉、宮城、そして伊計島。これは、マラソンのその先に広がるもう一つの冒険の物語。
1. 平安座島:失われた漁師の静けさと、変わりゆく現代
海中道路を渡りきると、すぐに迎えてくれるのが平安座島だ。この島はかつて、漁師たちの生活音がリズムを刻むように日々が流れていた。今では、その面影が石畳の路地や古びた船の係留場に残るのみだが、静かに海を見つめていると、どこからか潮風があの頃の物語を運んでくる。
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東側に足を向ければ、大きな工場が目に入るが、そこにあるのは新旧の共存だ。静寂を残す家々の裏手には、島の未来を支える産業の足音が聞こえる。その対比が、ただの観光地とは異なる「生活感」を感じさせ、私たちの心に問いかける。「どちらが本当の平安座なのだろう?」と。
2. 浜比嘉島:神話が息づく、祈りの風景
橋を渡ると、そこにはまるで時間が止まったかのような浜比嘉島が広がる。この島は、琉球神話の中で「アマミキヨ」と「シネリキヨ」が最初に降り立ったとされる神聖な地だ。島に足を踏み入れた瞬間、空気が一変するのがわかる。海の香りに混じって、古代の祈りが今も漂っているようだ。
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観光名所の「シルミチュー霊場」は、その象徴的な場所。洞窟の中に差し込む陽の光が、まるで導かれているかのように神秘的な光景を描く。誰もいない早朝に訪れると、波の音だけが耳に届き、静かに祈りを捧げる人々の気配を感じるかもしれない。
ここでは、ただの観光客として訪れるのはもったいない。浜比嘉を歩くときは、心のどこかで「祈りの巡礼者」としての気持ちを持ってみてほしい。この島には、そんな風に心を澄ませると見えてくる景色がある。
3. 宮城島:広がる農地と、静かに流れる島の時間
次に宮城島へと渡ると、一転して広がるのは、のどかな農村風景だ。ここには、青い海だけでなく、島の暮らしそのものが広がっている。サトウキビ畑の間を走る一本道は、風に揺れる葉がささやくような音を立て、どこか懐かしい夏の香りが漂っている。
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坂道を登ると、「ぬちまーす観光製塩ファクトリー」が見えてくる。日本一ともいわれる塩の製造過程を見学した後、テラスから眺める景色は絶景だ。眼下に広がる海が太陽の光を受けてきらめき、その先に旅の終点である伊計島が見える。
宮城島での楽しみ方は、ただ歩くことにある。自転車や車を使わず、ゆっくりと足で大地を感じてほしい。海の風景だけではなく、地元の農家が笑顔で迎えてくれるあたたかさも、この島の魅力だ。
4. 伊計島:旅の終わり、静けさと冒険の融合
宮城島を越えると、最後に待っているのが伊計島だ。この島は、琉球諸島の中でも特に透明度が高い海で知られている。ビーチへ足を踏み入れた瞬間、視界に飛び込むエメラルドグリーンの海と白い砂浜が、これまでの旅の疲れを一瞬で吹き飛ばす。
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特に有名なのは「伊計ビーチ」。観光客で賑わう夏場とは違い、冬の伊計ビーチには静寂が訪れる。その静けさの中で聞こえるのは、波が砂をかすめる音だけだ。沖縄の海の美しさは四季を問わないが、静けさが支配する冬の海こそ、本当の魅力かもしれない。
島の裏側に回ると、岩場に隠れるようにある小さな入り江が見えてくる。地元の人たちだけが知る秘密のスポットで、誰にも邪魔されずに海と対話することができる。この瞬間、私は旅の終わりを告げることが惜しくなり、しばらくその場から動けなかった。
島々が語りかけるもの
平安座、浜比嘉、宮城、伊計──それぞれの島には異なる表情があるが、どこかでつながっている感覚を覚える。この旅は単に海を渡る冒険ではなく、異なる時代や価値観を体験する旅でもある。
あやはし海中ロードレースは3月2日(日)スタート!ぜひこの島々を旅してほしい。訪れるたびに新しい発見があり、静かに心に語りかけてくる。それは、今も沖縄の風景の中に息づく「物語」だ。
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