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「宵の明星」とホルストの「金星」 ~美と平和の音楽的旅路〜

今日、1月10日、金星が最も太陽から離れて見える東方最大離角を迎えました。この現象は、金星が「宵の明星」としてひときわ輝く瞬間です。

日没後の西の空に浮かぶその光は、忙しい日常からふっと意識を解き放ち、静かな夜への入り口をそっと指し示しているようです。そんな金星に思いを馳せるには、音楽がまたとないパートナーとなるかもしれません。

金星の静けさや美しさを音楽で描いた作品があります。

それが、ホルストの《惑星》組曲の中の「金星—平和をもたらす者」です。
この組曲は、火星や木星など、太陽系の惑星をテーマにした楽章から成り、木星は平原綾香さんの「ジュピター」として耳にしたことがある方も多いでしょう。

その中で「金星」は、激しさを持つ「火星、戦争をもたらす者」や壮麗な「木星、快楽をもたらす者」とは異なり、心の平和をそっと呼び覚ますような穏やかな楽章です。


音楽で描かれる「平和」

ホルストの「金星」は、副題に「平和をもたらす者」とありますが、その平和は声高に主張されるものではありません。

むしろ、心の中にそっと訪れる静けさのようなものです。弦楽器の柔らかな響きが流れ出し、木管楽器やハープがその音を包み込む。その音楽は、金星の静かな光のように、聴く人の心を優しく照らします(興味のある方はYoutubeなどで「ホルスト」「金星」のキーワードで引いてみてください)。


日本的な美と西洋的な美の交錯

日本人にとって、「宵の明星」は自然の一部として静かに夜空を彩る存在です。その控えめで詩的な美しさは、「侘び寂び」の感覚にも通じるものがあります。

一方で、西洋における金星、すなわち「ヴィーナス-Venus」は、「愛と美」、「生命のエネルギー」を象徴する華やかな存在です。その輝きには力強さと鮮烈さが宿っています。

ホルストの音楽は、これら二つの美の感覚を見事に調和させています。日本的な静謐な美が感じられる一方で、西洋的な生命力やエネルギーもそこにはあります。金星の持つ二面性を、文化を超えて音楽として昇華しているのです。


金星に思いを馳せて

宵の明星の金星には、不思議な魅力があります。それは、ただ美しいというだけではなく、見る人の心に何かを語りかけてくるような存在感です。

ホルストの音楽もまた、聴く人に特別な体験をもたらします。その響きは説明を超え、ただ心に届く。そうした音楽に触れる時間は、連休の前の週末のひと時を美しく彩ってくれることでしょう。

夜空に輝く金星を眺めながら、その光と音楽が心に広げる風景を感じてみてください。それは、日常から少しだけ離れて、自分自身の中にある静けさと美を再発見する時間になるはずです。

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