あーあ、また失敗しちゃった
彼女と初めて会ったのは、中学生説明会でたくさんの人に愛想振りまくことに疲れて転がり込んだ美術室であった。美術室なんて入ったこと無かったから、あぁこんなとこなんだー、中学生いないな、あ、美術部っぽい人はいるな、話すか。
4人いた部員の仲で一番異彩を放っていたのが彼女で、一目惚れをした。恋愛的にではなく、彼女の放つ雰囲気に、内面に、人間性に。
直感で同じタイプだとわかった。外面が良くて相手のために自分を削って傷ついてるのを隠すのが上手で、碌な恋愛をしていないことを。
あぁ、仲良くなるんだろうな、なりたいしな。
彼女とは想像通り仲良くなった。それもすごく。お互いがお互いが主演の小説を書きあい渡しあい、お互いがキモいねって言い合って、お互いが辛い時に頼って。いや、相手が辛い時に頼られて。
彼女はよくグロくて良いねって言ってくる。最低なことに魅力を感じているのがすごく共感できて苦しい。あなたは俺のことどう思ってるのって聞きたくても言葉にできなくて、だってそれを聞いたらこの関係は終わってしまうし、ていうかそもそも付き合いたいとかじゃなくてけど特別でいたくて。
あなたに迷惑をかけるのが一番しんどくて。
あなたは、いつの日か僕がいてほしい時にいてくれないからホープと名付けようといったことがあるけれど、僕にとってのホープはあなたで、中毒になっていて。
My hair is badの「綾」をこの曲、もしも二人もっと早くに出会っていたらどうなっていたか聞くの最高にバカで惨めで愛おしいっていってたけど、その歌詞がまんま今の俺で、昼休み突然電話してきてbad入りそうって、直ぐに会いに行ったら方に顔を肩に寄せてきて、甘えたり頼ったりできる人として俺を選んでくれているのが嬉しくて。あぁ俺ちょろいなって。
美術室前廊下で、空き教室の壁であなたを待っていたのも、なんやかんやで来てくれたのも、帰り道の街灯をみて可愛いねって行ってきたりだとか、3丁目のバス停で一緒に待ってたりとか、ありふれた恋愛の話を真面目に考察し合ったりだとか、修学旅行で買ってきてくれた甘ったるい菓子とか、あなたが僕のために描いてくれた絵とか、彼がいなきゃ好きになってたって言葉も、かっこいいって言葉も。
あなたは大嫌いって言って終わらせるよって言ってきたけど、きっと黙って行ってしまうんだろうね、そのほうがグロいし。あなたが僕を直接的に傷つけなくて済むから。あぁ本当にズルい。
全部全部、そんなあなたが好きでした。
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