創作は楽しい!を武井武雄展で実感した。
名古屋駅から電車とバスを乗り継いで約40分。
愛知県の一宮市三岸節子記念美術館に行ってきた。
「生誕130年 武井武雄展~幻想の世界へようこそ~」2024.10.12~11.24
洋画家を目指していた武井武雄(1894~1983)は27歳の時、絵雑誌『子供之友』に掲載する絵の依頼を受ける。
アルバイト気分であったが、子どもの魂に触れるようなもの、精神的な感動を引き起こすものがないことに気づき、童画家になる。
『コドモノクニ』『キンダーブック』などに多くの素晴らしい童画を描いた。
童画以外にも、『刊本作品』という面白いものを作っている。
絵画や版画と同じように本を芸術の対象と考えた。
表現方法、物語、装幀、印刷方法また紙や活字の指定など製作の全工程を武井自ら指揮を執って、各分野の職人たちと作られた。
それらの美しい刊本作品たちは次第に"本の宝石"と呼ばれるようになった。
刊本作品という名には、「本という形式と素材によって表現する美術」の分野を確立したいという武井の強い願いが込められている。
セロファンのスライドを本に仕立てた作品で、一頁ずつ光に透かして覗き込むように鑑賞する。「覗かなくては見えない世界、それがこの本のすべてである」と解説している。
アップリケが施された作品。妻・梅の協力のもと二年半におよぶ記録的長期間で作られた。武井は、ハレムをひとつのユートピア(架空の理想世界)を意味する言葉として使っており、また歓楽の限界や人間の欲望の虚しさも暗示させている。
他にも、万年筆のキャップのような金色の円柱を立てるとその表面に絵が映し出される、Miracle tower (ミラクルタワー)という表現方法があった。
実際に円柱を立てて描くようで、その姿を想像して楽しい気持ちになった。
展覧会のエピローグは「武井武雄が思う平和とは」。これらの作品がまたナンセンスでユーモラスで楽しい!
そして、展覧会の顔になっている『星曜日』へ。素晴らしい運びだった。
ぜひ会場でご覧ください。
「創作って、やっぱり楽しいね!」
体の細胞がプルプルに膨らんだ感じ?になった、秋晴れの一日だった。