いつか死ぬということ

私たちはいつか死ぬ。
それは理解するのには時間がかかりますが,
いつかは空気を肺に入れることはなくなり,思考も止まります。

その時までは,この命と共に時間が経つのを待つのです。

暗い夜道を歩き雪を踏みしめる音を聞いた
コンクリートに毒を吐きアルコールにまみれる
もう涙は枯れてしまったのではないかと思う
母のご飯の味を思い出して,キッチンに立った
羞恥にまみれた過去を思い出し,煙草をふかした
自分を愛すきっかけは人に愛されなかったということ
寒さに耐えた花を見つけた
あの日読んだ本の一ページのようなことが起きた
生きるための音楽を聴いて消えたいと思う
君が嘘をつき続けることで今日がある
回送のバスは何処へ向かうのだろう
人に愛され,人を愛す循環を見つけた
散歩道がやけに騒がしくて


この鈍く鋭い感覚に揺られながら,時が経つのを待ちます。
母の子宮にいた時に始まり,棺桶で終わるこの感覚の旅を
俯瞰して時には自分事にして,
いつか死ぬということ。



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