こころ
最近になって初めて文豪、夏目漱石の有名な文学作品の1つ、「こころ」を最後まで読んだ。高校の国語の教科書に載っているので、知っている方も多いはずだ。
高校生の頃は、純文学作品にはあまり興味がなく、もっと軽く読める現代作品が好きだった。なんか難しい文章だし、重たそうな内容だな、、、と第一印象を持ったことを覚えている。しかし、不思議とストーリーには引き込まれたのが懐かしい。
教科書で取り上げられているのは一部分だけなので、続きが気になってはいた。しかし、文体が今のものとは少し違い読みにくく感じたので、読まずじまいで、そのままになっていた。
実は、夏目漱石の代表作として名高い「坊っちゃん」も少し前から読んでいるのだが、時代が違い過ぎるからか、文体に慣れていないからか、どうも読みづらく、まだ読み終わっていない。笑
こころのストーリーは上、中、下と話が区切られる。
「先生」と「私」の出会いと交流が描かれる、上の部。「私」が父親が腎臓病の為、帰省をする場面を中心に描かれる、中の部。そして、遺書を通して「先生」の過去が暴かれていく、下の部。
最後のクライマックスである「先生」の遺書は、繊細なこころの動きと葛藤、妬み、自己嫌悪、苦しみ、諦め、焦り等、様々な感情が入り混じり、人の心とはかくも複雑なものかと実感させられ、読む人の心をも締め付ける。
30代となり、人生で色んな経験や感情を味わってきたからこそ、共感できる部分や理解できる部分もあったと感じる。人とは色んな面を併せ持っていて、複雑で解せなくて、難しくて、だからこそ、美しい。
高校生の時だったら気付けなかったであろう、心の多面性や人間関係。ある程度の時が経った今、読む事が出来て良かった。「先生」の醸し出す、どこか世を捨てたような暗い雰囲気は、全体を通して強烈な印象として残る。
言葉では表しにくい繊細で複雑な心理を、丁寧に細かく描写する事で、読む人をぐいぐいと引き込む、夏目漱石の手腕を存分に感じれる作品。
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